イスラム文化と砂糖と十字軍とは? わかりやすく解説

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イスラム文化と砂糖と十字軍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 13:47 UTC 版)

菓子」の記事における「イスラム文化と砂糖と十字軍」の解説

7世紀イスラム教成立、それを背景とするイスラム帝国勃興する。同じ頃ペルシアではサトウキビ発酵させない精糖法が考案され長期保存可能になった砂糖貴重な交易品としてイスラム帝国拡大とともに東西広まっていった。711年イスラム帝国ウマイヤ朝の時代には、北アフリカ一帯勢力下に収めイベリア半島征服地中海沿岸大きく版図広げた。それにつれてサトウキビ栽培精糖技術地中海沿岸諸国広がったが、ヨーロッパ広く砂糖知られるうになるのは、後の十字軍時代であったイスラム教成立以降キリスト教世界との対立続きヨーロッパにおいてようやく国家的安定得られはじめた11世紀から13世紀まで200年間、聖地奪還掲げて幾度もキリスト教圏から東方へと十字軍の遠征が行われた。人の往来交流を生み軍路の発達物流助け結果として砂糖香辛料はじめとする東方物産ヨーロッパに広まることとなった。だが、イタリア都市通じ地中海貿易でしか得られない砂糖は、貴族富裕層の間でしか手にできない貴重品であり、そのほとんどが滋養のためのいわば薬用として処方されるもので、菓子製造利用するではなく当初わずかにふりかけるといった用いられ方だったとも考えられている。また、貴重品であった砂糖取引はやがて教会許可制となり、修道院などで薬酒として作られていたリキュール酒の材料として香辛料と共に用いられることとなり、後年、甘いリキュール酒として菓子作り活かされることとなった砂糖だけでなく十字軍もたらした文物は、ヨーロッパ菓子作り様々な影響与えることとなった小麦育たない寒冷地でも栽培できる穀物ソバも、十字軍によってヨーロッパもたらされたもので、フランスではサラザンと呼ばれている。中世においてアラブ諸民族を指す「サラセン」に由来した名だと考えられており、現代でもクレープなど様々な菓子利用されている。また、フランス南西部に伝わる「パスティス」とモロッコに伝わる「パスティリャ」や、オーストリアの「シュトゥルーデル」とトルコの「バクラヴァ」の形の類似などから、広い範囲での交流があったとも考えられている。 食文化暗黒期とも言われていた中世であるが、ローマ時代基本がほぼ完成していた各種焼き菓子には、砂糖リキュールなどによるさらなる工夫素地用意され時代でもある。さらにインド原産オレンジレモン中国原産アプリコットなどがイスラム世界経由して、さらに十字軍により運ばれ砂糖広まりとともに砂糖漬けにされた果実が、食後のデザートとして用いられるようになり、糖としての確立につながることとなる。そして、ブドウ酒果実ジュース入れた容器を塩を混ぜたや氷の中で撹拌するといった、現代にも通じ氷菓製造法伝来しアラビア語で飲むを意味する「シャリバ」が語源と言われるフランスの「ソルベ」、英語の「シャーベット」といった氷菓イタリアなどで作られはじめた現代欧風菓子の、小麦粉などの焼き菓子主体としたパティスリーPatisserie)、糖質主体となったであるコンフィズリーConfiserie)と氷菓であるグラスGlace)といった大別は、中世十字軍東方遠征により図らずも育まれ文化交流によって成立していったとも考えられている。

※この「イスラム文化と砂糖と十字軍」の解説は、「菓子」の解説の一部です。
「イスラム文化と砂糖と十字軍」を含む「菓子」の記事については、「菓子」の概要を参照ください。

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