白鳥の歌とは? わかりやすく解説

はくちょう‐の‐うた〔ハクテウ‐〕【白鳥の歌】

読み方:はくちょうのうた

【一】死ぬまぎわに白鳥がうたうという歌。その時の声が最も美しいという言い伝えから、ある人が最後に作った詩歌や曲、また、生前最後演奏など。

【二】原題、(ドイツ)Schwanengesangシューベルトの歌曲集。1828年の作で、遺作ハイネらの歌詞による14からなる本作と「冬の旅」「美しき水車小屋の娘」はシューベルト三大歌曲集よばれる


リスト:白鳥の歌(シューベルト)

英語表記/番号出版情報
リスト白鳥の歌(シューベルト)Schwanengesang S.560 R.245作曲年: 1838-39年 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 町 Die StadtNo Data No Image
2 漁師の娘 Das FischermädchenNo Data No Image
3 我が宿 AufenthaltNo Data No Image
4 海辺で Am MeerNo Data No Image
5 別れ AdschiedNo Data No Image
6 遠い国で In der FerneNo Data No Image
7 セレナード Ständchen6分30秒 No Image
8 彼女の絵姿 Ihr BildNo Data No Image
9 春の憧れ FrühlingssehnsuchtNo Data No Image
10 愛の便り LiebesbotschaftNo Data No Image
11 アトラス Der AtlasNo Data No Image
12 影法師 Der DoppelgängerNo Data No Image
13 便り Die TaubenpostNo Data No Image
14 戦士予感 Kriegers AhnungNo Data No Image

白鳥の歌

作者アントン・チェーホフ

収載図書チェーホフ全集 11 白鳥の歌・かもめ
出版社筑摩書房
刊行年月1988.6


白鳥の歌

作者井伏鱒二

収載図書白鳥の歌・貝の音
出版社講談社
刊行年月1992.2
シリーズ名講談社文芸文庫

収載図書井伏鱒二全集 第17巻
出版社筑摩書房
刊行年月1997.10


白鳥の歌

作者ジョン・ラッツ

収載図書白雪姫殺したのはあなた―ワンス・アポン・ア・クライム
出版社原書房
刊行年月1999.8


白鳥の歌

作者アガサ・クリスティー

収載図書リスタデール卿の謎
出版社早川書房
刊行年月2003.12
シリーズ名ハヤカワ文庫


白鳥の歌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/13 16:15 UTC 版)

オランダの本(17世紀)の表紙に使われた瀕死の白鳥の絵

白鳥の歌(はくちょうのうた)あるいはスワンソング英語: swan song)は、人が亡くなる直前に人生で最高の作品を残すこと、またその作品を表す言葉である。個別には、シューベルト歌曲集が著名である。

概要

ヨーロッパ伝承で、白鳥は死ぬ時に美しい声で鳴くと言われている。「白鳥の歌」とはつまり「瀕死の白鳥の歌」であり、人が亡くなる直前に人生で最高の作品を残すことを例えで指している[1]。紀元前5世紀から3世紀にこうした伝承が生まれたと言われていて、ヨーロッパで繰り返し使われてきた表現である。

白鳥の歌の起源

ギリシャ神話では、白鳥アポロに捧げられた聖なる鳥であり、調和と美しさの象徴と見なされ、その限られた能力にもかかわらず、歌う鳥としての地位に挙げられてきた。

イソップの「ガチョウと白鳥」の寓話には[2]、白鳥の歌の伝説が組み込まれている。ガチョウの代わりに誤って捕まえられたが、その歌によって分かったとき、その命は救われた。続いて、アイスキュロスの『アガメムノン』(紀元前458年、1444–5節)に次の引用がある。その劇では、クリュタイムネーストラーは死んだカサンドラを「最後の最後の嘆きを歌った」白鳥に例える。プラトンの『パイドン』(84d)では、ソクラテスが「白鳥は普段歌うが、死ぬ前に一番美しく歌う。」と言ったと記録している。さらに、アリストテレスは『動物誌』(615b)で、白鳥が「音楽的であり、主に死の接近で歌う」と述べた。紀元前3世紀までに、こうした信念はことわざになった[2][3]

オウィディウスはこれに「ピークスカネーンスの物語」(『変身物語』、第XIV巻:320–396)で言及している。「彼女は、白鳥が歌っているように、悲しみと調和して、涙を流しながら、悲しみの言葉を涙で流した、あたかも白鳥が死に瀕して自分の弔いの歌を歌うように。」[3]

白鳥はまた、詩人のウェルギリウスマルティアリスの作品で歌う鳥として説明されている。

議論

文学の分野において古代より使われてきた比喩だが、博物学生物学)の視点から、これが果たして適切かという議論が行われてきた。まず、ヨーロッパで最も一般的なコブハクチョウは、死ぬ時に歌うとか何か音を立てることはない。これは古代ローマの泰斗大プリニウスが『博物誌』(紀元77年、第10巻第32章)で言及している。

しかし、地中海東部に冬渡ってくるオオハクチョウは長く響くように鳴くことで知られていて、17世紀ドイツの自然学者ペーター・パラスは、これが原因で白鳥の歌の伝承が生まれたのだろうとしている。コブハクチョウもオオハクチョウも、古代エジプトやギリシャの芸術には出てくる。

ナキハクチョウと関係が深いナキハクチョウコハクチョウも、その鳴き声で知られている。アメリカの動物学者ダニエル・ジロード・エリオットは、コハクチョウを銃で撃った時に1オクターブにわたって鳴くような声を発したことを1898年に記録している[4]

中世以降

白鳥が死ぬ前に歌う――もしも、人によっては
歌う前に亡くなってくれたらいいね。

  • テニスンの詩『瀕死の白鳥』は、この白鳥の歌についての感激を表していて、あたかもそうした状況に接したように詳しく書かれている。

野生の白鳥の死の賛美の歌はあの
廃墟の魂を喜びで満たした
悲しみに隠されて、最初は耳に
響く声は低く、完全で透明であった。...
しかし、そのものすごい歓喜の声は、
奇妙で多様な音楽で
自由で大胆な歌として流れた。
強大な人々が喜ぶ時には
ショームシンバル、金のハープで...

脚注

  1. ^ 白鳥の歌(読み)ハクチョウノウタ(コトバンク)
  2. ^ a b イソップの白鳥とガチョウ
  3. ^ a b Metamorphoses (Kline) 14, the Ovid Collection, Univ. of Virginia E-Text Center; Bk XIV:320–396: The transformation of Picus
  4. ^ Johnsgard, Paul A. (January 2013). "The Swans of Nebraska". Prairie Fire.
  5. ^ Skeat, Walter W. (1896). Chaucer: the Minor Poems. Clarendon Press., p. 86
  6. ^ Leonardo da Vinci. The Notebooks of Leonardo da Vinci, Complete.
  7. ^ FIVE SACRAMENTAL SERMONS. by John Willison

外部リンク


白鳥の歌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 17:45 UTC 版)

ルキウス・リキニウス・クラッスス」の記事における「白鳥の歌」の解説

彼の最高の弁論は、死の直前行ったのである。それは紀元前91年護民官ドルスス法案巡って執政官ピリップスが元老院否定する暴挙出たときのことで、ピリップスが彼を束縛するために差し向けたリクトルの手をかいくぐり、「君が私を議員と見なさないなら、私も君を執政官とは認めない」と宣言すると、こう続けた。 君はこれまで散々元老院権威踏みにじってきておきながら、今更個人懲罰する脅した程度で、この私が怯むとでも思ったのか。私を怯ませたければ、この舌を引き抜いてみせるがいい。例えうなっても、私はこの吐く息だけで、誰にも邪魔されることなく、君のその薄汚れた欲望非難し続けてみせようキケロ弁論家について』3.4 クラッススは、肺の激痛に耐え、油汗流しながら激烈な弾劾行い、「元老院これまで国民付託応え共和国への助言義務絶え間なく果たしてきたことを宣言すべし」という動議提出し満場一致決議された(拒否権取り消された)。キケロはこのクラッスス演説を白鳥の歌に例え死後議場行ってその残響感じようとする程に名残惜しんでいる。 『弁論家について』におけるクラッスス描写は、プラトンが師ソクラテス称揚したのに倣っているとも思われ歴史家フリードリヒ・ムンツァー(英語版)は、大げさなものと切り捨てているが、現在では一定の信頼性はあるものと考えられている。その評価意外にも、雄弁さよりも賢さ称えており、ソクラテスソロンに対して3回だった「最も賢い(sapientissimus)」を、クラッススに対しては7回使っているという。

※この「白鳥の歌」の解説は、「ルキウス・リキニウス・クラッスス」の解説の一部です。
「白鳥の歌」を含む「ルキウス・リキニウス・クラッスス」の記事については、「ルキウス・リキニウス・クラッスス」の概要を参照ください。

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