「サンカ」という語彙の歴史とは? わかりやすく解説

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「サンカ」という語彙の歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 20:48 UTC 版)

サンカ」の記事における「「サンカ」という語彙の歴史」の解説

サンカ」という言葉現れたのが、江戸時代末期幕末)の文書最初である。北海道名付け親でもある探検家松浦武四郎著書サンカに命を救われたとの記述がある。彼ら自身サンカ名乗ったわけではないため「サンカ」はこれ以前口語として存在した推察される。この手記では単に「山に住む人」という意味で使われている。広島庄屋文書(1855年)にも「サンカ」の語は登場し「山に住む犯罪者」の意で記述されている。 明治に入ると警察中心とした多く行政文書に「山窩」と記述され、ほとんど山賊同義言葉として使用される民俗学者柳田國男警察依頼受けて山窩」の現地調査行ったのもこの時代である。行政文書に「山窩」が登場する頻度次第減り第二次世界大戦中にはほぼ皆無となっている。 「サンカ」の語が一般に広く知られるようになったのは、戦後サンカ小説によって流行作家地位確立した三角寛発表した一連の作品群によるところが大きい。これらは実際に山中住みサンカ」と呼ばれた実在の「松浦一家」への取材基づいている。しかし三角商業小説家であり「サンカ小説」の内容娯楽性追求した完全に創作人間ドラマである。三角小説流行したことで、その設定元に風の王国』を執筆した五木寛之など、更にファンタジー性が増した大衆小説大流行した三角協力仰いだ映画瀬降り物語』(中島貞夫監督)も制作されている。サンカ文学流行後にはサンカ被差別民であり、サンカへの偏見是正しようという誤解基づいた運動見られるうになるが、そのころには山間里部不定住者はほぼ消滅していた。 1980年代オカルトブームでは謎多きサンカ格好題材となり、神代文字使用する超能力を使う、古代文明生き残りであるなど荒唐無稽な本が多数出版され様々な誤解俗説を産むようになった。更に一部懐疑主義者からは「サンカオカルト好きの創作ではないか」と実在まで疑われる事態となったその後サンカ研究では、単純な貧困層山間里部さまざまな隙間産業的な生業に就いていた者)と、犯罪者あるいは犯罪者予備軍隠れ家としての生活形態持っていた者を切り離して考えようという見方一般的になりつつある。しかし全国的にサンカの名称が使われ出したのは、もっぱら官憲用語としてであったことを考え合わせると、これもまた間違いであり、学問的中立性欠いているという批判もある。強い監視が必要であると過去目されていた一定の集団は、単純な貧困層より早い段階(おそらく昭和初期)に社会構造変化官憲圧力により山間部里部からは姿を消したであろうという考察もある。社会学的側面で「サンカ」という言葉やそれを取り巻状況検証する動き成果上げており、議論一定の方向性生まれつつある。 江戸時代末期から大正期用法から見て、本来は官憲用語として色合いが強い。その初期から犯罪者予備軍監視および指導対象者を指す言葉として用いられたことが、三角寛小説における山窩像の背景となっている。また、サンカ学問対象として捉えた最初存在と言ってもよい柳田國男やその同時代研究者らも、その知識多く官憲情報頼っている。官憲刑事政策によって幕末から発生した流民虞犯に対して川魚漁をし、竹細工もする、漂泊民」の呼称であるサンカが(「山窩」という当て字で)使われた。それがマス・メディア載って流通し一人歩きし果てに、日本の中で異な習俗をもった異な種族如き意味を孕む至ったという。官憲からの情報で「山窩らしき」者を調査した柳田は、鷹野弥三郎サンカ=犯罪者論を鋭く批判し彼等窃盗は「財貨対す観念相違に基づく」ものであるとして一応擁護立場立っている。

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