高度処理(排水処理の) (こうどしょり)
高度処理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 04:28 UTC 版)
下水処理場での高度処理には、下記の方法が用いられる。 窒素・リン除去 通常、高度処理とは、窒素及びリンの除去を目的とした処理の事を言う。これは、生物反応槽内に、2種類以上の嫌気・無酸素・好気的な状態をつくりだすことで、好気性菌や通性嫌気性菌等の微生物を利用して、窒素やリンの除去を行う処理方法である。代表的な処理方法として、リン除去には、嫌気・好気法(AO法)。窒素除去には、循環式硝化脱窒法(無酸素・好気法)。窒素・リン除去には嫌気・無酸素・好気法(A2O法)が行われる。 また、生物処理によるリン除去が上手く行かなかった時に備えて、生物反応槽の最終部にポリ塩化アルミニウム(PAC)等の無機凝集剤を添加し、リン酸を凝集沈殿処理することもある。(公共下水道においては、下水中に窒素分が多いため#標準活性汚泥法の反応槽では硝化が進み最終沈殿池で硝酸濃度が高くなる。すると最終沈殿池で脱窒反応(硝酸→亜硝酸→窒素)が発生し窒素ガスにより汚泥が浮上し固液分離が上手く行かず水処理に悪影響をもたらす。これを回避しようとして、硝化を抑制しようと反応槽内の溶存酸素量を下げたり、汚泥濃度を下げて運転すると糸状菌が大量発生して汚泥が沈降しないバルキングという状態になり、固液分離が上手く行かず水処理に悪影響をもたらす。公共下水道にとって脱窒は必須の技術である。) 濾過施設 最終沈殿池では比重差による固液分離を行うため、微量の懸濁物質が処理水に混入しがちである。そこで濾過施設を設置し、懸濁物質と同時にそれに含まれる物質を除去する。既存施設への追加が容易であり生物処理の不調に対する保険となるため比較的普及している。濾材には、砂からUF膜まで用いられているが、後者は再生水としてオフィス街へ供給されている。 オゾン酸化+生物活性炭 主にCODや色度除去を目的とする。オゾンの酸化力により生物処理が困難な難分解性有機物を低分子化し、後段の生物活性炭(BAC)により生物処理と吸着除去を行う、比較的新しい方式で浄水場でも利用される。 なお、都市下水においては、窒素分が多量に含まれていることから硝化を進めるようとすると処理水に多量の硝酸性窒素が含まれることになり沈殿槽において脱窒(硝酸→亜硝酸→窒素ガス)が起き、ガスが汚泥に付着浮上し固液分離に困難を生ずる。このため硝化を抑制する運転(低汚泥濃度・低酸素濃度)が行われるが、これもまた糸状菌の最適条件となり沈殿槽でバルキングと呼ばれる汚泥の膨化を招き固液分離に困難を生ずる。また硝化を抑制すると窒素分をアンモニアの状態で放流することになり極端なBODの上昇を招く。従って、都市下水道においては脱窒は必須の事項である。反応槽において脱窒を行っていない処理場では常に沈殿槽での脱窒による汚泥浮上とバルキングを繰り返し放流水質は常に悪い。 また、標準活性汚泥法の場合、嫌気・好気法(AO法)による生物脱窒法を行うのは反応槽の入り口一部を低酸素状態にすれば良く簡単に行える。これは通常反応槽は長く設計されており、いくつかに区切られているため一部だけ撹拌用の空気を少なくするだけで必要な低酸素(嫌気)状態になるからである。また返送率を上げなくても適当に戻流が発生し脱窒率を確保することができる。更に、流入水低水位運転時の水量変化による流入水停止時においても処理水のpHが低下しないという利点もある。なお、生物脱窒法を行うと必然的にリンの除去もできるが、過剰摂取されたリンが消化槽や配管において析出結晶化し、配管が詰まったりするので注意が必要である。
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