2つのラプソディとは? わかりやすく解説

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ブラームス:2つのラプソディ

英語表記/番号出版情報
ブラームス:2つのラプソディ2 Rhapsodien Op.79作曲年1879年  出版年1880年  初版出版地/出版社Simrock 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1番 ロ短調 h moll1000 No Image
2 第2番 ト短調 g moll7分00 No Image

作品解説

2010年1月 執筆者: 伊藤 萌子

本作品はブラームス46歳の折、1879年作曲されたものであるこの年ブラームスヴァイオリン・ソナタ第一op.78(「自作歌曲雨の歌》op.59-3の主題第3楽章用いられていることから、「雨の歌」の通称もある)等の作曲をした他、前年1878年作曲したブラームス唯一のヴァイオリン協奏曲であるヴァイオリン協奏曲ニ長調op.77の初演を自らの指揮により行ったその際ヴァイオリン独奏は、この協奏曲作曲にあたって多く助言与えたヨーゼフ・ヨアヒム務めた。また3月11日にはブレスラウ大学より名誉博士号送られている。(この博士号授与にこたえる形で、1880年に《大学祝典序曲op.80作曲されている)
1877年から1879年にかけて、ブラームスは夏の間、オーストリア南部ケルンテン州にあるペルチャッハという町で過ごしたペルチャッハアルプス山々囲まれケルンテン州最大の湖、ヴェルダー湖のほとりにある保養地で、風光明媚の地として現在でも沢山の人で賑わっている。ブラームスもこのペルチャッハの自然の美しさ好みクララ・シューマン(1819-1896)に宛てて「(ペルチャッハには)たくさんの旋律飛び交っていて、それらの旋律踏みつけないようにしなければならないと書き送っている。本作品も3回目滞在であった1879年の夏に同地作曲開始され翌年1880年ブラームス自身によって初演された。
なお、本作品はブラームスが最も心を許したと言われるエリーザベト・フォン・シュトックハウゼン(1847-1891)に献呈されている。エリーザベトは、ブラームスのかつての弟子であり、彼女自身作曲家として活動していた。また、ブラームス1874年頃より親交のあった、作曲家であり指揮者ハインリヒ・フォン・ヘルツォーゲンベルク(1843-1900)が、エリーザベト結婚したこともあり、この夫妻ブラームス最大理解者ひとりとして彼を支えることとなったエリーザベト当初前述したヴァイオリン・ソナタ第一番に心打たれ、その献呈望んだが、ブラームス代わりに《2つのラプソディ》を新たに作曲して献呈した。本作品はブラームスピアノ作品中でも広く親しまれており、演奏会等でもよく取り上げられている。
なお、ブラームス同時期に書かれた《8つの小品Op.76本作品の作曲まで、絶えピアノ曲作曲していた訳ではなかった。ピアノ曲作曲の経緯次の通り1850年代(初期)にピアノ・ソナタを3曲(その他、作品番号のない習作一部残っている)、その後パガニーニの主題による変奏曲Op.35などの変奏曲取り組む1860年代から70年代にかけては、今日でも演奏される機会の多い《ハンガリー舞曲集》等の連弾作品がある。そして本作品に至るが、これ以降ブラームスはまた1892年から翌年93年時期になるまでピアノ作品には手をつけなかった。なお、この時期作曲されたのは小品であり、ブラームスピアノ作品当初比較大きな規模作品から、次第小品へと推移していったことが分かる
また、本作品のタイトルラプソディについて。元来古代ギリシア吟遊詩人、つまりラプソディストの歌を指しており、19世紀初めから器楽曲標題用いられるようになった形式決まっておらず、楽器演奏形態も自由である。叙事詩的英雄的、あるいは愛国的な色調幻想曲に対してラプソディというタイトル付されることが多いようである。
また、ブラームス献呈の際、エリーザベトに「『ピアノのためラプソディ』よりももっと良いタイトルご存知ですか」と尋ねている書簡残っている。しかし、実際のところ、本作品は当初カプリッチョ(奇想曲)として構想されていた(カプリッチョは「気まぐれ」を意味する)。

第1番アジタート ロ短調 2分の2拍子
堂々と力強く始まり跳躍多く低音域から高音域まで幅広く用いられている本曲は、これを聞いたブラームス友人達から「天空駆け巡る若きヨハネス」と称されたという逸話あるように、激しく情感沸き立たせる作品となっている。それとは対照的なピアニッシモ奏される旋律のなめらかな主題登場する激しさ一転して消え中間部で、同主長調ロ長調転じている。ここでは跳躍少な静かな動き中心となり、左手伴奏に対して右手二つ息の長い旋律担っている穏やかに終わるかのようにロ長調主和音に至るが、直後第三音が半音下がったロ短調主和音転じ冒頭主題激しく回帰する荒々しい勢いで畳み掛けるように頂点へと上り詰めた後、静かに終結へと向かう。

第2番はモルト・パッショナート、マ・ノン・トロッポ・アレグロ ト短調 4分の4拍子
 低音域で打ち鳴らされるオクターヴ印象的な主題から始まる、雄大さ感じさせる作品対照的に属調ニ短調現れる3連符暗くうごめくような動きを持つ旋律登場し、この楽想が続く中間部でも発展的に扱われている。その中間部において、転調交えつつも、3連符動き絶えることがない段々とピアニッシモ向かい第一番と同じよう静かな終わり予感させる中、唐突に冒頭再現が始まる。特徴的なのは、最初に属調現れていた旋律が、ソナタ形式再現部でそう扱われるように主調現れていることであり、この作品においてはソナタ形式要素がかなり形を留めているといえる


2つのラプソディ (ブラームス)

(2つのラプソディ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/13 15:34 UTC 版)

2つのラプソディ』(ドイツ語: Zwei Rhapsodien作品79 は、ヨハネス・ブラームス1879年に作曲したピアノ独奏曲。『2つの狂詩曲』と表記される場合もある。




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