沿革と様式とは? わかりやすく解説

沿革と様式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 18:26 UTC 版)

十七人の忍者」の記事における「沿革と様式」の解説

集団時代劇」が製作された期間はおおむね1963年頃から1967年頃までの4~5年とされる。 その原型黒澤明監督東宝映画七人の侍』で、同じ黒澤の『用心棒』や『椿三十郎』などの影響受けて東映集団時代劇」が始まったとされる当時東映の「明朗時代劇」に陰り見えていた中、その『用心棒』や松竹の『切腹』などの他社重厚な時代劇映画触発され、その対抗策として作られはじめたとする指摘もある。また、本作のほか、『十三人の刺客』『十一人の侍』などに出演した里見浩太朗は「スターシステム映画は、もうはやなくなった。だから(略)集団路線出てきます」と指摘している(上記渡邊達人企画会議での発言とも符合している)。 『ポスターでつづる東映映画史』では、その嚆矢東映版柳生武芸帳シリーズ第1作柳生武芸帳』(1961年3月公開原作五味康祐 監督井沢雅彦 主演近衛十四郎)と規定している。一方品田雄吉東映発行の『東映映画三十年』で、1963年3月封切りの『旗本やくざ 五人のあばれ者』(監督小沢茂弘主演片岡千恵蔵)を「集団時代劇路線第1作としている。また、山根貞男は「『集団時代劇といっても、そんなジャンル明確にあるわけでも、ちゃんとした定義があるわけでもないときには集団抗争時代劇』とも『集団残酷時代劇』と呼ばれることがある1963年12月工藤栄一監督十三人の刺客』が出現したとき、ラストえんえんと長い凄惨な殺陣多くの人に衝撃与えジャーナリズム上にそうした呼称生まれたであろう」と論じている。 東映企画室長・辻野力弥は『映画時報』のインタビュー対し『ナバロンの嵐』『大脱走』など、最近洋画ヒット作見て分かるように、魅力あるスターを混えての集団活躍多くファン喝采浴びている。東映時代劇は、この集団魅力数字インネン加えて新しく数字シリーズ”製作を決定した」と答えており、「集団もの路線」を時代劇限ったわけではなく当時の映画界の趨勢を受け、東映全体取り入れた集団もの」の一つとして時代劇位置づけられたとみられている。上述映画時報』では、「集団映画路線」の「準備中作品」として『十三人の刺客』(片岡千恵蔵主演)『十一人の賊軍』(松方弘樹主演)『九人反逆児』(山本周五郎原作、『砦山の十七日』より)『二十一人の眼』(里見浩太朗主演)『三十七の足跡』(松方弘樹主演)が発表されている(これらのうち製作に至らなかったものもあり、また上述のように時代劇映画でないものも含まれているとみられる)。 本作十七人の忍者公開後1964年8月映画集団奉行所破り』が公開された。「集団」という語をタイトル初め使用した東映時代劇とみられており、命名者当時東映京都撮影所所長岡田茂とされている。少なくともこの頃には、東映自身が「集団時代劇」というジャンル明確にしていたものとみられる岡田茂1964年2月東京撮影所再建した功績買われ大川博社長から京都撮影所合理化時代劇改革指揮権移譲受けて京都所長復帰していた。岡田東京撮影所成功させた若手による撮影所改革京都でも目指し企画部所長直属にして全権を自ら負い、本路線を含む新感覚時代劇多く作らせた。やがて京都すべての企画決定権握った当時時代劇映画退潮一途たどっており、岡田東京撮影所長時代から「東映京都時代劇はもうダメだろう」と考えていたが、このときはまだ時代劇復活望み持っており、リストラ対策呼応して1人スターに頼らない集団劇」を一つ方針としていた。 『十七人の忍者以降、「サスペンスフル集団忍者アクション面白い」という風潮撮影所内に広がり岡田茂は「企画書なんて出さなくてもエエから、いい考えあったら口で言え!」と企画部員に伝え京都撮影所では忍者ものを中心とした「集団時代劇」が大量に生産されるようになった。『十七人の忍者』同様渡邊達人指揮ノンクレジット)による1963年公開の『十三人の刺客』は興行的に失敗終わったものの、「集団時代劇白眉」との評価を受け、「集団時代劇」はシリーズ化された。ただし興行的に突出した成功収めた作品はなく、時代劇映画頽勢挽回できぬ状況になった岡田は「集団時代劇」と並行して任侠路線」を始めることを決めてその準備着手する一方で、「集団抗争時代劇路線継続させていたが、開始後の任侠路線大当たり続けたことで全面切り換え決意し、「集団時代劇」を含む時代劇映画の製作終了させ、時代劇作品テレビで制作移行させた。任侠映画時代劇にとって代わる東映映画主流となり、やがて日本映画看板になっていった。

※この「沿革と様式」の解説は、「十七人の忍者」の解説の一部です。
「沿革と様式」を含む「十七人の忍者」の記事については、「十七人の忍者」の概要を参照ください。

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