韓国の事情
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大韓民国では1990年代から2007年頃までは地上波でも日本の子供向けアニメが放送されていたが、それ以降は純韓国産のアニメか、北朝鮮や日本や中国との合作アニメを中心に編成されている。地上波では韓国放送公社(KBS)、韓国教育放送公社(EBS)、SBSの系列ではよく放送されているが、文化放送(MBC)では他局よりも比較的早く2002年まで純日本産アニメを放送していたり、地上波事業者系ケーブルテレビチャンネルファミリーで子供向けチャンネルを唯一持っていなかったりしているため、他局に比べて子供向けアニメの編成は消極的である。 KBSは公共放送であるが、広告放送を実施していないKBS第1テレビジョン(KBS1)と広告放送を実施しているKBS第2テレビジョン(KBS2)とKBS N系列のチャンネルで構成されている。韓国ではテレビ番組の放送中に広告を放送することが原則として禁止されているため、広告放送を実施していないKBS1で玩具の販売促進アニメを放送することが可能となっている。その代わり、KBS2(主に子供番組の枠)やKBS KidsでKBS1の作品の玩具CMを放送することで対処されている。 韓国産の玩具販売促進アニメは番組内の広告放送が解禁された2010年代辺りから増えており、男児向けでは『ターニングメッカード』を柱とした『メッカードシリーズ』が有名で、韓国車がロボットに変形するトランスフォーマーに似た性格を持ったアニメの『ハローカーボット』(現代自動車)や、対抗作品の『変身自動車トーボット』(起亜自動車、現代自動車の姉妹企業)など、玩具企画をベースとしたメディアミックスのアニメが中心。女児向けでは『コンスニ』や『シークレットジュジュ』など、韓国の既存玩具そのものを原作としたアニメが主体である。 ちなみに、韓国の子供向けアニメはメディアミックスに積極的ではあるが、国土が狭く、人口密度が日本よりも高めのため、映画化に留まらず、ミュージカル化が積極的に行われている。劇中の人間キャラクターは基本的に子供であっても大人の俳優が演じる形を採られており、どの作品を題材としたものであっても韓国全土を巡る形式となっている。動物の擬人化キャラクターのみの作品を中心に、出演キャラクターが全て着ぐるみによるマスクプレイミュージカルの形式を採られる作品も少なくない。韓国製子供向けミュージカルの中には、『きかんしゃトーマス』や『おしりたんてい』などのように、日本向けにローカライズされているものも極小数だが、存在する。 韓国を代表する子供向けアニメは『ポンポン ポロロ』であり、2002年に韓国が独自に導入された視聴推奨年齢制度導入の翌年にあたる2003年に、戦闘要素が主体で、乳幼児への教養要素を兼ね備えた『それいけ!アンパンマン』をベースに、そちらから戦闘要素を完全に排除し、教養要素に特化した作品として製作されることで、全年齢対象番組に仕立てられているため、ターゲットの年齢層も対象年齢に含められている。本来のターゲットは1~3歳までの男女であるため、それまで韓国で放送されていた同じターゲットの『アンパンマン』から人気を奪う程の、国民的人気アニメになっている。韓国はテレビ番組の放映権には比較的緩いので、製作局のEBSに留まらず、ほぼ全ての韓国の子供向けチャンネルで放送された実績がある。 ポロロと並ぶ韓国製の子供向けアニメの名作として、『シンビアパート(神秘アパート)』という朝鮮半島の妖怪を題材としたバトルものがあり、12歳以上を対象としていることから、少年向けに該当されている。トゥーニバースのオリジナルアニメとして製作され、地上波ではない放送局の作品であるのにも関わらず、高い視聴率と知名度を誇り、第3シリーズ以降では、地上波チャンネルのKBS2と並行放送するまでに至っている。また、子供向けアニメとしては珍しく実写ドラマ化されている。そのため、幼児向けとEBS Kidsを除いたほぼ全ての子供向けチャンネルだけでなく、地上波のOBS京仁テレビにまで足を伸ばす程になっている。世界的には、Netflixでの配信が主であり、基本的に吹き替え音声が制作されている言語を公用語としている国での配信であり、日本語や北京語など、吹き替え音声が用意されていない言語を公用語としている国では配信されていない。
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