生態系の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 22:04 UTC 版)
ヨセミテの豊かな自然にあっても、カリフォルニアヒグマ、カリフォルニアコンドル、ベルモズモドキなどが公園内で絶滅してしまった。また、そのほか37種がカリフォルニア州又は連邦政府の絶滅危惧種に指定されている。最も深刻な問題としては、外来種、大気汚染、生息域の分断、気候変化などがあり、よりミクロの問題としては、自動車事故による轢死や人間の持ち込む食糧による生態系への影響が心配される。 ヨセミテの黒い熊、アメリカグマは、園内に駐車した車を壊して中の食物を盗むことで知られるようになった。園内のごみ捨て場に熊が現れ、ごみをあさるのが、一時期観光客の写真撮影スポットになってしまった。熊と人間の遭遇が増え、施設・動産への損害も増えたことから、熊を人間の食糧に依存させることや、熊と人間との関わりをやめようという運動が始まった。開放型のごみ捨て場は閉鎖され、ごみ箱も熊が開けられないものに置き換えられた。キャンプ場には熊が開けられないフード・ロッカーが設けられ、人々が食物を車の中に置きっぱなしにして熊の標的になることがないようにされた(熊には簡単に車を破壊する力がある)。熊が人間に対して攻撃を加えた場合は、その熊を殺さざるを得なくなるので、公園職員は、熊に人間を避ける習慣を付けさせるためにゴム弾を撃って不快な経験をさせるなどの革新的な方法を編み出してきた。今日、年に約30頭の熊が一時捕獲されて耳タグを付けられ、DNAサンプルが採取されている。これは、問題が起きた場合、どの熊によるものかを判断することができるようにするためである。 オゾンの増加による汚染は、ジャイアントセコイアの樹木組織を傷つけ、昆虫の侵入や病気への抵抗力を落とす原因となっている。また、ジャイアントセコイアの松かさは、発芽するために火で焼かれた土壌が必要であるが、従来からとられていた山火事の抑制策により、その繁殖能力が落ちている。現在は意図的な野焼きが行われており、この問題の改善が期待されている。 ヨセミテ国立公園当局は、公園内に生えている130種を超える外来植物を挙げている。これらの外来種は、1850年代後半に初期のヨーロッパ系入植者が持ち込んだものである。野火事や、建物の建設など、自然的要因・人工的要因の双方により、外来種は急激に増加し、在来種を侵食しつつあり、生態系に大きな変化をもたらしている。一部の外来種は、火事の増加につながったり、土中窒素量を増加させたりして、さらに外来種が繁殖しやすい環境を作り出している。イガヤグルマギク(ヤグルマギク属)など多くの外来種は、長い直根を伸ばし、在来種との水獲得競争を制している。 アメリカオニアザミ(アザミ属)、モウズイカ、セイヨウオトギリは、1940年代から、ヨセミテの有害植物として認識されていた。近年、それに加えて抑制が必要な植物として挙げられているのは、イガヤグルマギク、シナガワハギ、ヒマラヤ・ブラックベリー(英語版)(キイチゴ属)、キレハブラックベリー(英語版)(同属)、ツルニチニチソウなどである。
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生態系の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 15:20 UTC 版)
家畜の放牧の為に整備した環境で餌や水を得た、一部の大型種のカンガルーが増加しているとされる。 捕獲枠算定の基礎となるカンガルーの生息数は、厳密に把握することは困難であるが、毎年、オーストラリアの政府機関により、生息数の推計が行われている。40年近く続けられてきた調査を経て、航空機を用いた精度の高い全頭数の調査技術が構築されているという。この調査によれば、現在のオーストラリアのカンガルー生息数は、3500万頭から5000万頭と推定されている。狩猟の免許制などの管理措置もあり、絶滅につながる恐れは無いとオーストラリア政府は説明している。 オーストラリア環境協会(Ecological Society of Australia)やオーストラリア野生動物管理協会(Australasian Wildlife Management Society)、オーストラリア哺乳類協会(Australian Mammal Society)など多くのオーストラリアの自然保護団体・環境保護団体は、逆にカンガルー飼育による利用を支持している。支持者たちは、土着の動物を利用した農業体系のほうが、羊のような移入種を飼うよりも、壊れやすいオーストラリアの牧草地帯には環境保護の面で適合していると主張している。少ない餌でも育ち、本来の植生を害さないカンガルーを家畜として飼育することは、移入牧草を使った羊や牛の飼育よりも環境に優しいという考えは、広く受け入れられているという。オーストラリア政府の気候問題に関する顧問を務めるロス・ガーナー教授は、他の家畜と異なってげっぷやおならによるメタンガス排出の少ないカンガルーの利用は、地球温暖化対策のためにも推奨できると主張している。ただし、既述のようにカンガルー牧場はコスト面から実現していない。
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