コンピュータ製品のダウンサイジング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 22:34 UTC 版)
「ダウンサイジング」の記事における「コンピュータ製品のダウンサイジング」の解説
古くは1940年代のIBMの機械式装置や電気スイッチを利用した統計装置などを端緒とし、その後、1960年代後半に主流となったEDPS(EIectronic DataProcessing System)処理及び、各種大規模統計処理や企業での業務・経理情報を管理する基幹系処理において、メインフレームと呼ばれる大型コンピュータが使用されてきた。しかし、このメインフレームと呼ばれる大型コンピュータは専用のハードウェアや専用のソフトウェアを多用して構築された、複数のコンピュータの統合型システムであり、システムとしてのコンピュータ価格と運用・維持コストも膨大な額となることから、次第により安価で運用・保守にも費用がかからない汎用サーバへの置き換えが進むことになった。この置き換えを「コンピュータのダウンサイジング」と呼んだ。 近年では、プロプライエタリなオペレーティングソフト(OS)を使用せず、汎用的な基本構成部材(CPU、メモリ、ディスクなど)を使用した汎用サーバ製品においても、現状の中位程度のメインフレーム以上の性能を持つものも少なくはない。 これらはより高速稼動が可能で強力なプロセッサー・大容量のメモリーや電磁記憶媒体(ハードディスク)・低価格化する各種ハードウェアの発達に伴い、急激な電子工学上の進歩によって、大容量の記憶能力と、高速な計算能力を持つに到った(→ムーアの法則)。 また1980年代後半から2000年代にかけ、従来、強力な画像処理能力への強化などを武器にCAD/CAM分野でのワークステーションなどに使用され、スーパーコンピュータのグラフィカル端末/イメージプロセッサとして使用されていたUNIX系ワークステーションは、安定性と可用性を増して重要な処理を行える信頼性の確保が可能な(オープン系)サーバとして進化し、企業の基幹システムの中核をになうようになった。その後、メインフレームに取って代わり、社会に浸透している。 この進歩はハードウェア面だけでのものではなく、ソフトウェアにおいても多くのダウンサイジングが行われている。例えば、オペレーティングシステム(OS)においても、かつての汎用機(メインフレーム)やミニコン・オフィスコンピュータのシステムは企業ごとにカスタマイズされて提供されていたが、より融通の利く汎用OSとしてのオープンな存在であるUNIX系OSやプロプライエタリでありながら汎用性・低価格性を持つWindowsやそれらの上で動作する各種ミドルウェアやアプリケーションソフトウェアのパッケージ化も進み、汎用製品の組合せによるシステム構成にて代用可能となり、コストダウンの一助となっている。 この汎用OSの代表格としては、2000年代初頭からのオープンソース旋風によるオープンソース製品であるFreeBSDやLinuxが有名。これらパソコンでの動作を前提としたUNIX系OSの発達が、従来の汎用機OSや商用UNIX系OSで動作していた高価なサーバ機からシステムを段階的に置き換えて移植する上での助けともなっている点も挙げられる。 さらに応用ソフトウェアであり、業務に合わせて開発されてきたアプリケーションソフトにおいても、各OSとその上での定型処理を切り出し、共通のソフトウェアプラットホームとして使用できるようにされたパッケージソフト/ミドルウェアが作成され、専用に開発するよりもはるかに安価に提供されている。 しかし、企業の基幹系システムや金融機関/社会インフラ系システムにおいては、業務に特化したソフトウェアが必要であり、各種共通的な処理においてはパッケージを利用しつつも、昔ながらの手段で開発されたアプリケーションソフトによるサービスの提供が欠かせないのも現実である。
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