長井雅楽の周旋と失敗とは? わかりやすく解説

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長井雅楽の周旋と失敗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 04:05 UTC 版)

航海遠略策」の記事における「長井雅楽の周旋と失敗」の解説

長州藩直目であった長井雅楽文久元年1861年3月(以下、日付はすべて天保暦)、藩主毛利慶親対し、藩の政治活動方針として航海遠略策建白した長州藩要路討議結果長井建白藩論として採用し、慶親の裁可の下、この方針で朝廷幕府対し周旋に当たるよう、長井命じた同年5月12日上京した長井は、議奏権大納言正親町三条実愛面会し航海遠略策建言。これに賛同した正親町三条長井書面での提出求めた建白書目を通した孝明天皇もこの論に満足し朝廷了解得た長井は、幕府要人への入説を命ぜられ6月には江戸へ下った。しかし、すでにこの頃江戸長州藩邸では長井反撥する空気横溢していた。桂小五郎久坂玄瑞吉田松陰系の尊王攘夷派藩士たちは、破約攘夷主張しており、長井の策は勅許なしでの条約締結による開国是認するものであり、天皇おろそかにする政策だと主張した。そしてもう一つ幕府これまでしてきたことを黙認する航海遠略策は、吉田松陰処刑され松下村塾生にとって受け入れがたいものだった考えられる久坂周布政之助説得し、反長井派に転じさせることに成功する一方長井7月2日老中久世広周説得、さらに8月3日には同じく老中安藤信正にも面会した外様大名陪臣である長井朝廷幕府要人の間を周旋するのは異例中の異例であったが、公武合体進まず窮地に陥っていた幕府にとっては渡りに船政論であったため、二人老中大い賛同し長井に引きつづき周旋求めた。そこで長井本格的な推進のため、戻り藩主毛利慶親出府促した。この動き対し、反長井派の周布久坂藩主出府阻止しようとするが、無断任地離れた罪で逆に逼塞処分となる。しかし11月13日江戸到着した慶親は藩内の強硬な異論鑑み久世安藤要請にもかかわらず航海遠略策消極的な姿勢となってしまう。その一方で12月8日には、長井幕府正式に航海遠略策建白。翌文久2年正月3日長井中老昇進する。ところが航海遠略策推進役の一人であった安藤信正坂下門外の変失脚孤軍奮闘長井は、3月10日江戸を立ち京に上った。 しかし、すでに京都情勢前年とは様変わりしていた。薩摩藩主の父島久光が兵を引き連れて上京し攘夷運動促進するという情報実際に久光攘夷意志はなく、公武合体策と幕政改革推進目的であった)から、尊攘派動き朝廷においても活発化していたためである。3月18日長井正式に朝廷航海遠略策建白するが、工作失敗終わった。さらに4月11日には久坂が藩重役対し12箇条からなる長井弾劾書を提出している。藩論分裂恐れた毛利慶親は、長井江戸帰府命令4月13日島津久光入京するのと入れ違うように、翌14日長井は京を退去した。 さらに久坂らの朝廷工作続き前年長井正親町三条実愛提出した書面に現朝廷誹謗した文言があると攻撃。これを受けて朝廷5月5日不快感を表す(謗詞一件)。長州藩朝廷謝罪するとともに6月5日長井中老職免じ帰国させる。7月入京した毛利慶親重臣相談の末、長州藩論航海遠略策から破約攘夷転換することを決定。ここに至って長井政治工作は完全に破綻した幕府側で航海遠略策支援していた久世広周6月2日罷免され朝廷側でこれを主導した正親町三条実愛翌年権大納言議奏辞職追い込まれている。 11月15日長井切腹命じられ、翌文久3年1863年2月6日自害した以後長州藩尊王攘夷の最過激派として、八月十八日の政変まで京都政局主導することになる。しかしその後薩英戦争四国艦隊下関砲撃事件などを通じて攘夷不可能性が知れ渡り開国不可避となるに従い航海遠略策思想歴史的役割終えた

※この「長井雅楽の周旋と失敗」の解説は、「航海遠略策」の解説の一部です。
「長井雅楽の周旋と失敗」を含む「航海遠略策」の記事については、「航海遠略策」の概要を参照ください。

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