LRTへの転換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 17:27 UTC 版)
「富山地方鉄道富山港線」の記事における「LRTへの転換」の解説
直流600Vの富山地方鉄道富山軌道線への将来的な乗り入れも視野に入れ、き電設備・架線電圧が直流1500Vから、再び直流600Vに降圧された。そのため従来の変電所は使用できず、城川原駅と奥田中学校前駅に変電所が新設された。また、富山軌道線に合わせて車両がLRVに切り替わることから、従来のホームは転用できず、新たに低床ホームが設置された。なおJR西日本時代までに使用されていた駅舎は、休憩所として利用されることが決まっていた東岩瀬駅と、建物が比較的新しい競輪場前駅をのぞいて開業までに解体され、旧ホームについても東岩瀬駅の一部区間をのぞいて開業までに解体された。 架線柱の更新、信号機の設置、ホームの基礎整備などは、JR西日本営業末期から工事が進められており、一部で仮駅舎や仮ホームが使用されていた。しかし交換設備の設置、踏切の改修、ホームの本格的な施工などは、運行を休止した2006年(平成18年)3月始めから開始された。一連の改良工事によって架線柱がほぼ全区間で建て替えられるなど、電力関係は大幅に改修されたが、レールや枕木などの下部構造は、一部の踏切や駅区間をのぞき、ほぼ従来のままで開業日を迎えた。また踏切動作反応灯が新たに設置されたほか、踏切の遮断時間が短縮された。そのほか奥田中学校前駅に0キロポストが設置され、全線で距離標が更新された。 車両は新潟トランシス社製のLRV(超低床電車)、2車体連接の車両(愛称:ポートラム)TLR0600形7編成(のちに増備され最終的には8編成)が導入された。2006年(平成18年)3月23日から30日にかけてすべての車両が新潟トランシスからトレーラーで城川原駅東側に輸送され、クレーンで車両基地内に搬入された。4月3日に奥田中学校前駅と岩瀬浜駅との間で、4月8日からは併用軌道区間を含む全線で試運転が開始された。 移管開業までの約2か月間はバスによる代行輸送が行われた。代替バスは、並行する県道1号、30号線や市道綾田北代線を経由するルートで、運行は富山地方鉄道に委託されており、旧富山港線の各駅の周辺に専用のバス停が設置された。ただし富山口駅の代用として永楽町バス停があり、競輪場前駅バス停は臨時扱いではなかった。平日朝ラッシュ時には高頻度で運転されていたが、他の時間は1時間に1本となることもあった。 一連の移管開業に伴う事業費は約58億円と公表されている。その内訳については、7編成の車両の購入に18億5千万円、新設の併用軌道区間の施工に15億5千万円、既設区間の改良工事に24億円であることが2004年(平成16年)7月頃に報道されている。この財源については、富山駅の連続立体交差事業からの負担金として33億円・LRTシステム整備費補助として7億円・路面電車走行空間改築事業として8億円・富山市単独補助事業として10億円が支出されている。また富山市は、移管後の経営にJR西日本が一切関与しないことを前提として、同社から13億9千万円の寄付を受けた上で、旧富山港線の鉄道資産を簿価に相当する3億9千万円で購入している。そのため実質的には、富山市が鉄道資産を無償で譲り受けた上で、10億円の寄付を受けたことになる。 移管開業に先立ち、駅や車両などのデザインは、全体を総合的に管理する「トータルデザイン」という手法を採用することになり、株式会社GK設計と、地元の島津環境グラフィックス有限会社によるデザインチームが結成され、一連の作業が進められた。また広報などのため、7匹のマスコットキャラクター「とれねこ」が開業前に登場している。
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