錦川鉄道錦川清流線
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錦川清流線 | |
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NT3000形気動車(NT-3001 せせらぎ号)
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基本情報 | |
国 | ![]() |
所在地 | 山口県 |
種類 | 普通鉄道(第三セクター鉄道) |
起点 | 川西駅 |
終点 | 錦町駅 |
駅数 | 13駅 |
開業 | 1960年11月1日 |
三セク転換 | 1987年7月25日 |
所有者 | 錦川鉄道 |
運営者 | 錦川鉄道 |
使用車両 | 錦川鉄道#車両を参照 |
路線諸元 | |
路線距離 | 32.7 km |
軌間 | 1,067 mm |
線路数 | 全線単線 |
電化方式 | 全線非電化 |
閉塞方式 | 自動閉塞式(川西 - 北河内間) 特殊自動閉塞式(北河内 - 錦町間) |
最高速度 | 80 km/h[1] |
停車場・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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錦川清流線(にしきがわせいりゅうせん)は、山口県岩国市の川西駅から同市の錦町駅に至る錦川鉄道の鉄道路線である。
本稿では、前身となる(旧)国鉄・西日本旅客鉄道(JR西日本)岩日線(がんにちせん)ならびに未成線区間である岩日北線(がんにちきたせん[注 1])についても記す。
概要
錦川清流線は1987年(昭和62年)に(旧)国鉄特定地方交通線の岩日線を転換して開業した[2]。施設上は西日本旅客鉄道(JR西日本)岩徳線の川西 - 柱野間にある森ヶ原信号場が起点でそこから分岐している[2]。2006年(平成18年)3月20日に(旧)岩国市・錦町・美川町などが合併し、新たに岩国市が発足したことにより、全線が岩国市内となった。ほぼ全線が錦川沿いを通っており、路線名はそれに因んでいる[2]。
元々岩日線は山陽本線 岩国駅と山口線 日原駅(島根県鹿足郡津和野町)を結ぶ陰陽連絡鉄道の一つ[注 2]として計画されたものであり、「岩日線」の名称も「岩国」と「日原」の頭文字を取ったものであった。1963年に錦町駅まで開業したが国鉄再建法施行により特定地方交通線の第二次廃止対象路線に指定され、以北の建設を凍結(後述)、開業済み区間は第三セクター鉄道に転換された[2]。山口県で唯一の第三セクター鉄道であり、なおかつ山口県で唯一のJR以外の鉄道路線でもある[注 3]。
路線データ
- 管轄(事業種別):錦川鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):32.7km
- 軌間:1067mm
- 駅数:13駅(起終点駅と清流みはらし駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:自動閉塞式(川西 - 北河内間)、特殊自動閉塞式(北河内 - 錦町間)
- 最高速度:80km/h[1]
運行形態
すべての列車が岩徳線に乗り入れ、岩国駅 - 錦町駅間で運行されている。運行本数は1日10往復で、3時間以上間隔が空く時間帯もある。ワンマン運転を実施している[2]。
車両
1987年の錦川鉄道転換後は、NT2000形気動車が使用されていた[2]。2007年からNT3000形気動車の運行が開始され、2008年にNT2000形の運行が終了した。
国鉄時代の車両
旅客車はディーゼルカーが使用されていた。貨物列車は河山駅より大竹駅まで硫化鉱石を輸送するためC11形蒸気機関車が使用されていたが、無煙化されてDD13形ディーゼル機関車に変わった。
歴史
改正鉄道敷設法別表第96号「山口県岩国ヨリ島根県日原ニ至ル鉄道」の一部にあたる。
開業時から乗客数の少なさが予想されており、国鉄職員が配置されていた駅は貨物需要が見込まれていた河山駅のみ。錦町駅も日本交通観光(後のJR西日本広島メンテック)への委託駅であった[3]。川西 - 河山間では開業時に実キロの1.5倍の擬制キロを採用し割増運賃が適用された[注 4][4]が、1961年5月に国鉄新線建設に対し補助金が出ることになったため擬制キロによる割増運賃は廃止された[4]。
- 1960年(昭和35年)11月1日 - 国鉄岩日線として川西 - 森ヶ原信号場 - 河山間 (27.9 km) が開業[2]。御庄駅、南河内駅、北河内駅、椋野駅、南桑駅、根笠駅、河山駅開業[5]。
- 1963年(昭和38年)10月1日 - 河山 - 錦町間 (4.8 km) が延伸開業(旅客営業のみ)[2]。柳瀬駅、錦町駅開業。
- 1965年(昭和40年)11月1日 - 自動列車停止装置(ATS-S)の使用開始[6]。
- 1967年(昭和42年)4月 - 蒸気機関車の運転を終了[7]。
- 1971年(昭和46年)3月1日 - 行波仮乗降場開業。
- 1974年(昭和49年)10月1日 - 川西 - 河山間の貨物営業廃止。
- 1984年(昭和59年)6月22日 - 第2次特定地方交通線として廃止承認。
- 1986年(昭和61年)11月14日 - 第三セクター鉄道への転換を決定[2]。
- 1987年(昭和62年)
- 1991年(平成3年)3月16日 - 北河内 - 錦町間で特殊自動閉塞式使用開始[8][9]。
- 1993年(平成5年)3月18日 - 守内かさ神駅開業[10]。
- 2013年(平成25年)3月16日 - 御庄駅を清流新岩国駅に改称[11]。
- 2018年(平成30年)
- 2019年(平成31年)3月19日 - 南桑駅 - 根笠駅間に清流みはらし駅が開業[15]。イベント臨時列車のみが停車する[15]。
駅一覧
路線名 | 駅名 | 駅間 営業キロ |
累計 営業キロ |
接続路線・備考 | 線路 |
---|---|---|---|---|---|
岩徳線 | 岩国駅 | - | 5.6 | 西日本旅客鉄道:![]() |
| |
西岩国駅 | 3.7 | 1.9 | ◇ | ||
川西駅 | 1.9 | 0.0 | 西日本旅客鉄道:■岩徳線(徳山方面) | | | |
森ヶ原信号場 | - | (1.9) | (岩徳線との実際の分岐点) | | | |
錦川鉄道錦川清流線 | |||||
清流新岩国駅 | 3.9 | 3.9 | 西日本旅客鉄道:![]() |
| | |
守内かさ神駅 | 1.5 | 5.4 | | | ||
南河内駅 | 3.2 | 8.6 | | | ||
行波駅 | 2.6 | 11.2 | | | ||
北河内駅 | 2.7 | 13.9 | ◇ | ||
椋野駅 | 3.8 | 17.7 | | | ||
南桑駅 | 3.1 | 20.8 | | | ||
(臨)清流みはらし駅 | 1.7 | 22.5 [16] | イベント列車のみ停車 | | | |
根笠駅 | 1.0 | 23.5 | | | ||
河山駅 | 4.4 | 27.9 | | | ||
柳瀬駅 | 3.1 | 31.0 | | | ||
錦町駅 | 1.7 | 32.7 | | |
岩日北線
停車場・施設・接続路線 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(旧)岩日線のうち、錦町駅から日原駅までの区間については日本鉄道建設公団が岩日北線として1967年11月19日から建設が行われていた[6]が、同駅以南の特定地方交通線指定に伴って建設が凍結された。
このうち錦町から六日市(島根県鹿足郡吉賀町)までの区間は大半の路盤が完成していた。この路盤の有効活用策として、(旧)錦町により錦町駅から雙津峡温泉近くの周防深川付近までは「岩日北線記念公園」として整備され、2002年からタイヤ付き遊覧車(愛称:とことこトレイン)が運行されている。錦町駅すぐ北の広瀬トンネル内は蛍光石とブラックライトを用いたイルミネーションが施され、「きらら夢トンネル」の名称がつけられている。「とことこトレイン」の終点となっている雙津峡温泉駅は、山口県岩国市錦町深川2343付近に所在する。
なお、この遊覧車の運行は、(旧)錦町(現在の岩国市錦総合支所)から錦川鉄道への委託によるものであるが、鉄道事業法に基づく鉄道事業ではなく岩日北線記念公園の「園路」内を走行する遊具としての位置づけで運行されている。運行期間は3月から11月の土日祝日と、春休み・夏休み中のみ(団体客向けには随時運行)。
周防深川駅 - 高根口駅間にある第3須川トンネルは、現在防災科学技術研究所の錦地震観測施設として活用されている。
六日市駅付近は道の駅むいかいち温泉が建設されており、六日市トンネル(高根口 - 六日市間)から六日市温泉にかけては遊歩道として整備されている。
設置予定駅
接続路線の事業者名・所在地は建設中止時のもの。
駅名 | 接続路線 | 所在地 | |
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錦町駅 | 日本国有鉄道:岩日線 | 山口県 | 錦町(現:岩国市) |
出市駅 | |||
周防深川駅 | |||
下須川駅 | |||
高根口駅 | |||
六日市駅 | 島根県 | 六日市町(現:吉賀町) | |
七日市駅 | |||
柿木駅 | 柿木村(現:吉賀町) | ||
日原駅 | 日本国有鉄道:山口線 | 日原町(現:津和野町) |
脚注
注釈
- ^ 未成線区間の名称について以下の資料では「がんにちきたせん」と記述されている。
- 「国土交通省メールマガジン 平成21年3月17日」国土交通省、2009年3月17日。2025年4月10日閲覧。
- 「ふれあい山口 (PDF)」2008年9月号、山口県、2008年9月、6面。2016年3月28日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。
- 「CITY INFORMATION しほう (PDF)」459号、岩国市、2012年3月15日、1面。2013年6月6日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。
- ^ 岩国からの陰陽連絡鉄道として他には、戦前の田中義一内閣時代にも岩国と萩を結ぶ鉄道路線が構想されていた(萩市#交通参照)。
- ^ 県内には以前は長門鉄道、船木鉄道、防石鉄道、山陽電気軌道といった私鉄線が存在したが、1971年に廃止となった山陽電気軌道を最後に県内から私鉄線が消え国鉄線(→JR線)のみになった。本路線が第三セクター鉄道に転換したことにより、およそ16年ぶりに山口県に(国鉄・)JR以外の鉄道路線が復活した。
- ^ 翌1961年4月6日の運賃改定で1.25倍に軽減。
出典
- ^ a b 寺田裕一『日本のローカル私鉄 2000』ネコ・パブリッシング、2000年。 ISBN 978-4873662077。[要ページ番号]
- ^ a b c d e f g h i j 「ローカル線の実態と問題を現地に見る 57 錦川鉄道 錦川清流線」『鉄道ジャーナル』第30巻第08号、鉄道ジャーナル社、1996年8月、72-79頁。
- ^ 「終着駅の町 渓谷鉄道に観光の夢」『中國新聞』1971年11月5日、5面。
- ^ a b 種村直樹『時刻表の旅』中央公論新社〈中公新書〉、1979年、124-125頁。 ISBN 978-4121005502。
- ^ 「通報 ●岩日線の略図について(営業局)」『鉄道公報』日本国有鉄道総裁室文書課、1960年10月28日、6面。
- ^ a b c 西岩国駅長 竹中『西岩国駅開業50周年記念誌』(国鉄)西岩国駅、1980年。
- ^ 角川和男 編『明治・大正・昭和蒸気機関車100年』朝日新聞社〈世界の鉄道別冊〉、1976年。
- ^ 寺田裕一『データブック日本の私鉄』ネコ・パブリッシング、2002年、271頁。 ISBN 978-4873668741。
- ^ 「私鉄年表」『私鉄車両編成表 '91年版』ジェー・アール・アール、1991年9月15日、164頁。 ISBN 4-88283-212-7。
- ^ 「私鉄年表」『私鉄車両編成表 '93年版』ジェー・アール・アール、1993年10月20日、187頁。 ISBN 4-88283-214-3。
- ^ 佐々木康弘「山口県の錦川鉄道御庄駅が「清流新岩国」に - 新幹線への連絡駅をアピール」『マイナビニュース』マイナビ、2013年1月30日。
- ^ 『【災害情報】平成30年台風第7号及び前線等による被害状況等について(第7報) (PDF)』(レポート)、国土交通省、2018年7月7日、52頁。
- ^ 「鉄道の運転再開及び代行バス等の運行開始の見通しについて(7月17日17時時点) (PDF)」(プレスリリース)、国土交通省、2018年7月18日。
- ^ 「錦川鉄道、27日全線再開」『山口新聞』みなと山口合同新聞社、2018年8月23日。2019年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ a b 「「清流みはらし駅」3.19開業決定!」錦川鉄道、2019年2月26日。2019年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月10日閲覧。
- ^ 『JTB時刻表』2019年3月号、JTBパブリッシング、325頁。
参考文献
- 藤井浩三「中国地方ローカル線建設の歩みと蒸機」『蒸気機関車』NO.40、キネマ旬報社
関連項目
外部リンク
錦川清流線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/29 17:56 UTC 版)
現行車両 NT3000形 キハ40形レトロ調車両として2017年に導入。東日本旅客鉄道(JR東日本)烏山線で同年3月まで運行されていたキハ40 1009を3,300万円(輸送費込み)で購入。同年5月に錦町駅に搬入され、7月25日の開業30周年記念イベントで公開。同年9月16日に営業運転を開始した。 過去の車両 NT2000形 NT2100形(イベント用兼用) NT3001(せせらぎ号) NT3002(ひだまり号) NT3003(こもれび号) NT3004(きらめき号) キハ40 1009 NT2000形(NT-2003)(2004年4月4日) NT-2004 らかん号 NT-2005 じゃくち号 NT-2005 製造当初の塗装(1995年撮影)
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