アメリカの履歴書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 20:53 UTC 版)
アメリカ合衆国では、紙の履歴書も極僅かに使われてはいるものの、インターネットの普及以降は「ジョブサイト」や「LinkedIn」で就職情報を交換するため、ファイルフォーマットでの履歴書が合理的かつ一般化している。また応募者の「熱意」や「忠誠心」などの精神的なものより、「即戦力として貢献できるか」を重視する実理的文化風土のため、電子メールに履歴書を添付したり、ファクシミリで送ることも一般的である。 特に、ある程度以上の規模の企業では、実際の募集部署に履歴書が届く前に人事担当者や就職エージェントによる前段階選別(プリスクリーニング)が行われ、ファイルフォーマットの履歴書は、募集職に関連したキーワードをコンピュータで検索するのに適しているので重宝がられる。逆に手書きの履歴書は、書き手によっては読みにくい場合があることと、「パーソナルコンピュータでビジネス文書の作成すらできない」ことの証拠にもなるため、まず使われることはない。 特に定まった書式はなく「自由形式」であるが、典型的には以下のような項目と順序で作成する。 氏名及び連絡先(必ず氏名を書く必要は無く、ニックネームがある場合はここに書く) 目的:求職している地位(管理職、エンジニア、販売員など)事業分野(建設、小売、医療など) 職務分野(開発、顧客管理、研究など) 自己紹介ハイライト:得意分野、過去の功績、特殊技能など。 資格:政府のセキュリティクリアランス、機械操縦免許、在留資格(査証)など、職務に直接関係する特殊なもののみ。 職歴:最近のものから、逆時系列順に以下の項目(応募職務分野に関係ないものやアルバイト的なものは記載しないこともある)肩書き(カストマサポートエンジニア、電話オペレータなど) 会社名、事業部門、所属部署、場所(州と市) 期間(月・年ー月・年) 担当職務、成果など(最も重要) 学歴:最終学歴のみ、または大学以上の高等教育機関や職業訓練機関は名称、コース(分野)、期間もしくは卒業・中退・終了時期、取得資格・学位を列挙 その他:職歴と学歴に記載できない職務に関連した自己アピール、または勤務地・勤務形態・勤務時間の希望など 照会先:応募者の身分・経歴の問い合わせ先(氏名・連絡先・関係)もしくは「要求に応じる」との一文。近年では省略されることが多い 日本の履歴書と比較すると、以下の事柄が特徴的である。 職務に直接関係する本人の情報のみ記載(趣味や家族構成、普通自動車免許などは書かない) 職歴・学歴は最新のものから逆時系列的に列挙 性別・年齢・顔写真・生年月日を要求することは、子役やモデルや俳優など、企業側が合理的理由による明確な説明責任が立証出来無い限り、年齢や容姿・人種などによる、人種差別・年齢差別・就職差別に繋がるので、記載は禁止かつ質問も違法である。よって、履歴書には記載・添付せず、入社が正式に決まり、初出社の社員登録時に誕生日を記入することになる。 また、生地、出身、就業可能資格(市民権・査証)確認以外の目的での国籍、信仰する宗教・宗派、家族構成、健康・障害者状態などによる就職差別も、同様に違法となるので、会社側は要求できないが、記載することは本人の自由である。 ただし、麻薬・覚醒剤などの違法薬物の使用の前歴の審査は厳しく、会社によっては採用決定前に会社の指定する検査機関で、薬物使用の有無を検査することを要求される。同様に、過去に重罪の犯歴がないかどうかを専門機関に調査させる会社もあるが、この場合も調査に必要な情報(現在及び過去の氏名と住所、生年月日、社会保障番号など)は会社には渡さず、調査機関のみに開示する。 履歴書のスペースに書ききれない、自己PRおよび「熱意」の表現として、「カバーレター」と呼ばれる、簡潔な手紙を添えることもある。
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