痙攣 痙攣患者のマネジメント

痙攣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/09 14:17 UTC 版)

痙攣患者のマネジメント

まず、患者の前に来た時、痙攣が持続しているのかしていないのかを確認する。痙攣発作は大抵は数分で消失するが、なかには数十分続く痙攣重積というものもある。痙攣中は呼吸が満足にできないので、持続すると低酸素脳症を起こす恐れがある。30分以内に停止できなかった場合は脳に不可逆的な変化が起こる場合がある。そのため痙攣を止める必要がある。痙攣発作中の患者にはまずBLSACLSのアルゴリズムに従い救命を行う。低血糖心室細動の診断もこの時に行う。低血糖ならば50%ブドウ糖20mlを2A (40ml) を静注し、心室細動ならば電気的除細動を行う。次に考えるのはヒステリーによるもの(偽痙攣という)であるかだが、これは経験的に診断することが多い、疑わしければアームドロップテストなどを行うこともある。偽痙攣が否定されれば真性痙攣の治療となる。

  • 酸素投与、あるいはバックバルブ換気を行う。
  • ホリゾン(10mg/2ml/A、ジアゼパム)を1A筋注あるいは0.5A静注する。とまらなければ、3 - 5分ごとに5mgずつ、最大20mg (2A) まで投与する。
  • 痙攣が止まったら痙攣再発予防のためアレビアチン (250mg)(抗痙攣薬フェニトイン)を2A (500mg) 、生理食塩水100mlに溶解し点滴する。

ごくまれに、ホリゾンを20mg投与しても痙攣が治まらない場合がある。この場合はアレビアチンの点滴を開始する。これでも止まらなければチオペンタールラボナール)を50 - 100mg(1Aに500mg含まれているので注意)静注したり、フェノバール (100mg/A) を1A筋注したりすることもある。これでもダメなら、気管挿管し、低酸素を防ぎ専門医に相談するべきである。アレビアチン(フェニトイン)は2A以上でないと効果がないと言われている。この薬はナトリウムチャネルが不活化状態から回復させる頻度を減らす作用がある。よく用いられる抗てんかん薬であるデパケン(バルプロ酸)もこの作用を有しているがこちらはカルシウムチャネルにも作用する。

発作が止まったら原因検索と外傷検索を行う。採血を行い血算、生化学、アルコール濃度、抗てんかん薬血中濃度を測り、動脈血液ガスにて代謝性アシドーシスを確認する。頭部CTや尿中薬物検査も行う。これらの検査で異常があれば症候性てんかんと診断され、異常がなければ真性てんかんである。

診断ができればそれに基づいて治療を行うことができる。原則として初発の痙攣では入院による精査が望ましい。しかし患者の希望によっては後日脳波検査となる。てんかんは発作型によって治療薬が異なるのだが、この場合は抗てんかん薬の予防投与となる。それ以外の真性てんかんで受診となるケースとしてはコントロール不良の場合がある、これは非常に危険なので入院精査が必要である。怠薬の場合はアレビアチン投与後服薬を再開する。今までコントロール良好であったのに痙攣した場合は抗てんかん薬の増量を行い、かかりつけ医に受診させるという方法もある。症候性てんかんの場合は原因疾患を治療すれば完治できる可能性がある。可能ならば原疾患を治療し、抗てんかん薬の投与そして診断に合わせて後日専門医を受診させればよい。てんかんで最も怖いのは痙攣後外傷である。危険を感じたらためらわず入院させる。

不思議なことにてんかんはある一定の時期を過ぎると痙攣しなくなることがある、すなわち退薬可能となる。こういった判断を仰ぐために専門医の受診はかかせない。


  1. ^ Neuroendocrinology. 1989 Jan;49(1):33-9. PMID 2716948
  2. ^ Neurology. 2005 Sep 13;65(5):668-75. PMID 16157897
  3. ^ Neurology. 2006 Aug 8;67(3):544-5. PMID 16894135
  4. ^ Emergency Medicine Clinical Essentials p858 ISBN 9781437735482






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