アセトン アセトンの概要

アセトン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 15:46 UTC 版)

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アセトン
識別情報
CAS登録番号 67-64-1 
KEGG D02311 
特性
化学式 C3H6O
モル質量 58.08
示性式 CH3COCH3
または (CH3)2CO
外観 無色液体
密度 0.788 (25 ℃) [1]
融点

-94[1]

沸点

56.5[1]

への溶解度 任意に混和する
酸解離定数 pKa 20(水中)
屈折率 (nD) 1.3591 (20 ℃, D)[1]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

解説

アセトンは、ブドウ糖の嫌気的発酵の一つであるアセトン-ブタノール-エタノール発酵によって生成するほか、人体でも正常な代謝プロセスの結果としてケトン体から自然に生成され排出される物質で、生殖毒性試験では生殖問題を起こす可能性が低いことが明らかになっている。実際に、エネルギー必要量が高く体内の脂肪の利用が高まるとアセトンの生成レベルも高くなることから、妊婦、授乳中の母親、および小児の体内アセトンのレベルは自然と上昇する。糖尿病患者が糖尿病性ケトアシドーシスに陥った時には大量に生成して、呼気がアセトン臭を呈する。難治性てんかんを患う乳児や小児のてんかん発作を減少させるため、体内のケトン体を増加させるケトン食療法が行われているが、アセトンの薬理効果を期待したものではない。

関連法規

  • 消防法により危険物第四類(第一石油類 危険等級2 水溶性)に指定されている。指定数量以上の貯蔵・取扱には市町村長等の許可が、指定数量の1/5以上指定数量未満の貯蔵・取扱には消防署への届出が必要で、指定数量以上の取り扱いには危険物取扱者乙四類か、甲種免許所持者でなければならない。
  • 麻薬向精神薬原料対象物質
  • 有機溶剤中毒予防規則により第二種有機溶剤に指定されている。

製造

酢酸カルシウム乾留や、クメン法によるフェノール製造の過程で、クメンヒドロペルオキシド (C6H5C(CH3)2OOH) の酸分解の段階において、アセトンが副生物として得られる。また、2-プロパノール酸化亜鉛などの触媒存在下に脱水素、あるいは空気酸化して得られる酸化物を分解することによっても得られる。プロピンに水を付加することでも得られる。プロピレンワッカー酸化によってアセトンとする方法も用いられる。

アセトンから出発する有機合成の需要は比較的少なく、クメン法などに伴い副生するアセトンの産量は過剰である。このため概して価格は安い。

合成アセトンの 2016年度日本国内生産量は 406,620 t、工業消費量は 146,709 t である[3]

歴史的には、初期の製造法では木材を乾留して得られる木タールを蒸留して得ていたが、この方法では生産量が少なく、アセトンは高価な試薬であった。無煙火薬が発明されるとコルダイトを製造するための溶媒として大量に必要になり需要が激増した。ハイム・ワイツマンが第一次世界大戦中に、ブドウ糖にバクテリアの1種クロストリジウム・アセトブチリクムを作用させるバクテリア発酵法を発明し、イギリス軍に提供した。

危険性

危険有害性情報として「引火性の高い液体及び蒸気、眼刺激、生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い、眠気又はめまいのおそれ、呼吸器への刺激のおそれ、長期又は反復ばく露による血液の障害のおそれ、飲み込み・気道に侵入すると有害のおそれ」、MSDS に「眼の刺激性、中枢神経への影響あり」と表示される。吸引すると頭痛、気管支炎などを引き起こし、大量だと意識を失うこともある。ラット半数致死量 (LD50) は 10.4 mL/kg(経口)[4]。 ヒト経口推定致死量 50 - 75mL。

経口摂取および、または吸引された場合、低い急性および慢性毒性を持つことが一般的に認識されている。空気中の高濃度アセトン(9200 ppm 前後)の吸引は、早ければ5分以内でヒトの喉に刺激を与えた。濃度1000 ppm を吸引すると、1 時間未満で目と喉に刺激を与えたが、空気中濃度 500 ppm のアセトンの吸引は、2 時間の暴露後もヒトに刺激症状を引き起こさなかった。発癌物質や変異原性化学物質とは見なされておらず、慢性神経毒性作用の懸念もないとされている。

身近な事故例
個人でマニキュアの調色や希釈をしようとして溶液の入った瓶を激しく振り、蒸気圧によりガラス瓶が破裂し手に怪我を負った例がある[5]

  1. ^ a b c d Merck Index 14th ed., 66.
  2. ^ a b 国際化学物質安全性カード ICSC:0087
  3. ^ 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編
  4. ^ Merck Index 13th ed., 67.
  5. ^ 『ネイルポリッシュが爆発した話』” (日本語). みちよつさんのブログ. 2021年7月21日閲覧。
  6. ^ 厚生労働省・食品添加物 (PDF)


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