《砥石》の正しい読み方
「砥石」の正しい読み方
「砥石」の正しい読み方は「砥(と)+石(いし)」で「といし」である。漢字一文字ずつの読み方は、「砥」は音読みでは漢音で「シ・テイ」、訓読みでは「と・といし」であり、「石」の音読みは呉音で「ジャク」、漢音で「セキ」、慣用音で「シャク・コク」、訓読みでは「いし」である。「砥石」の意味解説
刃物や石材などをといだり磨いたりするための石であり、天然砥石と人造砥石に分けられる。天然砥石は、石の粒子の大小や硬さにより、荒砥(あらと)・中砥(なかと)・仕上砥(しあげと)の3種類に区別され、荒砥は砂岩・花崗岩などを含む石で、主に新しい刃物などの成形や刃こぼれの修復に、中砥は安山岩・凝灰岩・粘板岩などの泥岩質の石で荒砥より粒子が細かいため、荒とぎ後の刃面を滑らかにする中仕上げに、仕上砥は珪質粘板岩でさらに粒子が細かいため、刃先を鋭くする最終仕上げに使用される。これらは天然石のため均質な石を確保するのが難しくコストもかかるため、19世紀後半以降は人造砥石も積極的に用いられている。一般的には水をかけながら刃物などを砥石に繰り返し擦り付けてとぐが、メスなどの小さい刃物の場合は、粒子が細かく堅い砥石に油を数滴落してとぐ。また、工場での製品加工では、使用目的に合わせ砥石を三角・円錐形などさまざまな形に加工してから使われることが多い。
なぜ「砥石」と読むのか・理由
砥石は日本では、古くは旧石器時代に使用されており、長野県信濃町の約3万5,000年前の日向林B遺跡からは、鋭利に加工された磨製石斧と一緒に砥石が発見されている。時代が進み鉄器が伝わってからは狩猟用具・農工具・武器などの研磨にも用いられ、長い間人々の身近な道具として使われてきた。「といし」という字音は、「砥」と「石」の訓読みを合わせたものだ。また、訓読みは、中国から伝来した漢字が持つ意味に相当する当時の日本語を当てはめたものである。したがって「といし」という読みは、「刃物や石などをとぐ」という意味で中国から伝来した「砥」と岩石を意味する「石」という漢字に、すでに日本で行われていた「とぐ」という動作を指す「と」、岩石を指す「いし」という音を当てはめ、合わせて「刃物や石などをとぐ石の道具」という意味で使用されるようになったと考えられる。
「砥石」の類語・用例・例文
砥石の類語には、「磨石(すりいし)」(石器時代や縄文時代などに何かを研磨した跡が認められる石)、「剃刀砥(かみそりど)」(カミソリをとぐのに用いる砥石)などが挙げられる。用例・例文には、砥石そのものとして使用される場合が多く、「砥石のように」など砥石の形状や雰囲気に例えて形容詞や副詞として用いる場合もある。
用文・例文は次のとおり。
・仕事場のすみの砥石でかんなの刄をといでいました。(新美南吉「小さい太郎の悲しみ」)
・砥石の上で、彼が静かに剃刀を返すと、なめらかな石の肌で、剃刀の刃が冷たい音をたてた。(山本周五郎「樅ノ木は残った」)
・ペンナイフは、今でも砥石をあてないでよく切れるのに(寺田寅彦「断水の日」)
・石畳は一つ一つが踏みへらされて古い砥石のように彎曲していた。(有島武郎「星座」)
・砥石で鎌をとぐ時のような低姿勢で、乳母車をすうッとゆるやかに発車させた。(木山捷平「大陸の細道」)
・彼女の顔はいつものとおり砥石のように平静で、感情を動かされたようなけはいはまったくなかった。(山本周五郎「季節のない街」)
・なめらかに砥石のやうな青みを(北原白秋「東京景物詩及其他」)
「砥石」の英語用例・例文
砥石は英語では次のように表記される。「sharpening stone(砥石)」「grinding stone(砥石・研削砥石)」「grindstone(砥石・グラインダー・回転研摩盤・丸砥石)」「whetstone(砥石)」「hone(かみそりなどの砥石)」など。
用例・例文は次のとおり。
・He sharpens the knife using a sharpening stone.(彼は砥石を使って包丁をとぐ。)
・We know the proper way to use a grinding stone.(我々は研削砥石の使い方を知っている。)
・The grindstone was placed onto a rotary apparatus.(その砥石は、回転装置の上に置かれた。)
・a smooth whetstone used at the last stage of sharpening something(仕上げに使う滑らかな砥石)
・I polished my razor with a hone.(私は砥石でカミソリをといだ。)
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