『双魚扇墜』とは? わかりやすく解説

『双魚扇墜』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 10:14 UTC 版)

白蛇伝」の記事における「『双魚扇墜』」の解説

次に万暦年間(1573-1620年)頃になると、南宋時代語り物テキストにしたと思われる『双魚扇墜』(『孔淑芳雙魚扇墜傳』)がある。日本語訳は、今西凱夫 訳の『熊龍峯四種小説双魚のさげさがり』がある。ここでは、白蛇でなく妖気ただよう幽霊若い男商人誘惑されることになっているが、唐代『李黄』とは異なりあわや殺されるところを真人救われるというプロット『西湖三塔記』類似している。なお、明初の洪武11年1378年)頃成立したとされる瞿佑(くゆう、(中国語版)) 撰の『剪燈新話』巻2に収録の『牡丹燈記』との類似性示唆されている。 『双魚扇墜』あらすじ弘治年間(1488-1505年)、臨安府の徐大川という富翁の息子26歳商人の徐景春は弁当持って遊山に出かけたが、日暮れ帰宅しようとしたところ侍女連れた一人美女見かける時の移り変わり嘆ずる様子に景春は思わず話しかける聞けば両親とものみに来たがはぐれてしまったとのこと。景春が名を訊くと、町の役人次女で孔淑芳といい侍女の玉西湖仮住まいとのこと。景春は美女住まい、幽軒と名付けられ小さな家まで送っていった。女が侍女にささやくと秋の香ただようあずまや酒肴並べられた。何杯か杯を重ねると女は景春を誘惑し二人はたのしみをきわめた先に家に帰され丁稚は景春の両親問われるが、結局景春はその夜帰宅しなかった。徐家の隣に住む張世傑新河壩にある孔家の墓所のそばを通りかかると、墓の中からすすりなきのような人声きこえた。世傑が寄ってみると、一人の男が地べたにひれ伏しており酔いしれたようにわけのわからぬことを口走っている。助け起こせば隣の徐景春である。張世傑は家まで送り届け両親息子妖怪取りつかれて住んでのところであの世ゆきだと注意した近所老人が、この子前世の因縁めぐりあっただろうか妖気も濃いはず、急いで護符いただいて手当すれば無事にすむかも知れん、などとすすめた大川あわてふためき法事神頼みをしたところ景春の病気癒えたので、商品仕入れ息子臨清行って商売させることにした。商売うまくいき、何倍もの利益得て息子帰ってきた両親は景春に縁談探し息子郡の役人廷暉の娘を娶った。やがて半年が過ぎると両親はまた商売をしてくるよう促す。景春は妻の反対押し切り、船を雇って旅立つ常州につくと商売をしてたっぷり利益をあげ帰途についた。まず北新関の張克譲の家に行き帳尻を合わせ、こんども丁稚先に家に帰らせた。ちょうどその日端午の節句だったため、張克譲は無理に景春をもてなす。申の刻になって別れ告げ酔い覚まし城壁沿って歩いていくと、あの孔淑芳が前に立ちふさがる。景春はぼんやりと我を失い女と手取り合って歩いていく。女は思い出の品にと双魚かたどった扇のさげさがり(扇墜)を景春に渡し、景春は手巾女に贈った。そして城壁近く地上五更のころまで情交耽った。そしてよろめきながら帰宅したが、起き上がることもできず「淑芳さん」と叫ぶばかり。大川くだんの老人相談し法師救い求めることにした。次の日の朝、大川老人法術あらたかな真人の住む紫陽宮に参ずる真人は「お前の息子妖怪魅入られ明日にも死ぬことになっている。わしにも救うことはできぬ」と断った。皆は再拝哀願続けると、真人やむを得ず山を下り法壇立てて神将二人城隍神土地神呼び出した真人は印を結び呪文念じると、陰鬼を捕らえ来り追放せよ、と命じた。神たちが引っ立ててきた孔淑芳と侍女拷問した。孔淑芳は「自分若年にて世を去り毎日無聊を託っていたが、古例にならい百年情愛求めて云々」と自白書を認めた真人は二妖鬼閻魔大王送って処罰した。これよりのちこのあたり一帯平穏となり、景春は子をもうけ、おわりをまっとうした。

※この「『双魚扇墜』」の解説は、「白蛇伝」の解説の一部です。
「『双魚扇墜』」を含む「白蛇伝」の記事については、「白蛇伝」の概要を参照ください。

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