『双葉原子力地区の開発ビジョン』とは? わかりやすく解説

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『双葉原子力地区の開発ビジョン』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 02:06 UTC 版)

福島の原子力発電所と地域社会」の記事における「『双葉原子力地区の開発ビジョン』」の解説

財団法人国土計画協会福島県企画開発部依頼により『双葉原子力地区の開発ビジョン』を1966年10月より調査開始し1年余りをかけて報告書作成した調査委員会委員長早稲田大学教授松井達夫審議会には東京東北の両電力会社の他農水省などが名を連ね調査員建設省日本原子力研究所、県園芸試験所などから派遣されている。当報告書によると原子力発電所立地地域開発どのように行えばよいか、関係機関協力して行った日本最初の調査であるとされており、佐藤康幸次のような点を引用している。 双葉地域数十年先はともかく、その工業立地条件から原子力発電以外の大工場立地という面からみて多く望み得ない地域でもあるので、むしろ原子力発電地帯徹底し、県としては只見水系揚水発電再開発などを含め電力供給としての地歩確立するよう努めてはどうか。そして原子力地域としての開発をこの双葉地域の開発理念とすることも考えられる将来何か関連産業考えられないわけでもないが、今日段階では、この地域の特殊事情併せ考えて燃料再処理工場とその関連工業をあげることができよう。(中略東京電力(株)原子力発電所建設契機として、当地区の様相一変し開発進展することは明白である。しかし、そのことによって、工業開発直接的な効果期待することは早計であろう。まず第一に原子力発電所立地現時点孤立的であり、また自己完結的である。このことは、わが国既存、あるいは建設中原子力発電所立地見ても明白であり、かえって近傍都市的あるいは工業的集積があることを忌避する傾向にある。 — 国土計画協会『双葉原子力地区の開発ビジョン』 なお、上記登場する揚水発電構想については『福島県第18巻』がより詳しい。同史は『東北地域観光開発構想計画開発指針』(1968年)を参照しながら「将来原子力発電発展し発電コスト下がってくると、同じ発電形態を持つため競合関係にたつ火力発電所は、資源的にも有限のため重きをなさなくなりかわって電力運営上から補完関係にある揚水式水力発電所開発促進されてくる。このため県有数の観光地である雄国沼檜原湖もしくは猪苗代湖利用した揚水式発電所計画されてくる。」と説明しながらも、課題として自然景観保護との調和挙げ「常に本県をして、電力供給としての機能せざるを得なかったこの歴史的事実の殻を破って県民のための電力消費確立するのはいつの日であろうか」と上記開発ビジョンとは異な視点結んでいる。 佐藤康幸1989年に『財界ふくしま』『月刊官界』などに投稿した記事で、内容の一部は色あせているが、20年上前にまとめられ調査報告書とは思えないほど新鮮と評している。また、1967年12月楢葉町議会では同町を「10万都市にしてみたいということだったが」という議員発言があり、これは佐藤によると上記調査又聞き誤読したものであるという。調査では各町の機能分担にも触れられ下記のようになっていた。 浪江町商業娯楽機能 双葉町大熊町住居研究所機能 富岡町行政文教機能 また、21世紀に向け、東海村とその両脇(北隣の日立市と南隣のひたちなか市)の関係のように、大熊と45km離れた周辺地域(いわきと相馬)に日立製作所のような大規模な工業集積見られる段階になった場合原子力産業以外の工業締め出される懸念まで想定している。また、自家発電制度改正し原子力導入を可能とし、アルミ精錬等の電力消費産業誘致することで原子力と他産業直結した形で発展させる方法についても提言された。 なお、この調査結果自体は、一般公衆広く公開されることは無かったばかりか地元町にも知らされず、県と委員会参加組織だけが知っていたという。

※この「『双葉原子力地区の開発ビジョン』」の解説は、「福島の原子力発電所と地域社会」の解説の一部です。
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