MUSE方式の概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:31 UTC 版)
詳細は「Multiple Sub-Nyquist Sampling Encoding」を参照 映像方式圧縮対象走査線 : 1,032本 原始サンプリング周波数 : 44.55MHz 伝送サンプリング周波数 : 16.2MHz 時間軸輝度圧縮率 : 12:11 時間軸色差圧縮率 : 4:1 色差多重方式 : 時間軸圧縮多重 (TCI) 圧縮方式 : フィールド間、フレーム間、ライン間オフセットサンプリング方式 動きベクトル補正 : 水平±16サンプル(32.4MHzクロック)/フレーム、垂直±3ライン/フィールド 同期信号 : デジタルフレームパルス型、正極同期 ベースバンド帯域幅 : 8.1MHz (-6dB) 音声方式多重化方式 : 垂直帰線期間に3値ベースバンド多重 モード : 48kHz 16bit (2ch) /32kHz 12bit(4ch:3-1ステレオ) 音声圧縮方式 : 準瞬時圧伸 DPCM 音声誤り制御 : BCH SEC DED BSにおける伝送変調方式エンファシス : ノンリニアエンファシス、ゲイン9.5dB 変調極性 : 正極性 周波数偏移 : 10.2MHz p-p 占有周波数帯域 : 27MHz 日本で使える最大の帯域幅は、衛星放送の27MHzである。この変調方式はFM方式である事から、伝送可能なベースバンド信号帯域幅はその1/3の9MHzとなる。一方HDTVのベースバンド映像信号帯域幅は30MHzである。このため映像の圧縮が必要となった。MUSE方式の場合、1フィールドのサンプリングを画素数の半分とし全画素数の1/4とする事でこれを実現した。4フィールドで全画素位置がサンプリングされるが、パターンは各フィールド間で千鳥格子状をしており、五点形サンプリング(quincunx sampling)とも呼ばれる。 静止画の場合は前サンプリングの内容を用いる事で補間する。動画の場合も定常的な動きの際には送られて来た動きベクトルデータを基に動き補償を行う事で高解像度を維持している。動きベクトル量の検出ができない不定動作の場合は解像度が低下するが、特に大きな問題とはならない。これは人の目の視力は動いているものを対象にしている時に視力が低下する事に因る。色信号については同様のサンプリング処理を行われた後、時間軸圧縮を行う。こうして作られたサンプル値はアナログ伝送される。なお、MUSEはスタジオ規格であるBTA S001とはカラーマトリクスが異なる。その違いは下記の通り。 スタジオ規格 (BTA S001) : Y=0.701G+0.087B+0.212R MUSE方式 : Y=0.588G+0.118B+0.294R 音声信号はAモードサンプリングレート(標本化周波数)32kHz 量子化語長12bit(4ch:3-1ステレオ方式)/Bモードサンプリングレート48kHz 量子化語長16bit (2ch) を準瞬時圧伸DPCM (Differential PCM) により伝送レートを軽減する事によりAモードでは15bitを8bit、Bモードでは16bitを11bitに軽減している。ビット量の軽減はDPCMエンコード時にローカルデコーダを用いて差分値を測定し、変化差分に合わせてレンジビットと呼ばれるスケールを表すビットにより、データが表す音声レベルを決める事によって伝送量を減らす。これらの処理により、音声の伝送レートを1350kbpsとしている。DPCMは標本化されたデータの差分を伝送する。このために伝送路での障害によりエラーが発生した場合、誤差が蓄積し復号された信号が正しく再現されなくなる事がある。これを軽減するためにリーク値と呼ばれる前の差分信号との積分を行うための係数が存在する。リーク値により後続する音声データに蓄積する誤差をリセットする事ができる。これらのデジタルデータには誤り訂正符号も付加されており、伝送路で発生したエラーによる聴覚上耳障りとなる雑音を排除する役割を担っている。この音声伝送符号化方式はDANCE (DPCM Audio Near-instantaneous Compressing and Expanding) と名付けられている。
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