《くる》の敬語
「くる」の敬語表現
「くる」の尊敬語としては①「お見えになる」②「いらっしゃる」③「お越しになる」等があります。「来られます」という尊敬語もありますが、受け手によっては①②③と比べて敬意を感じない方もいますので、特に目上の方に使用することは避けたほうが良いでしょう。敬意の高い順は高い方から①②③の順となります。また②は対象が複数の人物でも使用することが出来ます。次に「くる」の謙譲語としては「参る」「伺う」があります。「参る」はひらがな表記にして、補助動詞として使用することも出来ます。「伺う」は「伺います。」としても良いですが、「お伺いします。」とした方がより丁寧さを相手に印象付けることが出来ます。最後に「くる」の丁寧語は「来ます」となります。日常会話等でも使用されることが多い一般的な言葉ですが、目上の方との会話やビジネスシーンで使用すると、軽い印象を与えることもありますので、使用する場合には時と場所を考えましょう。
「くる」の敬語の最上級の表現
敬語には、一般的な敬語とは別に、身分や位の高い人に使用する最上級敬語というものがあり、「くる」にも当然最上級敬語があります。「くる」の最上級敬語は「おはします」です。漢字で「御座します」と書くことからもわかるように、「おはします」は「いる」の最上級敬語も兼ねています。従って、文章で「おはします」との記載がある場合、どちらの意味かは前後の文脈で判断するしかありません。また「おはします」は最上級敬語ですので、一般社会における日常会話で使用されることはまずありません。主に天皇・皇后及び皇族の方々に対して使用します。「くる」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「くる」の謙譲語「伺う」をビジネスメール・手紙等で使用する際の例文としては「新商品の開発について打ち合わせをお願いしたくご連絡いたしました。10月1日にお伺いしたいのですが、いかがでしょうか?」「先日の不手際につきまして、謝罪にお伺いしたくご連絡いたしました。ご都合の良い日時をご教示ください。」等があげられます。そして「参る」の例文としては「予定通り、明日の午前11時に御社へ参ります。」「来週の木曜日に引き取りに参りたいと存じますが、田中様のご都合はいかがでしょうか?」等があげられます。「くる」の尊敬語の中で、ビジネスメール・手紙等で使用する頻度が多いのは「お越しになる」です。例文としては「来週木曜日午前10時にお越しになる際は、認印をご持参ください。」「今度、弊社にお越しになる際は、事前にご一報ください。」「明日お越しになる時には、お見積書をお渡しします。」「なお駐車場がございませんので、会場にお越しになる場合は、公共交通機関をご利用ください。」等があげられます。なお「お見えになる」や「いらっしゃる」は口頭で使用することの多い言葉ですので、ビジネスメール等ではあまり使用しません。
「くる」を上司に伝える際の敬語表現
上司にお客様や社長・重役等が来たことを伝える「くる」の敬語表現としては、「お見えになる」が適切です。「いらっしゃる」や「お越しになる」も敬語表現としては正しいといえますが、ビジネスマナーとしては正しくありません。これは「お見えになる」が最も丁寧な言い方であるからです。一方、「いらっしゃる」や「お越しになる」は「お見えになる」に比べて丁寧さが低くなります。従って、例えば「部長、社長がお越しになりました。」や「部長、社長がいらっしゃいました。」と話す場面では「部長、社長がお見えになりました。」とするのが適切です。「くる」の敬語での誤用表現・注意事項
「くる」の敬語での誤用表現で最も注意しなければならないのが二重敬語です。「伺う」を文書や口頭で使用する場合、「お伺いします」が適切ですが、「お伺いいたします。」と使用されることがあります。この「お伺いいたします。」は「伺う(くるの謙譲語)」+「いたす(するの謙譲語)」+「ます(するの丁寧語)」となり、謙譲語を重ねてしまう二重敬語となります。また「お見えになられる」や「お越しになられる」「お伺いさせていただく」も使用されることがありますが、これらも二重敬語ですので、使用しないようにしましょう。次に謙譲語を使用すべき場合に、尊敬語を使用してしまうこともよくある誤用表現です。例えば、取引先の重役が自社の社長に面談する目的で来訪しているときに、社長が来ることを相手に伝える場合、「社長がまもなくお見えになります。」と伝えてはいけません。社内においては、社長は尊敬される立場ですが、取引先等の対外的にはへりくだる必要があるため、謙譲語を使用しなければなりません。従ってこの場合、「社長がまもなく参ります。」等とすべきです。
「くる」の敬語での言い換え表現
「くる」の尊敬語で使われる「お見えになる」「いらっしゃる」「お越しになる」の言い換え表現としては、「おいでになる」や「ご来訪くださいました」があります。「おいでになる」は日常的な会話でもよく使われます。「ご来訪くださいました」は「お見えになる」等よりも感謝の気持ちを強く表わす場合に使用されます。「伺う」や「参る」の言い換え表現としては「お目にかかる」があります。《くる》の敬語
来るの敬語表現
来るという言葉には、空間的に離れているものが自分のいる方に向かって近づく、または自分がいる所に再びやってくると言った意味があります。来るの敬語表現には尊敬語(いらっしゃる・お見えになる・お越しになる・おいでになる)、謙譲語(参る・伺う)、丁寧語(来ます)の三種類があります。「お見えになる」は、目上の人がこちらへ来るという意味です。使い方は「社長がお見えになります」が正しい表現だといえます。気をつけなければならないのは「社長がお見えになられました」などとしてしまうと、二重敬語になってしまうという点です。「いらっしゃる」は一人または複数の人間に対して利用する事ができます。「お越しになる」という表現を使うと、「来る」というよりも「赴く」といった意味合いが強くなってしまうでしょう。「お越しください」とした方が、「来てください」よりも柔らかい表現になります。「来ます」は丁寧語ですから、目上の人に使ってしまうと場合によっては失礼になってしまうことがあります。対等な相手を丁重に扱いたい時に使用するのが、適切な使い方だといえるでしょう。「参る」には到着する場所に対しての尊敬を示す意味と、「来る」の丁寧語という2つの用いられ方があります。「伺う」は訪問するのへりくだった表現です。来るの敬語での誤用表現・注意事項
来るの敬語表現である「いらしてください」は、「いらっしゃってください」を省略した形で、「いらっしゃる」と「ください」を組み合わせた言葉となります。「いらっしゃる」には「来る」の尊敬語というだけでなく、「行く」あるいは「居る」に対する尊敬語という使い方もされています。ですから「いらしてください」を目上の人に対してこちらに来てほしいという時に使用する場合は、誤解を与えないように「お越しください」など別の表現を使うなどした方が相手を不快にさせないでしょう。来るの敬語での言い換え表現
「来る」を言い換えた表現としては、「馳せ参じる」・「罷り出る」などがあります。「馳せ参じる」には大急ぎで自分よりも上の人のところへ行くという意味があります。「罷り出る」は厚かましく前に出る、あるいは尊い人の前から退くといった使い方をされます。古い表現なのであまり口語では使わない表現です。「ご来訪くださいました」は「来てくれた」の言い換え表現です。使い方としては、目上の人が訪ねてくるという時に用いられることが想定されています。使用方法としては「お見えになる」と似ていますが、来てくれたことへの感謝がより「ご来訪くださいました」という表現の方に強くあるでしょう。- 《くる》の敬語のページへのリンク