西鉄新宮 - 津屋崎間の存廃問題
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「西鉄貝塚線」の記事における「西鉄新宮 - 津屋崎間の存廃問題」の解説
三苫ないしは西鉄新宮から津屋崎までの区間は鹿児島本線と国道が並行しており、2004年度の輸送密度は2,201人と、貝塚から西鉄新宮までの同年度の輸送密度9,557人の1/4という状況であった。西鉄側は福岡県及び沿線自治体に経営改善の協力要請をしていることが2005年1月に明らかになり、沿線自治体と経営改善策を検討してきたが、結局利用客は増加せず、2006年3月に西鉄新宮 - 津屋崎間の廃止が決定された。廃止は2007年4月1日で、同時に宮地岳線から貝塚線に改称した。なお、廃止区間には代替バスが運行されている。代替バスによる三苫 - 津屋崎間の運賃は430円(同区間鉄道利用の場合は鉄道廃止時点で260円)である。 廃止対象区間の沿線は住宅街で、同じ西鉄の甘木線よりも本数が多く、系列の筑豊電鉄線などの成功事例を比べると好条件に見える。しかし、全線単線・普通列車のみ・車両が本線系統から転属した旧型車などで輸送力が低いこと、終点の位置が津屋崎という半端なところであること、現状は地下鉄と接続しているとはいえ都心に直通していないこと、新宮 - 津屋崎間は地下鉄との乗り継ぎ割り引きも適用されず、前述のようによかネットカードが使えないこと、国鉄民営化により並行しているJR鹿児島本線の近代化が進み、新駅の設置、新車の導入、快速・普通列車の増発などによって利用者離れが進み、赤字が続いていた。 福津市・古賀市・新宮町の住民から宮地岳線(当時)の存続を訴える6万人の署名が集まり、西鉄新宮 - 津屋崎間の第三セクター化などが検討されたが、西鉄側が三セクとの直通運転を行わないと明言したことや三セク設立には多額の費用が掛かることなどもあり、断念した。 2007年2月20日に宮地岳線一部区間廃止に伴う路線名変更および鉄道・バス運行概要が発表された。内容は、鉄道運行の概要として、廃止に伴って路線名称を「貝塚線」に改称すること、貝塚 - 西鉄新宮間の運行本数を平日83往復・土曜・休日73往復とすること(これにより平日の三苫 - 西鉄新宮間以外は減便)、運行間隔を平日ラッシュ時10分・オフラッシュ時および土曜・休日の終日は15分とする、ラッシュ時の列車の離合を見直し所要時分を短縮すること、日中時間帯(10 - 17時)の福岡市地下鉄箱崎線の西新方面直通列車と接続するなど利便性向上を図ることである。また、廃止区間についての代替路線バスの運行概要は、西鉄新宮駅から古賀、JR福間駅を経由して津屋崎橋までを結ぶ路線(1日40往復)や、平日の朝夕のラッシュ時間帯に都市高速を経由して天神と津屋崎を結ぶ路線、西福間三丁目からJR福間駅を経由して光陽台を結ぶ路線を新設することであった(しかし西福間三丁目-JR福間駅-光陽台の系統は赤字のため2009年4月1日に廃止)。 翌3月16日には、宮地岳線一部区間廃止の関連行事について発表された。概要としては、同月19日から31日まで宮地岳線全駅で今回廃止となる6駅の写真を入れた「記念乗車券」を発売する、19日より廃止当日まで車体をカッティングシートで装飾した記念電車(311+361編成)を運行する、西鉄新宮 - 津屋崎間の運行最終日の31日は廃止区間を終日無料運賃にて営業する、最終臨時電車の前に2本の臨時営業電車(津屋崎発)を運行(津屋崎駅23時22分発→貝塚駅24時05分着と津屋崎駅23時41分発→貝塚駅24時23分着)する、最終臨時電車を運行(津屋崎駅24時20分発→貝塚駅25時00分着で途中客扱いなしの運行、宮地岳駅で31日10時より「乗車整理券」を配布)する、津屋崎駅発の最終電車となる24時20分発貝塚行最終臨時電車の出発に先立って、31日23時50分から津屋崎駅にて「最終臨時電車出発式」を実施する、ことであった。 3月31日当日は、松林を走るローカル線との別れを惜しむ沿線住民や鉄道ファンが詰め掛けた。最終臨時電車出発式が4月1日午前0時すぎに津屋崎駅にて行われた。同駅の狭いホームは、深夜にも拘らず、写真撮影をする人や別れを告げに来た人達でいっぱいであった。社長の挨拶の後に最終電車が入線し、この電車は前述した通り、青い波のステッカーを装飾した記念電車(311+361編成)が充当され、「長い間のご愛顧ありがとうございました」とメッセージが入ったヘッドマークが取り付けられた。運転士が花束を受け取って乗車し、最後の乗客(整理券持参者)を乗せて貝塚電車営業所長の出発合図で貝塚へ向け発車した。 2008年までに廃止区間の線路撤去作業はほぼ完了した。
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