《お陰で》の敬語
「お陰で」の敬語表現
「お陰で」の敬語表現は「お陰様で」となります。この場合、「お陰」という名詞に敬称である「様」が付け加えられているので、敬語だとみなされます。また、一般的には「お陰様で~でした」「お陰様で~です(でございます)」といった形で使われてきました。「お陰で」の敬語の最上級の表現
「お陰で」の最上級は「御陰様で」です。そもそも「お陰」という言葉自体、特別な敬意が込められています。そのため、平易な印象にならないよう、「お陰」と平仮名混じりにするのは望ましくないとされてきました。失礼があってはならない相手への文章では「御陰様」と書くのがマナーです。同様の理由で「御陰さま」といった書き方も、強い敬意を表す場合には相応しくありません。なお、「お陰で」を使うのは主に、感謝を伝えたい文脈においてです。「御陰様で~することができました。まことにありがとうございます(感謝を申し上げます)」と、その後の文章を工夫すると、より強い敬意を表現しやすくなります。「お陰で」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「お陰で」は同僚や取引先、お客様など、さまざまな相手に対して使える表現です。そのため、敬語の「御陰様で(お陰様で)」も、ビジネスメールや手紙で頻繁に用いられてきました。以下、「御陰様で」を使った例文を挙げていきます。「御陰様で、無事プレゼンテーションが終わりました。お客様の反応は上々です。御社のご尽力に心よりお礼申し上げます。ありがとうございます」「日頃よりお世話になっております。御陰様で、弊社は創業20周年を迎えることができました」
「お陰で」を上司に伝える際の敬語表現
相手が上司の場合も、「御陰様で(お陰様で)」と伝えるのが一般的です。文章の場合、「御陰様で」と漢字を並べるように注意しましょう。さらに、「御陰様で」という最大級の敬語を使っている以上、その前後の文章の書き方にも気をつかうことが大切です。たとえば、「雨の中、送ってもらえて助かりました。御陰様で、濡れずに着けました。ありがとうございます」といった書き方では、「御陰様で」以外の部分が平易すぎるといえます。正しい書き方の例としては「雨の中、ご親切にも送っていただき、非常に助かりました。御陰様で濡れることなく到着することができました。まことにありがとうございます」といった形が挙げられます。「御陰様で」と同様に、前後の文章や単語にも最大級の敬意を含められるよう工夫しましょう。
「お陰で」の敬語での誤用表現・注意事項
「~のお陰です」という文章はあっても、「~の御陰様です」とは書きません。強いて挙げるなら「~の御陰様で~でした(となりました)」という形になります。そのうえで、「お陰で」という言葉を使うときは文脈がとても重要です。「御陰様で(お陰様で)」といった敬語表現で使うなら特に、正しい文脈を意識しなければなりません。なぜなら、「お陰で」は「他者のおかげで、利益を得ることができた」という感謝の気持ちを示しているからです。逆をいえば、間違った文脈で使用してしまうと相手への敵意、皮肉になりかねません。とりたてて自分が利益を得ていない状態では、「御陰様で」はもちろん、「お陰で」という言葉を使うことも控えましょう。たとえば、「時間通りにみなさん揃いましたね。御陰様で、会議をすぐ始められそうです」といった使い方は誤用だといえます。会議のため時間通りに集まるのは当然のことであり、おおげさに感謝したり称賛したりする行為ではありません。そこで「御陰様で」という表現を選んでしまえば、状況にそぐわないので皮肉のように聞こえてしまうのです。
より避けたいのは、明らかに不利益を被った状態で「御陰様で」という敬語を使ってしまうことです。もしもビジネス上の損害が発生し、原因を追究するとき「御陰様で弊社はダメージを受けました」と書けば、完全に皮肉となってしまいます。なぜなら、「御陰様で」が本来的に用いられるケースとは、真逆の状況なのは分かりきった事実だからです。こうした表現を取引先に使ってしまうと、今後の関係に亀裂が生じかねません。部下や後輩などの身内などに対してもかなり厳しい言い回しになってしまうので、使用を控えるべきだといえるでしょう。
そのほか、些細な利益について「御陰様で」を使うのも考えたいところです。相手がかなり目上の上司やお客様である場合をのぞき、おおげさな表現は嫌味になりかねないからです。「ペンを貸してもらい、ありがとうございます。御陰様で助かりました」のような言い方は不自然だといえるでしょう。日常で遭遇する程度の親切には、「お陰で(助かりました)」といったお礼でも通用します。
「お陰で」の敬語での言い換え表現
「御陰様で」の類語には「御恩」「御尽力」「御親切」といった表現があります。「納期に間に合わせていただいた御恩により、今の成功がございます」「皆様のご尽力で、我が社はこれほど大きくなることができました」といった文脈で使われてきました。いずれも「御」という美化語を使って、単語を本来よりも丁寧に言い換えている敬語です。「御陰様で」の代わりに使うことも可能です。《お陰で》の敬語
「お陰で」の敬語表現は「お陰様で」
親切にしてもらい助けられたことを意味する、「お陰で」の敬語表現は「お陰様で」です。「おかげさまで」と、ひらがなで使うこともあります。「お陰様で」には「様」がついているので、相手を敬う意味をもたせられるのと同時に、より強く感謝していることも表現できます。また「お陰様で」には謙遜の意も含まれているため、友人や同僚などはもとより、上司や目上の人に対しても問題なく使うことが可能です。実際の場面では、「お陰様で無事に成功しました」などのように使いましょう。また「お陰」には、別の敬語表現もあります。それは「お陰をもちまして」です。「お陰をもちまして」は、「お陰様で」とほぼ同じ意味をもちますが、より丁寧な言い方です。「お陰で」の敬語での誤用表現と注意事項
「お陰で」の敬語での誤用表現としては、「~様(~さん)のお陰様で」が挙げられます。名前に「様(さん)」をつけるのは丁寧な言い方です。その上さらに「お陰様で」を加えると、過剰な表現になってしまいます。名前のあとに使う場合は、「お陰で」のままで十分です。「~様(~さん)のお陰で」と使いましょう。「お陰様で」は、文の最初に使用するのが基本です。「お陰様で」を使う際の注意点は、ネガティブな場面では使わない、ということです。「お陰様で寝込んでいます」や「お陰様で上手くいきませんでした」などのように使うと、相手に嫌味を言っているように捉えられかねません。「お陰様でゆっくりできました」のように、相手に対し、感謝する場面で使うよう心がけましょう。「お陰で」の敬語での言い換え表現
「お陰で」は相手に助けられたときに使う言葉ですが、「お陰で」には言い換え表現がいくつかあるので覚えておきましょう。力を貸して助けるという意味の「力添え」も、「お力添え」と敬語にすることで感謝の意をより強く表現できます。例文には、「皆さまのお力添えにより成功することができました」があります。「支援」も、力を貸して助けるという意味の言葉です。支援は敬語では、「~さまのご支援をいただき」などのように使います。「ご支援を賜り」でもかまいません。「ご支援」と似た言葉に「ご助力」がありますが、これも「ご助力をいただき」や「ご助力を賜り」などのように使えます。日頃から目をかけるという意味の「引き立て」も、「お引き立て」と敬語にすると「お陰様で」の言い換え表現として利用できます。「お引き立てをいただき」や「お引き立てを賜り」などがその例です。思いやりの心を表す「厚意」の敬語表現である「ご厚意」もまた、言い換え表現のひとつです。「ご厚意をいただき」や「ご厚意により」などのように使います。- 《お陰で》の敬語のページへのリンク