《お待ちしております》の敬語
「お待ちしております」の敬語表現
前提として、「お待ちしております」も敬語表現の一種ではあります。ただ、より丁寧な言い方の「お待ち申し上げております」のほうが、目上の人への敬語にふさわしいでしょう。「お待ちしております」の敬語の最上級の表現
「お待ちしております」の最上級の敬語は「心よりお待ち申し上げております」です。「心より」という言葉で、相手を「待っている」気持ちが強調されています。「お待ちしております」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「お待ちしております」の敬語表現は、ビジネスシーンで多用されています。特に、顧客や取引先とのやりとりでは頻繁に登場するフレーズだといえるでしょう。以下、メールや手紙における例文を挙げていきます。「かしこまりました。弊社といたしましても、午前中でかまいません。それでは、お待ち申し上げております」
「たいへんお手数なのですが、添付の資料にご記入のうえ、ご返信いただけないでしょうか。心よりお待ち申し上げております」
「おかげさまで、事情を理解できました。ありがとうございます。詳しくは明後日、お会いしたときにご回答させていただきます。弊社一同、お待ち申し上げております」
「さっそくのお申込みありがとうございます。商品は店頭にてお渡しいたします。ご来店、心よりお待ち申し上げております」
「お会いできることをお待ち申し上げております。課長様にもよろしくお伝えくださいませ」
「今回のプロジェクトを成功できたのは、御社のお力添えがあったからこそです。改めて、お礼ができれば幸いです。明日は心よりお待ち申し上げております」
「少々分かりにくい住所で申し訳ございません。ただ、ショッピングモールに向かっていただければ、弊社は裏手にございます。お待ち申し上げております」
「ご担当者様がお越しになるまでには、弊社の代表も間に合うかと存じます。心よりお待ち申し上げております」
「お待ちしております」を上司に伝える際の敬語表現
「お待ちしております」はそのままの形でも上司に使えます。接頭語の「お」と、謙譲語の「おります」が用いられているので、この形のままでも上司に通用します。むしろ、「お待ち申し上げております」という言葉遣いは、身内に対してだと堅苦しくなりかねません。ただし、相手の役職がかなり離れている場合には、「お待ち申し上げております」「心よりお待ち申し上げております」などの言い回しを選びましょう。「お待ちしております」の敬語での誤用表現・注意事項
「お待ちしております」の敬語の誤用は「待たせていただきます」です。「待たせていただきます」はすでに時間が遅れていたり、相手から提案を受けたりしたうえで、発するフレーズだといえます。それに対し、「お待ち申し上げております」は「自分の提案に相手が反応してくれるのを待っている」という意味です。使う状況がまったく違うので、「待たせていただきます」は「お待ちしております」の言い換えにはなりません。さらに、「お待ち申し上げます」の使い分けにも注意です。字面だけ見ると、「お待ち申し上げます」と「お待ち申し上げております」の2つはほとんど同じに見えるでしょう。ただ、「お待ち申し上げます」は本人の意思、決意を示す言葉です。「(今から)待つつもりです」という意味だといえます。たとえば、相手の行動が遅れているとき、「それでは、終わるまでお待ち申し上げます」といった風に使います。一方、「お待ち申し上げております」は「(今この時点で)待っています」という意味です。メールや手紙を送るときは、その時点でもう「待っている」状態なので、「お待ち申し上げております」が適切です。
そして、ビジネスシーンでは「お待ち申し上げております」や「心よりお待ち申し上げております」が、相手へのプレッシャーにならないよう注意しましょう。「待っている」と意思表示されることを、「急かされている」と解釈する人は珍しくありません。「お待ち申し上げております」とは相手を歓迎する意味であり、急かす目的がないフレーズです。メールや手紙では、あらかじめ歓迎の意思を文章で伝えておきましょう。そのうえで「お待ち申し上げております」というフレーズが登場すれば、相手は素直に受け入れやすくなります。
「お待ちしております」の敬語での言い換え表現
「お待ちしております」の敬語の言い換えには、「お越しください」「ぜひともお越しください」があります。いずれも、相手に歓迎の旨を伝えている言い回しです。ビジネスシーンで使用可能な点も共通しています。強いて違いを挙げるなら、「お待ち申し上げております」はすでに決まっている予定について、「待っている」と伝えている言葉です。それに対し、「お越しください」は決まっていない予定について、「来てほしい」と呼びかけている言葉です。つまり、「お越しください」は相手に新しい提案をしたいときのフレーズだといえるでしょう。やや限られた条件で使う言い回しには「ご来臨賜りますようお願い申し上げます」もあります。これは、顧客や取引先に対して何らかの催しに来てくれるのを「待っている」と伝える言葉です。単なる商談や打ち合わせに使うことはありません。ただし、説明会やセミナー、式典などへの出席を呼びかける際には有効な文章です。
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