シャチホコとは? わかりやすく解説

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しゃち‐ほこ【×鯱】

読み方:しゃちほこ

想像上の、似た海獣。頭は虎(とら)に似て背に鋭いとげがあり、尾は空に向かって反り返る

城などの屋根大棟(おおむね)の両端につける1かたどった金属製・瓦製などの飾り物火よけまじないとされ、鴟尾(しび)が、後世、形を変えたものともいわれる。しゃち。

[補説] 「鯱」は国字


マツカサウオ

学名Monocentris japonica 英名:Knight fish
地方名イシガキオウオ、シャチホコ 
脊椎動物門硬骨魚綱キンメダイ目マツカサウオ科
色 形 長崎・日本・世界 住みか 3D

※出典:長崎県水産部ホームページ
著作権仲谷 一宏 生態写真はこちら

特徴
かたくトゲのある大きなうろこがつながり、体のほとんどを覆う。第1背びれ腹びれ大きなトゲとなっている。トゲ基部かみ合うと倒すことは出来なくなる。小さな群れ浅海岩礁などにすむ。発光魚としてよく知られており、下あご下縁先端付近に発光バクテリア共生し暗やみ青白く光る。肉質はよく、なかなか美味であるが、市場出回ることはない。

分布:北海道南部以南西太平洋西オーストラリア 大きさ:15cm
漁法:  食べ方:練り製品

(シャチホコ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/16 01:27 UTC 版)

熊本城大天守の鯱
大坂城天守閣の鯱
姫路城の歴代の鯱
名古屋城の金鯱
名古屋市役所頂部の鯱

(しゃち、しゃちほこ)は、姿はで頭はあるいは、尾ひれは常に空を向き、背中には幾重もの鋭いとげを持っているという想像上の動物の形をした、屋根の大棟の両端につけられる装飾・役瓦の一種である。鯱の一文字でしゃちともしゃちほことも読むが、二文字で鯱鉾(しゃちほこ)とも書かれる。なお和製漢字である。

海生哺乳類のシャチOrcinus orca)の名前がこの鯱に基づくと言われることが有るが、「しゃち、しゃちほこ」という名称の使用はシャチに対しての方が歴史が古い[1]。なお、シャチの漢字表記としては元々はが使われる[1][2]

概要

同様に屋根の大棟の両端につけられる装飾として鴟尾があるが、鯱は、この鴟尾から中国で派生した螭吻(チフン。または蚩吻鴟吻(シフン))が日本に伝わったものである。日本においては元々は蚩吻もしくは鴟吻と呼ばれ、しゃちほこと呼ばれるようになったのは江戸中期以降である[1]。『大和本草』(1709年)や『和漢音釈書言字考節用集』(1717年)は鴟吻と書いてシャチホコと訓読している。

また、『和漢三才図会』(1712年)などに魚虎(しゃちほこ)という表記が見られる[3][4](なお『和漢三才図会』は「瓦」の段にて「蚩吻今で云う鱐(シャチホコ)」とも載せている[5])。

螭吻は中国では唐代には出現している[6]。日本には鎌倉時代には伝わっていたようで、鎌倉時代の絵物語『男衾三郎絵詞』(1295年頃)に、屋根に載った鯱が描かれている[1]。現存するものとしては長野県の大法寺に鎌倉時代末期から室町時代初期頃の制作の鯱がある。

大棟の両端に取り付け、鬼瓦同様守り神とされた。建物が火事の際には水を噴き出して火を消すという(螭吻を参照)。室町時代には寺社の屋根や、寺院堂塔内にある厨子等を飾るものであったが、織田信長安土城天主の装飾に取り入れて使用したことから城郭の装飾に使われることが広まったと言われる[7]。現在でも陶器製やコンクリート製のものなどが一般の住宅や寺院などで使用されることがある。(金鯱が京都の本圀寺などにある。)

金属などで作られる。城の天守や主要なや櫓門などにはよく、陶器製(鯱瓦)のものや、銅板張木造のものが上げられる。城郭建築に用いられている銅板張木造鯱のもので最大の現存例は松江城天守(高さ2.08メートル)のものといわれている[8]。青銅製(鋳造)のものでは、高知城天守のものがある。

粘土製の鯱瓦は、重量軽減や乾燥時のひび割れを避けるために中を空洞にして作られているため、非常に壊れやすい。棟から突起した心棒と呼ばれる棒に突き刺し、補強材を付けて固定される。

木造の鯱は、木製の仏像を造る原理に木を組み合わせて、ある程度の形を造っておき、防水のため、外側に銅板などを貼り付けて細かい細工なども施す。粘土製と同じく心棒に差し込み補強材を付けて固定される。

魚虎

魚虎とは明代中国の博物書『本草綱目』(1596年)に載る「虎の頭を持ち、背にハリネズミのように針を持つ魚」であるが、江戸初期の『多識編』(1612年)はこの魚虎をしゃちほこ(志也知保古)であるとした(なお『庖厨備用倭名本草』(1671年)はこれらの特徴をオコゼ(をこじ)に似るとし、『重訂本草綱目啓蒙』(1847年)はハリセンボンであるとする)。

『本草綱目』の挿絵における魚虎の姿はその説明の通り「虎の頭を持った魚」であったが、『和漢三才図会』(1712年)は魚虎を「龍の頭を持った魚」として描き、また、『本草綱目』の説明に加えて「歯や鰭が剣鉾のようで、鯨を襲い舌を噛み切る魚」の説明を載せ(なお『和漢三才図会』は「鯨」の段においてもこの魚虎(シャチホコ)を紹介する[9])、屋根に置く蚩吻はこの魚虎であると説く。

金鯱

金色の鯱のことを特に金鯱という。金鯱には陶器製の鯱瓦に漆を塗り、金箔を貼り付けたものが多かった。一般の金箔押鯱瓦は、岡山城天守に創建当初載せられたものなどがある。

特異なものでは木造の鯱に銅板の代わりに金板を貼り付けたものが上げられることがある。構造は銅板張りの木造鯱と同じ。現在の名古屋城大天守に上げられているものがそれである。同じ仕様のものは、徳川大坂城天守や江戸城天守などに使用された。

脚注

  1. ^ a b c d 美濃口紀子 (2019)『「シャチホコ」から城を語る』 熊本城調査研究センター
  2. ^ 文部省 編『古事類苑』49巻 古事類苑刊行会 1910 pp.1470-1471
  3. ^ 寺島良安 『和漢三才図会』7巻 島田勇雄・竹島淳夫・樋口元巳訳注 平凡社東洋文庫〉、1987年、181頁。
  4. ^ 寺島良安 1712 34号 巻49:魚類 江海 有鱗魚
  5. ^ 寺島良安 1712 63号 巻81:家宅類
  6. ^ 道上祥武 他 編 古代瓦研究会シンポジウム記録 11『古代瓦研究 鴟尾・鬼瓦の展開 1 鴟尾』 奈良文化財研究所 2022年 p.313-314
  7. ^ 三浦正幸著『城のつくり方図典』小学館 2005年
  8. ^ パンフレット「松江城」松江城山公園管理事務所
  9. ^ 寺島良安 1712 35号 巻51:魚類 江海 無鱗魚

原典文献

  • 寺島, 良安 (1712), 倭漢三才圖會, 酒田市文化資料館光丘文庫マイクロ収集より閲覧。 

関連項目


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