5α-還元酵素欠損症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 19:23 UTC 版)
「ジヒドロテストステロン」の記事における「5α-還元酵素欠損症」の解説
「5α-還元酵素欠損症(英語版)」も参照 DHTの生物学的役割の多くは、先天性5α-還元酵素II型欠損症(英語版)患者の研究で明らかにされている。先天性5α-還元酵素II型欠損症は、体内でのDHTの産生を担う主要な酵素である5α-還元酵素II型をコードする遺伝子の機能低下変異によって引き起こされる間性(半陰陽)疾患である。本症は、5α-還元酵素II型の酵素が欠損して機能しなくなり、体内でのDHTの産生が部分的に、しかし大半が失われる事が特徴である。本症では、循環テストステロン値は男性の正常範囲内あるいは僅かに上回るものの、DHT値は低く(正常値の約30%)[より良い情報源が必要]、循環テストステロンとDHTの比率は大きく上昇している(正常値の約3.5~5倍)。 5α-還元酵素II型欠損の遺伝的男性(46,XY)は、仮性両性具有、仮性膣会陰部陰嚢部尿道下裂、そして通常は停留精巣を含む女性化(男性化不全(英語版))を持って誕生する。彼らの外性器は女性に似ており、マイクロペニス(小さな陰核の様な陰茎)、部分的に融合していない陰唇の様な陰嚢、そして盲端に終わる浅い膣袋を有する。男性器が目立たない為、この症状を持つ遺伝的男性は、通常、女児として育てられる。しかし、思春期になると、生殖器の部分的な男性化(陰茎がほぼ機能的なサイズに成長し、精巣が下降する)、声変わり、典型的な男性の筋骨格系の発達、女性の思春期に見られる月経や乳房の発達などの女性化の兆候が見られない等、表現型的に男性的な二次性徴が見られる。さらに、正常な性欲と自発的な勃起が発達し、通常は女性を好む性的指向を示し、殆ど全ての患児が男性の性自認を持つようになる。 それにもかかわらず、5α-還元酵素II型欠損症の男性は、いくつかの領域で継続的な男性的未熟の兆候を示している。ギュヴェドッチ族(Güevedoces)と呼ばれるドミニカ人男性の比較的大きなグループでは、髭が無いか、疎らであった。しかし、世界の他の地域の患者では、髭がより多く観察されたが、同じコミュニティの他の男性に比べて髭はまだ少なかった。このような結果は、アンドロゲン依存性の性毛の成長の人種的な違いを反映している可能性がある。5α-還元酵素II型欠損症男性のアンドロゲン依存性の発毛パターンは女性型で、硬毛(英語版)は主に腋窩と陰部の逆三角形に限定されている。これまでに報告されている5α-還元酵素II型欠損症の症例では、生え際の一時的な後退や男性型脱毛症は観察されていないが、これは通常、10代の殆ど全ての白人男性にある程度見られる。5α-還元酵素II型欠損症の患者は当初、面皰が出来ないと報告されていたが、その後の調査で皮脂分泌が正常であり、面皰が出来る事が判明した。 5α-還元酵素II型欠損症の遺伝的男性では、前立腺は未発達か存在しないかのいずれかであり、もし存在したとしても、生涯を通じて小さく未発達であり、触知出来ないままである。また、前立腺肥大症や前立腺癌は報告されていない。本症の遺伝的男性は、一般的に停留精巣による乏精子症を示すが、精巣が降下した場合には精子形成は正常であると報告されており、本症の男性が子供を産む事に成功した例も存在する。 5α-還元酵素II型欠損症の遺伝的女性は、男性とは異なり、表現型は正常である。しかし、この条件を持つ遺伝的男性と同様に、腕や脚の毛がない、腋毛がわずかに減少する、陰毛が中程度に減少する等、体毛の成長が抑制されている。一方で、皮脂の分泌は正常であり、これは、皮脂分泌が完全に5α-還元酵素I型の制御下にあると思われる事と一致している。
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5α-還元酵素欠損症
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「サリーナス (ドミニカ共和国の村)」の記事における「5α-還元酵素欠損症」の解説
サリーナスには、希少疾患である5-α-レダクターゼ欠損症の子供が多くいることで有名である。具体的には、出生時には Y染色体と男性の内臓を持っているにも関わらず、女性のような容姿を持つ傾向があり、思春期までは女子として育つが、男性ホルモンの発生が原因で男性化し、実際の性別が明らかになるというものである。性別が明らかになった時点で性別を切り替え、男子として育つ。この事例については、サリーナスでは十分に一般的な出来事であり、町民はそれに慣れているためあまり心配されない。これらの男子は「12歳の卵(精巣)」を意味する俗語を組み合わせ、「guevedoces」と呼ばれる 。
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5α還元酵素欠損症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:46 UTC 版)
テストステロンをジヒドロテストステロンに変換するための5α還元酵素(5α-レダクターゼ)を欠くために、XY染色体を持つ個体が胎内で男性化せず女性型として生まれる。たいていは気付かれず女性として育てられるが、二次性徴ではほぼ100%が男性化し、約60%は成人後男性として生活している 12歳以上の患者のデータでは男性として養育された26人の性別違和は0(性自認も男性)だったが、女性として養育された117人中69人(59.0%)は性別違和があったという物がある。 ドミニカ共和国のサリーナス村等での発生頻度が多い。それら地域の部族では文化的に男性にならなければならないとしているところがある[要出典]。
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