アトラス・アジェナD
名称:アトラス・アジェナD(Atlas Agena D)
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
開発機関・会社:アメリカ航空宇宙局(NASA)
運用機関・会社:アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ場所:ケープカナベラル空軍基地
運用開始年: 1963年
運用終了年: 1978年
アトラス・アジェナ(アジーナ)Dは、アトラスICBMを基にした宇宙ロケットに、アジェナ上段を組み合わせた衛星打ち上げ機です。アジェナ上段は、アメリカ空軍が軍事衛星の打ち上げ用に開発したもので、第2段のロケット・エンジンを何回も噴射して軌道を変更できることが最大の特徴です。アジェナ上段にはいくつもの型がありますが、最初にアトラスと組み合わされたのはアジェナAで、1960年にデビューしています。改良型のアジェナDとアトラスを組み合わせたアトラス・アジェナDは、1963年9月に1号機が飛行し、1966年からは第1段の推進剤タンクを3m延長したアトラス・アジェナD(SLV-3A)が使われるようになりました。アトラス・アジェナDは、月探査機や火星探査機の打ち上げに用いられたほか、アジェナD上段はジェミニ有人宇宙機のランデブ実験の標的GATV(Gemini-Agena Target Vehicle)としても使われました。
1.どんな形をし、どんな性能を持っているの?
アトラス・アジェナDの第1段部分となるアトラスは、きわめて薄いアルミニウム合金のモノコック構造を特徴とし、3基のロケット・エンジンを並べたMA-5システムを持っています。アジェナD上段は直径1.5m、長さ7.7mで、非対称ジメチルヒドラジン(燃料)、赤煙硝酸(酸化剤)の貯蔵可能推進剤を使うハスラー8048エンジン(推力7.3トン)1基を持っています。ジェミニ有人宇宙機のランデブ実験の標的となったGATVではアジェナDの先端にドッキング装置が付いて、ジェミニとドッキング後はジェミニ側からの指令でアジェナのエンジンに点火することができました。後には第3段にバーナーII、第4段にスター17を載せて(いずれも固体ロケット)、4段ロケットとしても使われました。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
アトラスはMA-5の3基のエンジンに同時に点火して離床しますが、両側のブースター・エンジンは139秒後に切り離されます。アトラスは中央のサステイナー・エンジンのみで上昇を続け、離床247秒後にサステイナーを停止して、アジェナD上段を切り離します。アジェナD上段は自身のエンジンに点火して衛星軌道に乗りますが、必要ならばエンジンに再点火して軌道を変更、あるいはペイロードを地球脱出軌道に乗せます。アトラス・アジェナDのペイロードは、低地球軌道で1,325kgでした。
3.どんなものを打ち上げたの?
ルナー・オービター1〜5、マリナー5、GATVを打ち上げました。
アジェナ-D
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/21 07:05 UTC 版)
「アジェナ (ロケット)」の記事における「アジェナ-D」の解説
アジェナD型はロッキード社工学担当執行役員ローレンス・エドワーズ(英語版)のした提案の結果であった。エドワーズは基本的なアジェナの構成を標準化することを提案し、ペイロードの要件次第で付加的な要目を追加するように持ちかけた。また、彼は、アメリカ国防総省からの「タイタンロケットと運用上で互換性が有るようにせよ」との要望があることも暗に漏らしたのである。デイヴィッド・スパイアズ(David N. Spires)は標準化をこのように要約する。 The Agena D's common configuration included four usable modules containing the major guidance, beacon, power, and telemetry equipment, a standard payload console, and a rear rack above the engine for plug-in installation of optional gear-like solar panels, "piggyback" subsatellites, and an optional Bell Aerosystems engine that could be restarted in space as many as sixteen times. 「アジェナD型の一般的な構成は4つの便利なモジュールを含んでいた。4つとは、誘導、ビーコン、電力、そしてテレメトリ機器、標準的なペイロード操作卓、随意に使える装備のように利用できる太陽電池を差し込んで搭載するためのエンジンの上にあるリア・ラック、"相乗りの"小型衛星たたち、宇宙空間で60回も再着火できるオプション装備のベル・エアロシステム製エンジン、こんなところだろうか。」 アジェナD型は直径1.5メートル(60 inch)で、長さ6.3メートル(248 inch)あった。内蔵電池からは19,500ワット時の電力を供給した。2012年現在、アジェナD型はアメリカ製上段ロケットの中で一番多く打ち上げられたものである。アジェナのために用意された特別な生産ラインは毎年40機ものアジェナDを出荷するために準備された。 ローレンス・エドワーズは空軍がアジェナDはその設計が実用に耐えられるまでに枯れた状態にあると宣言するまでの数年間、エンジニアリングに責任のある立場にとどまった。アジェナDの退役までに、その信頼性は95パーセント以上に達した[要出典]。アジェナDはKH-7・ガンビット偵察衛星、マリナー計画では3機の金星探査機(1号、2号、5号)、2機の火星探査機(同3号、同4号)を打ち上げるのに使われた。
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