カイロからの委嘱とは? わかりやすく解説

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カイロからの委嘱

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 02:24 UTC 版)

アイーダ」の記事における「カイロからの委嘱」の解説

このデュ・ロクルの新作交渉はまった別個にヴェルディ祝典のための作曲依頼があった。依頼元はエジプト総督イスマーイール・パシャである。それは1869年11月開通したスエズ運河祝賀事業一環としてパシャカイロ建設したオペラ劇場(「イタリア劇場」とも)の開場式典祝賀音楽作曲依頼であり、時期1869年8月以前のことである。その時ヴェルディは「自分普段から、臨時機会用の音楽 (morceaux de circonstance) を書くことには慣れておりません」といって断っている。 結局1869年11月6日劇場杮落としではヴェルディの既作オペラ『リゴレット』がエマヌエーレ・ムツィオのタクト上演されたが、パシャその後祝賀のための小品どころかエジプト舞台にした新作オペラ依頼パリのカミーユ・デュ・ロクルを通じて伝えてきたのである題材としてパシャ用意したのは、考古学者オギュスト・マリエット著した23ページにわたる「原案であったマリエット1821年生まれフランス人で、1849年からルーヴル美術館エジプト考古部に勤務1851年からエジプト渡り研究続けイスマーイール・パシャ信頼篤く、「ベイ」(1858年)、更にはパシャ」(1879年)の尊称与えられ人物だった(このためその名はしばしば「マリエットベイ」あるいは「マリエットパシャ」と表記される)。 依頼ヴェルディのもとに届いたのは1870年の春で、スエズ運河開通しオペラ劇場開場した後である。しかしこの経緯後年になって『アイーダ』スエズ運河開通記念すべく作曲された、といった俗説流布寄与することになったイスマーイール・パシャヴェルディ作品愛していたというより、ヨーロッパ大作曲家による、エジプト舞台とした荘厳なオペラ作品自分統治するカイロオペラハウス上演したい、という夢と希望持っていた。実際イスマーイール・パシャはデュ・ロクルに「ヴェルディ依頼断ったら、依頼先はグノーワーグナー変更してもいい。」という内容の手紙も送っていた。デュ・ロクルがその手紙の内容伝えたことで、ヴェルディワーグナー対すライバル意識芽生えそれまでブッファによる新作題材検討していた彼はこのマリエット原案による悲劇を真剣に検討することになった。「ワーグナー」の名を出すのは、ヴェルディに腰をあげさせるためのデュ・ロクルの作戦だった可能性もある。また、提示され原案には、愛と法、国家個人それぞれの相克描かれているとヴェルディ感じ取り創作意欲刺激されたこと、ヒロインアイーダについては、当時愛人関係になっていたと思われるソプラノテレーザ・シュトルツ歌ってもらいたいヴェルディ着想したことなども要因として指摘されている。 1870年6月にはヴェルディはこの新作作曲大枠合意したヴェルディ提示した条件ヴェルディ作曲料として15フランス・フラン受領する(これは彼の最近作ドン・カルロ』の4倍という法外なものであった台本ヴェルディが彼自身支出によって、彼の選んだ作家作成させること 台本イタリア語あるべきこと 1871年1月予定される初演ヴェルディ選んだ指揮者によって行われるべきこと ヴェルディ自身にはカイロに赴き初演監督する義務はないこと 仮にカイロでの初演が6か月以上遅延した場合ヴェルディ彼の任意の歌劇場でそれを初演できること 初演以外の全ての上演に関する権利ヴェルディ保持すること という、もはや十分安定した生活を手にした世界的作曲家ありながら、相変わらず経済的に抜け目のない彼の特性存分に発揮され要望であったが、闊達なイスマーイール・パシャはその全て受諾したのだった

※この「カイロからの委嘱」の解説は、「アイーダ」の解説の一部です。
「カイロからの委嘱」を含む「アイーダ」の記事については、「アイーダ」の概要を参照ください。

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