老子とは? わかりやすく解説

ろうし〔ラウシ〕【老子】

読み方:ろうし

[一]中国春秋戦国時代思想家。姓は、名は耳(じ)。字(あざな)は伯陽諡号(しごう)は耼(たん)。儒教人為的な道徳・学問を否定し無為自然の道を説いた現存の「老子」の著者といわれ、周の衰微をみて西方去ったとされるが、疑問も多い。後世道教尊崇され、太上老君として神格化された。生没年未詳。老耼。

[二]中国戦国時代思想書2巻[一]の著といわれるが、一人の手になったものではない。道を宇宙本体とし、道に則った無為自然謙遜柔弱処世哲学説く道徳経老子道徳経


ろうし 【老子】

中国春秋戦国時代思想家道家の祖。『史記によれば、姓は、名は耳、字はまたは伯陽の苦県厲郷曲仁里(河南省)の人。周の守室(図書室)の書記官乱世逃れて関(函谷関または散関)に至った時、関守尹喜が道を求めたので、約五〇〇〇字の小冊道徳経』(上・下)を書き与えたが、これが『老子五千言』ともいわれ、単に『老子』(書名)として知られる。老子はさらに西方消え去ったという。孔子同時代とする伝説もあるが虚説実像は前二、三世紀頃の道家学者で、隠君子だったらしいという。『道徳経』は上巻の道経と下巻の徳経とに分かれ現象界背後にある本体を道とし、それから付与される本性を徳とし、無為自然の道、およびそれに即した処世訓政治論説いている。現代の形になったのは前漢の頃らしい。老子は道教の神ともされ神号太上老君という。(生没年不詳

老子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/08 05:47 UTC 版)

老子(ろうし)は、中国春秋時代における哲学者である。諸子百家のうちの道家は彼の思想を基礎とするものであり、また、後に生まれた道教は彼を始祖に置く。「老子」の呼び名は「偉大な人物」を意味する尊称と考えられている。書物『老子』(またの名を『老子道徳経』)を書いたとされるがその履歴については不明な部分が多く、実在が疑問視されたり、生きた時代について激しい議論が行われたりする[3]。道教のほとんどの宗派にて老子は神格として崇拝され、三清の一人である太上老君の神名を持つ。


注釈

  1. ^ 竹林の七賢のひとり嵆康の著『聖賢高士伝賛』など中外日報社説
  2. ^ 氏族の姓「老」は実在し、には老氏という貴族がいた。しかしこの一族と老子を結び付ける証拠は無い。貝塚、p87
  3. ^ 墨子の「墨」も姓ではないという説がある。しかしこれは元々姓を持たない階層の人物「翟」が入れ墨を入れられた囚人階級出身だったとか、または同音である宋の「目夷」氏の姓が転じたという説などがあり(貝塚、p34-35 第二章 人類愛と平和についての対話)、老子の名づけとは性質が異なる。
  4. ^ 貝塚は、当時の通信事情から、中国の新聞を武内義雄が見る機会はまず有り得ないと述べている。貝塚、p90
  5. ^ 出土した本牘に書かれた紀年から判明。浅野・湯浅、p30
  6. ^ 「建言」による引用はどこまでを指すのかは不確実である(出典『中国古典文学大系4』1973年P22 注2金谷治)。内容からすると、43章くらいまでが名言集であるように見える。
  7. ^ 老子が「道(タオ)と呼んできたものは、人間がこれまで神とか仏とか宇宙意識とか呼んでいた、万生万物の根源としての「一なるもの」であるとする見解がある。(出典『人間の絆 嚮働編』祥伝社 1991年 P34 高橋佳子)

出典

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  2. ^ 百度百科 (4 April 2024). "老子". 百度百科.
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  4. ^ Kohn (2000). Pg 4.
  5. ^ の王室もその一つであるが、唐王室はもともと八柱国の一つであり非漢民族であるため、僭称である。
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出典2

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老子(ろうし)

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元始天尊通天教主兄弟子。玄都に住む。

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