経済などへの影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 00:18 UTC 版)
「福島第一原子力発電所事故の影響」の記事における「経済などへの影響」の解説
「東日本大震災による電力危機」も参照 東北地方太平洋沖地震及びそれにより発生した津波被害により、同事故で破損した福島第一を含む、多くの発電設備が被害を受けたため、東京電力の発電能力は大幅に低下し、需要を満たせなくなる可能性をはらむことになり、電力の使用状況によっては予期しない大規模停電が起こる可能性が出てきた。そのため、電車を運行する鉄道会社では大幅に運行本数を削減するなどして、電力不足に対応した。 また、福島第一原発からの放射性物質の飛散を懸念し、同発電所の周辺地域や同発電所に比較的近い関東地方、場合によっては日本からの退避を自国民に対し勧告する国もあった。東京の大使館業務を縮小したり、ドイツやオーストリアなどが一部業務を大阪などに一時移転したりする動きも見られた。 このような状況の中、余震や電力不足による混乱、放射性物質の拡散への懸念などを理由に、東京の社員や業務機能を西日本や第三国に退避する企業が増えた。ただし、その後に西日本、特に福井県の若狭湾岸に密集する原発に依存する地域でも電力不足の懸念が広まったため、東京に戻ったり海外移転を検討したりする関西企業も現れた。 H&M:アルバイトを含む国内従業員とその家族、法人業務を一時大阪に移転。 タタ・コンサルタンシー・サービシズ:インド人社員の本国への帰国と日本人社員及び家族の関東からの移動準備。 BNPパリバ:東京在住の社員を香港及びシンガポールに配置転換。 IKEA:正社員の約半数と本社機能を神戸に移転。 また放射性物質による汚染の懸念から農産物から工業製品に至る日本製品が、海外の市場において隠避される傾向が垣間見られる地域も出てきた。輸出に際して、EU諸国をはじめ放射能の環境基準に敏感な地域などでは検査証明などの検査結果の明示が必要になるケースも出てきている。このことから東京港や横浜港、川崎港、神戸港など日本の主な港湾施設では事前にコンテナの放射線検査を実施するところもある他、検査施設への放射線量測定の依頼が増加している。また中華人民共和国では日本産の食品輸入が事実上差し止められるなど過剰な措置があるとし、日本政府が日本産食品の安全性についての働きかけを行った。 福島市の福島競馬場でも、芝コースやダートコースで除染を行うため一部の芝を張り替えたり、砂を入れ替えたりするなどの処置がされた。 海外ではそれまで人気の高かった日本産食材の売れ行きが落ちたり、客足の伸び悩みで日本食レストランが閉店するなどの影響があるとの報告もあった。 また事故直後、各国政府の退避勧告や、個人や各企業の自主的な敬遠指向などが影響し、外国人観光客の来日数が激減した が、震災後初めての大型連休となったゴールデンウィークには、安近短の傾向ではあるが徐々に国内の観光客数は連休中に回復の兆しを見せた。しかし福島県内でも福島第一原発から距離が遠く放射線量が小さめの会津地方 などでも観光業収益の落ち込みが激しい状態が続くなど、福島第一原発周辺地域では9月時点でもなお死活問題となっており、地域によって明暗分かれた格好となっている。
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