蘭鋳型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/29 01:03 UTC 版)
黒ランチュウ 中国ランチュウ(ライオンヘッド) 江戸錦 桜錦 鵞頭紅 銀魚 頂天眼 水泡眼 背びれが無いのが最大の特徴。体は丸みを帯びており、尾ビレは琉金型に比べれば肉厚で短い。泳ぐのも比較的下手。江戸時代には「卵虫」という表記も見られたという。当時は「マルコ(丸子)」と呼ばれ、頭部の肉瘤は発達していないものであった。その後、幕末以降になって頭部の肉瘤の発達したランチュウが一般的となった。戦後になって現代のような無色透明なガラスが普及するまでは日本製のガラスは表面が若干細かく波打っていたり曇りガラスであったりしたので、上から見るのを好まれた。 蘭鋳(ランチュウ) 色は赤、白、更紗模様のみ。黒が入らないのが良いとされてきたが、最近では、「黒ランチュウ」としてカテゴリが作られて売られるようになった。 津軽錦(ツガルニシキ) 江戸期から青森県の津軽地方で飼育されてきた品種。江戸時代には地元では地金魚あるいは津軽金魚と呼ばれており、頭部の肉瘤が発達するものとしないものとがあった。後者については昭和に弘前展覧会で秩父宮雍仁親王が津軽錦と命名したのだという。太平洋戦争で絶えたが、1990年代後半頃になって蘭鋳と東錦を交配させて復元した。現在は青森県青森市の浅虫水族館などでも鑑賞が可能。寒冷な気候には強いが暑さには非常に弱いという。弘前ねぷた祭りの「金魚ねぷた」はこの津軽錦をモデルにしたものと言われている。 出雲南京(イズモナンキン) 南京とも呼ばれる。島根県の天然記念物。丸子型の特徴をよく残し、背ビレがなく頭部の肉瘤は発達していない。色は白勝ちの更紗がよく、白地に口と各ヒレのみが赤い六鱗(ろくりん)がよいとされる。酢などで人工的に色を整えて作ることがある。尾は四つ尾。あまり丈夫ではなく飼育は難しいといわれる。 大阪蘭鋳(オオサカランチュウ) 江戸時代、大阪を中心に丸子型の蘭鋳が盛んに飼育されていた。丸子型とは、背ビレがなく肉瘤の発達していない金魚である。幕末には既に大阪でこれの品評会も行われていたが、大正期頃には背ビレ尾ビレが豪華で肉瘤のあるタイプの金魚に人気が移って生産量も減り、太平洋戦争後にはいったん廃滅した。現在売られているものは、蘭鋳に、中国花房、出雲南京、土佐錦魚を交配して復元されたものである。特徴としては、無論背ビレはなく、肉瘤がなく、鼻髭または鼻房と呼ばれる房が鼻孔のあたりにあること。尾は三つ尾(平付尾)、色は、愛知県の天然記念物ジキン(地金)と相互に影響あるいは対抗しあったこともあってか、全体は白に各ヒレと口だけが赤い六鱗(ろくりん)に似たものがよいとされる。 江戸錦(エドニシキ) 昭和に蘭鋳と東錦を交配して作られた品種。色はキャリコ模様。その後東京都水産試験場(旧)で改良されて現在に至っているが、まだ安定はしていない。交配の過程で尾びれが長い個体が現れることもあり、それらは「京錦」という品種になる。 桜錦(サクラニシキ) 昭和に江戸錦と蘭鋳を再び掛け合わせ(戻し交配)て作られた品種。品種登録は平成になってからという非常に新しい品種である。流通量は多くないが、飼育は難しくはない。色は更紗模様に透明鱗が入る。同様の外観を持つ個体は、東錦と蘭鋳でも生まれ、そちらは「京桜」という品種になる。 鵞頭紅(ガトウコウ) 戦後、中国から輸入された品種。肉瘤の発達した紅色の頭を持つ。近年はその色合いから丹頂鶴の名を付けて「丹頂蘭鋳」の名で市場に出回っている場合もある。 銀魚(ギンギョ) 青文魚のように青みがかった体色が特徴。頭の肉瘤はほとんど発達しない。尾は三つ尾か四つ尾。白く退色したものは「白銀魚」と呼ばれる。 秋錦(シュウキン) 明治期に蘭鋳と和蘭獅子頭を交配して作り出された品種。本来は背ビレのない和蘭獅子頭を作ることを理想としていたが、太平洋戦争で途絶え、現在は蘭鋳の中で尾が長いものを一般にこの品種としている。色は赤や更紗模様。 頂天眼(チョウテンガン) 出目金の突然変異をもとにしているといわれるが、現在では蘭鋳の突然変異とされている[要検証 – ノート]。上を向いて飛び出た眼球が特徴。背ビレもない。中国では清時代には存在していたともいわれ、日本には明治以降に入ってきた。視力はまったく無いため、泳がないでほとんどじっとしており、嗅覚で餌を探す。 鼻孔に鼻房を持つものは「頂天花房」という品種になる。 水泡眼(スイホウガン) 中国では長らく門外不出とされており、日本には1958年(昭和33年)に持ち込まれた。頂点眼と同様に、背ビレがなく、上を向いて飛び出した眼球を持ち、最大の特徴はその目についている風船のような水泡である。これは角膜が肥大したもので中にはリンパ液が入っている。破れるとまず再生しないので飼うときには非常に注意を要する。英名は「バブルアイ(Bubble Eye)」。
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