脚と健康
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:16 UTC 版)
脚は時として第二の心臓とも呼ばれ、立位時重力に従って下方向へ体液が流動することに因って引き起こされる体液停滞むくみを、脚の血管周辺の筋肉の運動によって上部へ押し返し再び循環系に戻す事を行っている。押し返す行いは脚を使った運動、歩行や走行などにより促進されるため、運動は全身の血の巡りを良くする効果が望める。脚は体全体を支え日常的に頻繁に使われる部位であるため、体の中でもっとも頑丈にできている反面、筋力の消費するエネルギーが大きく、使用しない時の退化が激しい。そのため最も太く丈夫とされる大腿骨を折ってしまうと修復に時間がかかり、老人の場合そのまま寝たきり生活になってしまい、補助器具を使わずに立ち上がることができなくなってしまうことが多い。そのため日頃から昇降運動などで膝周辺の筋力を鍛えておく事は老後の健康にも有益である。加えて言うなら腿部の消費エネルギーが大きいために運動効率もよく、糖尿病罹患者、高脂血症や高血圧の運動治療を行う人のみならずダイエットを志す人にも、脚を動かし鍛えることは広く推薦できる。 ヒトの脚の形状として内反膝(英語版)、外反膝(英語版)などがあり、それぞれ一般的にはO脚(おーきゃく)、X脚(えっくすきゃく)と呼ばれている。病的なものや遺伝の要素は少なく癖とも言える個人差の範囲だが、矯正し修正することもできる。内反膝や外反膝は脚のアンバランスな使用であるため将来変形性膝関節症等の膝の病気を引き起こす原因にもなり、気になるようなら専門家に相談することを勧める。 また乳幼児期に見られるそれらの多くは一過性のものであり、継続するようならビタミンDの摂取不足や日照時間が短い事から起こるくる病に罹っている場合がある。また同様の症状が大人になって突如起こることがあり、その場合は体位バランスの崩れもあるが、なんらかの原因で骨軟化症を引き起こしていることが多い。矯正中や骨軟化症罹患時に胡坐や正座などは悪化させることがあるため、椅子中心の生活に変えた方が良いときがある。日本人には内反膝が、特に女性に多いとされる。 また脚には手と同様に利きがあり、反対側よりも筋力、長さ等が発達していることが多く、左右の不均等が全身の歪みを引き起こすとも言われている。この脚の利きの違いが山中での遭難の原因リングワンダリングを引き起こすと言われている。また下半身骨格の歪みが利き足同様の症状を引き起こす事があるが、その場合は脚のみの利きよりも症状がハッキリと出る。 脚に何らか症状を引き起こす病気としては運動に伴う疾病が多い。 骨折、足の指の突き指は時として骨折や腱断裂を引き起こしていることがある。また普段使われている場所なため使われない時の衰退は早く、運動不足が骨折(疲労骨折)を招く事もある。 足首や膝に起こりやすい捻挫や脱臼は運動障害を伴った傷害であり、靭帯断裂等を伴い起き易く習慣化し易い症状であるため観察には注意が必要である。 筋肉痛、肉離れ、筋断裂などは、激しい動きに伴う筋肉の症状として一般的に起こり得る病気として挙げられる。 脚は細かい動きや大胆な動きを体重を支えながら行うために腱を傷めることも多く、腱に沿った痛みを伴う腱鞘炎、力を入れても全く動かなくなる腱断裂、運動時に起こりやすい捻挫など。 関節の炎症の総称である関節炎には、老化と共に現れやすくなる変形性関節症、女性に多いリウマチ、痛風罹患に伴う炎症などは膝関節や足の指にできやすい。また膝の靭帯は損傷報告が多く、運動不足の状態で十分なストレッチを行う事なく膝に負担がかかる運動をすることで靭帯断裂等を引き起こしやすくなる。 日常的に立ち行動が多いヒトには脚部にむくみが生じ易い。脚の筋肉を動かす事で血液循環を促進しむくみの解消に一役かう事が出来る。 むくみの放置、反復により下肢静脈瘤に進展する事があり、予防を目的としたストッキングやソックス、靴を用いる事で進行を遅らせたり症状を緩和させる事が出来る。 他には脚気(かっけ)、痛風、ケーラー病、レイノー病、オスグッド・シュラッター病、ビュルガー病、フィラリア症等が引き起こす象皮症等が脚になんらかの症状を引き起こす病気として多く挙げられる。
※この「脚と健康」の解説は、「脚」の解説の一部です。
「脚と健康」を含む「脚」の記事については、「脚」の概要を参照ください。
- 脚と健康のページへのリンク