パガニーニのしゅだいによるへんそうきょく【パガニーニの主題による変奏曲】
ローゼンブラット:パガニーニの主題による変奏曲
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ローゼンブラット:パガニーニの主題による変奏曲 | Variations on a theme of Paganini | 作曲年: 1987年 |
作品解説
ローゼンブラットのソロ作品の中では現時点において最高の充実度を持っている。この曲について作曲者は「現代のピアノ演奏において最も効果的なメソードを取り入れ、更に極めて典型的なジャズの特徴(スイングジャズ)を組み合わせている。」と述べている。歴史的な芸術家たちはこのパガニーニの主題に魅力を感じ、作品に取り入れてきた。リスト、ブラームス、ラフマニノフ、ルトスワフスキー、近年ではファジル・サイ、そしてローゼンブラットがそこに加わる。本作品では、第1変奏冒頭の爆発的なリズム、野性的なベースライン、右手で奏される4度の和音などが強烈な印象を与える。各変奏は高度な構築性を持っており、最後にはフーガが置かれている。フーガは常に疾走感を帯びており、破壊的なフィナーレとなっている。世界初演はDmitri Ratser。
なお、作品中の幾つかの変奏は音楽家などの「肖像」であるという。第1変奏は「Gino Vannelli」、第2変奏は「Modern Brahms」、第4変奏は「Modern boogie」、第6変奏は「Swing」、第7変奏は「Thelonius Monk +Oscar Peterson」、第9変奏は「Bill Evans」、第10変奏は「Oscar Peterson」をイメージしているそうである。これらは作曲家自身による説明だが、楽譜には記されていない。
==(筆者コメント)====================================
超絶技巧である上に、拍子やリズムの表現も非常に難易度の高い作品だが、ローゼンブラットの魅力満載である。ローゼンブラット自身のこの曲の生演奏を間近で見学したことがあるが、大変ユニークな弾きっぷりで、まるでピアノと漫才をしているようだった。そしてベースの鳴らし方が絶妙だったのが強く印象に残っている。
ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 | Variationen über ein Thema von Paganini Op.35 | 作曲年: 1862-1863年 出版年: 1866年 初版出版地/出版社: Rieter-Biedermann |
作品解説
1862年、ブラームスは生活の本拠をウィーンに移した。彼は、ここで出会った名ピアニスト、カール・タウジヒ(1841~1871)の技巧に、完全に魅了された。彼はブラームスと正反対と言えるくらいに性格が違っていたが、二人はすぐに意気投合し、一緒に演奏や議論を楽しんだ。
ブラームスはシューマンの作品3と作品10、リストの〈パガニーニの主題による練習曲〉の先例をみるにつけ、自分もそういう練習曲をつくってみようとも考えていた。そこに、このタウジヒが、パガニーニの主題による華やかな変奏曲をかかないか、とブラームスに提案したことが、作曲の動機となった。
この作品35の変奏曲は、各14の変奏からなる2冊のものとなっており、合計28の変奏がある。各変奏ごとに演奏技巧上の問題をつぎつぎと提示しており、技巧的に至難ともいえる練習曲である。ブラームスは、この曲に、「精巧な指のためのピアノの練習曲」と記した。主題は2冊ともパガニーニの無伴奏ヴァイオリンのためのカプリス第24番イ短調からとられている。
リストの弟子、ローゼンタールがこの曲を演奏するようになったとき、リストは、「このブラームスの曲は、自分のよりよい」と言った。しかし、さらにつづけて、「だが自分のはこれよりも10年以上も前につくられているのだ」と付け加えることも忘れなかった。
また、ローゼンタールが、これら28曲は続けて演奏されるべきものかどうかブラームスに問うたところ、ブラームスは「第一冊のあと休みをとればよい。しかしそれでも聴衆が満足していないようであれば、次の第二冊に移ればよい」と冗談を言ったということである。
初演は、チューリヒで1865年11月、ブラームス自身によって行われ、また、1867年3月、ベルリンでタウジヒが演奏を行った。また、作品は、ブラームスの弟子、エリーザベト・シュトックハウゼンに献呈されている。
パガニーニの主題による変奏曲
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲 | Wariacje na temat Paganiniego | 作曲年: 1941年 |
チェルニー(ツェルニー):パガニーニの主題による変奏曲 | Variations sur un thème de Paganini Op.273 | |
ベルコヴィッチ(ベルコヴィチ):パガニーニの主題による変奏曲 | Variations on a theme of Paganini |
パガニーニの主題による変奏曲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/07 23:48 UTC 版)
パガニーニの主題による変奏曲(パガニーニのしゅだいによるへんそうきょく)は、ニコロ・パガニーニの『24の奇想曲』の主に第24番の旋律を主題とする変奏曲。多くの作品がある。
- パガニーニの主題による変奏曲 (ブラームス) - ヨハネス・ブラームスのピアノ独奏曲。
- パガニーニの主題による変奏曲 (ブラッハー) - ボリス・ブラッハーの管弦楽曲。
- パガニーニの主題による変奏曲 (ルトスワフスキ) - ヴィトルト・ルトスワフスキが2台ピアノのために作曲、のちピアノと管弦楽に編曲)。
- パガニーニの主題による変奏曲 (ローゼンブラート) - アレクサンドル・ローゼンブラートの作品。
- パガニーニの主題による変奏曲 (ビェルコーヴィチ) - イサーク・ビェルコーヴィチの作品。
- パガニーニの主題による変奏曲 (サイ) - ファジル・サイの作品。
- パガニーニの主題による幻想変奏曲 - ジェイムズ・バーンズの吹奏楽曲。
- パガニーニの主題による30の変奏曲 - 中野二郎のギター独奏曲。
題名は異なるが、同じ主題による変奏曲に以下のものがある。
- パガニーニによる大練習曲 第6番 - フランツ・リストのピアノ独奏曲。
- パガニーニの主題による狂詩曲 - セルゲイ・ラフマニノフの管弦楽とピアノ独奏のための作品。
- ヴァリエーションズ (Variations) - アンドルー・ロイド・ウェバーの作曲とジュリアン・ロイド・ウェバーのチェロによるアルバム。ミュージカル『ソング・アンド・ダンス』にも使用されている。
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