民鉄事業者
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私鉄・第三セクター鉄道においても、快速という列車種別が設定されている鉄道会社があり、JRグループと異なり、特急や急行・準急等と共に優等列車として扱われることもあるが、料金不要列車も優等列車の範疇に含めるかどうかは事業者によって相違しており、国鉄・JRと同様に「優等列車」として扱わない鉄道会社もある。例として東武鉄道伊勢崎・日光線において2017年4月まで運行していた快速・区間快速は当該列車で運用することを目的としたセミクロスシート車両である6050系で運行していたが、同社では料金不要列車には速達種別であっても優等列車という表現を用いず、一般列車と表現している。京王電鉄においても各駅停車を除く列車は優等列車ではなく、急行系列車と表現している。また、横浜市営地下鉄ブルーラインや東京メトロ東西線など、地下鉄路線でも運行されていることがある。 「優等列車#私鉄」および「急行列車#料金不要の「急行」」も参照 準急・急行などの列車種別との上下関係は鉄道会社によって異なり、下表のように3パターンに分けられる。 首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス・東京地下鉄(東京メトロ)東西線など、優等列車として「快速」および「通勤快速」などの快速の派生種別のみ設定されている路線も存在する。 快速の種別を設定している私鉄は東日本の事業者が多く、関東地区の大手私鉄では小田急電鉄以外の各社で設定されたことがある。その一方、西日本の事業者での設定は少なく、大手私鉄では阪急電鉄(京都本線)のみに留まっている。 使用する車両は特急列車や一部の急行列車とは異なり、専属で使用する車種が定められていないことがほとんどであり、基本的に一般車両(大手私鉄では通勤形車両)が使用される。例外的に専用の車両を使用する事例として、東武鉄道では伊勢崎・日光線では6050系を使用することは前記した。過去には前身車種である6000系や特急から格下げされた5700系が使用されていた。鹿島臨海鉄道ではかつて運行していた「マリンライナーはまなす」は専用車両として7000系が使用されていた。この他北近畿タンゴ鉄道宮津線では2007年3月17日まで「特急用車両を使用している」との理由から、宮津駅→西舞鶴駅間の22時台に通過駅のない「各駅停車の快速」を設定していたことがあった。 一部の私鉄で運行している快速列車には運賃の他に料金を徴収するものもあり、2021年現在ではしなの鉄道の「しなのサンライズ号・しなのサンセット号」(2015年3月以降~2020年7月までは全席自由席に変更して運行)、あいの風とやま鉄道およびIRいしかわ鉄道が運行している「あいの風ライナー」は運賃の他に指定席券(ライナー券)を必要とする。過去の例では鹿島臨海鉄道が運行していた「マリンライナーはまなす」は運賃のほかに乗車整理券200円が必要であった。この他に東武鉄道と伊豆箱根鉄道では一部座席指定の快速列車を運行していた(ホームライナー#私鉄・第三セクターにおける類似列車も参照)。 JR以外の事業者における列車種別の類型類型及びその説明路線列車種別の序列(速達順)詳細1JRと同じく、急行と各駅停車・普通との間に位置する 京王線 特急急行区間急行快速 井の頭線を除く「京王線系統」で実施されている種別区分。なお、井の頭線には快速という列車種別自体が運行されていない。 相鉄本線 特急通勤特急急行通勤急行快速 2快速が急行・準急の間となるもの 西武池袋線 特急S-TRAIN快速急行急行・通勤急行快速通勤準急準急 阪急京都本線 特急・通勤特急快速急行快速準急・堺筋準急 詳細は阪急京都本線#快速および阪急京都本線#旧・快速を参照。 3快速が急行よりも上位となっているもの 東武東上線 TJライナー川越特急快速急行快速急行準急 2013年3月16日より現行の運行種別となるが、東上線の場合は快速より上位の料金を徴収しない列車種別として川越特急・快速急行が存在する。 かつては京成電鉄や、臨時列車でのみの運転ではあったが、京阪電気鉄道と近畿日本鉄道でも急行よりも上位種別である快速が設定されていた。また、西武新宿線では、1993年12月6日のダイヤ改正から2001年12月のダイヤ改正まで、急行よりも上位種別の「快速」が存在していたが、これは平日朝ラッシュ時に本川越発の「急行」と千鳥停車を行っていた、拝島・西武遊園地発で、上石神井通過の「急行」を置き換えたものである(2012年6月に廃止された拝島快速とは異なる)。 JR以外で快速列車を運行する事業者・路線を下表に示す。「通勤快速」など快速の派生種別を運行する事業者・路線については派生種別の項を参照。 JR以外の事業者において運行中の快速列車運行事業者運行線区他の優等列車備考通過駅あり各駅に停車快速の派生種別その他の優等種別青い森鉄道 青い森鉄道線 なし なし 2018年3月17日ダイヤ改正で、線内完結列車が廃止され、野辺地駅からJR大湊線へ直通する「しもきた」のみとなる。なお、同日ダイヤ改正で、青森発八戸行の始発列車は、普通列車ながら西平内駅と狩場沢駅を通過するが、2021年3月13日ダイヤ改正で、通過駅が狩場沢駅から千曳駅に変更されている。 秋田内陸縦貫鉄道 秋田内陸線 なし あり 仙台空港鉄道 仙台空港線 なし なし 仙台駅までJR線との相互直通運転。 会津鉄道 会津線 区間快速 なし 会津鉄道会津線#運行形態を参照。 東武鉄道 東上線 なし あり 関東鉄道 常総線 なし なし 詳細は関東鉄道常総線#快速列車を参照。 首都圏新都市鉄道 つくばエクスプレス 区間快速通勤快速 なし 通勤快速は2012年10月15日ダイヤ改正日から。平日ラッシュ時間(朝は上り・夕・夜間は下り)に運転。通勤快速運転時間帯は快速の運転はない。 いすみ鉄道 いすみ線 なし あり 快速は、土休日朝の大多喜発大原行の1本のみ運行。なお、上位種別である急行列車も、土休日のみの運行。 東葉高速鉄道東京地下鉄(東京メトロ)東日本旅客鉄道(JR東日本) 東西線 東葉高速線総武線中央線 通勤快速 なし 京成電鉄芝山鉄道東京都交通局京浜急行電鉄 本線押上線 東成田線芝山鉄道線浅草線京急本線 なし あり 京急線内は泉岳寺 - 品川間のみ。 京王電鉄東京都交通局 京王線 新線相模原線高尾線新宿線 なし あり 新宿線の種別としては2013年2月22日のダイヤ改定で廃止となった。(事業者の境界駅である新線新宿駅で種別変更を行うようになった。) 西武鉄道東京地下鉄(東京メトロ) 池袋線 狭山線西武有楽町線有楽町線 なし あり 有楽町線の種別としては2008年6月14日のダイヤ改正で廃止となった。(事業者の境界駅である小竹向原駅で種別変更を行うようになった。)2001年12月までは新宿線系統にも設定されていた。 相模鉄道 本線 いずみ野線 なし あり 本線の通過運転区間は横浜駅 - 西谷駅間のみ。いずみ野線内と本線西谷駅 - 海老名駅間は各駅に停車。 横浜市交通局 ブルーライン なし なし 2015年7月18日ダイヤ改正日から、日中のみに運転。 北越急行 ほくほく線JR上越線 JR信越本線 超快速 なし 2015年3月14日のダイヤ改正で、特急「はくたか」が廃止され、代わりに「超快速・スノーラビット」(線内は十日町駅のみ停車)が新設。 しなの鉄道 しなの鉄道線北しなの線 なし なし 愛称無しの快速列車の他に、それぞれ停車駅の異なる快速「ろくもん」「軽井沢リゾート号」「しなのサンライズ号」「しなのサンセット号」が運行されている。 えちごトキめき鉄道東日本旅客鉄道(JR東日本) JR信越本線 妙高はねうまライン なし あり JR信越本線新潟駅からの直通列車。 あいの風とやま鉄道 あいの風とやま鉄道線IRいしかわ鉄道線 なし なし IRいしかわ鉄道線内は全て通過。乗車にはライナー券(座席指定券)が必要。土休日運休。 えちぜん鉄道 勝山永平寺線三国芦原線 なし なし 勝山駅→福井駅間と三国港駅→福井駅間のみ運行。 近江鉄道 八日市線 なし なし かつては本線にも設定されていた。 WILLER TRAINS(京都丹後鉄道) 宮福線宮豊線宮舞線 なし あり 特急用車両を用いる「通勤ライナー」は快速列車であるが乗車には追加料金が必要であり、これは着席サービスを伴わない日本の定期列車としては唯一の例である。 阪急電鉄 京都本線 なし あり 2001年に「急行」に統合され廃止されたが、2007年より臨時列車の種別として復活、2010年3月のダイヤ改正時には定期列車で復活。 土佐くろしお鉄道 阿佐線 なし なし JR線高知駅まで直通運転 松浦鉄道 西九州線 なし なし 佐々駅 - 佐世保駅間で朝夕に運行 各駅に停車する線区は、いずれも通過する線区と直通運転を行う。 JR以外の事業者における廃止された快速列車運行事業者運行線区備考北海道ちほく高原鉄道 ふるさと銀河線 快速「銀河」として根室本線帯広駅まで乗入れていた。 弘南鉄道 弘南線・大鰐線 大鰐線は本数の削減により、弘南線は2007年6月に平賀駅構内で発生した脱線事故の影響から、それぞれ廃止。 IGRいわて銀河鉄道 いわて銀河鉄道線 2015年3月14日のダイヤ改正で、青い森鉄道線からの直通列車、及びJR花輪線から乗り入れる「八幡平」が廃止。 山形鉄道 フラワー長井線 1993年3月8日改正で新設、1995年12月廃止。 上信電鉄 上信線 1985年前後に廃止。 鹿島臨海鉄道 大洗鹿島線 1998年12月のダイヤ改正で廃止。料金不要の「はまなす」と有料の「マリンライナーはまなす」を運行していた。 東武鉄道 スカイツリーライン日光線鬼怒川線 2017年4月のダイヤ改正で廃止。2006年以降は急行より上位の種別であった。それ以前では現行の急行電車とは異なる有料急行列車「ゆのさと」・「しもつけ」・「きりふり」が存在したため、快速はその下位であった(類型2に近い形)。快速が料金を徴収しない列車種別としては最上位種別となっている点は以前と変わりがない。1964年から1976年までは一部座席指定であった。 東京モノレール モノレール羽田線 2010年時点では「空港快速」・「区間快速」に再編され、「空港快速」が最上位に位置している。 東京急行電鉄 田園都市線 「急行」に統合され廃止。なお2007年から運転されている準急は停車駅がほぼ同じで、実質的には当時の快速の後継列車となっている。 上田交通 別所線 1990年3月10日改正で新設、1993年3月18日改正で廃止。 のと鉄道 七尾線・能登線 1988年3月25日に快速「のと恋路」号として運行開始。1991年9月1日からは「のと恋路」号が急行に昇格し、快速の愛称が無くなる。1999年廃止。 伊豆箱根鉄道 駿豆線 1988年頃から1998年3月まで運行。一部座席指定であった。 静岡鉄道 駿遠線静岡清水線・清水市内線 駿遠線は1958年5月20日から1967年10月16日まで、静岡清水線と清水市内線(港橋方面)は1953年11月24日から1958年3月9日まで存在(静岡清水線の快速は翌日以降「急行」に変更)。 天竜浜名湖鉄道 天竜浜名湖線 1996年3月16日改正で新設、2000年3月26日改正で廃止。 愛知環状鉄道 愛知環状鉄道線 2005年3月1日から9月30日まで、東海旅客鉄道(JR東海)中央本線名古屋駅から高蔵寺駅経由で愛知環状鉄道線万博八草駅(現・八草駅)まで快速「エキスポシャトル」が運行されていた。 長良川鉄道 越美南線 1997年10月1日改正で新設、1998年内に廃止。 近畿日本鉄道 南大阪線・吉野線 吉野特急の設定前、不定期で大阪阿部野橋駅 - 吉野駅間に料金不要の快速列車が運行されていた。特急と急行の中間に位置する種別で、1959年 - 1965年に「かもしか号」の列車愛称をつけて不定期特急とともに運行されていた。 京阪電気鉄道 本線 かつて行楽期や京都競馬場重賞競走開催日に臨時列車として運転されていたが、2010年時点では運転されていない。「京阪本線#臨時列車」参照。停車駅は列車によって異なる。 神戸新交通 ポートライナー 神戸空港駅までの延伸開業とともに2006年2月2日より運行開始。空港系統でのみ運行され、三宮駅を出発後、中公園駅、みなとじま駅、市民広場駅、医療センター駅、京コンピュータ前駅の順に停車。朝夕ラッシュ時を除いた時間帯に1時間あたり2本運行されており、三宮駅 - 神戸空港駅間を16分半で結んでいた。2016年3月28日のダイヤ改正で廃止。 神戸市交通局 西神・山手線 西神ニュータウンの開発に伴う人口増加による利用需要増に備え、1993年7月に運転を開始。停車駅は、西神中央駅・名谷駅・新長田駅・三宮駅・新神戸駅で、神戸総合運動公園野球場(グリーンスタジアム神戸)や神戸総合運動公園ユニバー記念競技場でイベントが開催される際には総合運動公園駅にも臨時停車していた。1995年に発生した阪神・淡路大震災の影響により休止となっていたが、各駅停車との所要時間の差がわずか6分だったこともあり実質廃止となった。 神戸電鉄 有馬線粟生線 かつて三田線にも設定されていた。一度急行に統合され廃止。2009年3月20日のダイヤ改正で復活したが、2020年3月14日のダイヤ改正で再び消滅した。なお、快速の英語表記は快速急行を意味するRAPID EXPRESSとなっていた(現行の特快速はSPECIAL RAPID EXPRESS)。 高千穂鉄道 高千穂線 1991年3月16日改正よりTR-300形気動車使用の座席指定快速「たかちほ」として運行開始。2003年3月15日、TR-300形廃車に伴い廃止 肥薩おれんじ鉄道 肥薩おれんじ鉄道線 快速は土休日のみの運行。なお、全線通し運行される列車は、鹿児島中央発新八代行の「オーシャンライナーさつま4号」と、JR鹿児島本線鹿児島中央駅から出水駅まで乗り入れる「オーシャンライナーさつま号(1~3号)」と、JR鹿児島本線熊本駅から出水駅まで乗り入れる「スーパーおれんじ号(全車)」があったが、2021年3月13日ダイヤ改正までに全廃された。詳細は「肥薩おれんじ鉄道線#廃止・休止された列車」を参照
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