水道水との競合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 06:08 UTC 版)
アメリカ合衆国において、ボトルウォーターは多くの場合1ガロンでボトル1本につき3ドルコストがかかるのに対し、同容量の水道水では0.3から0.2セントしかかからない。1999年、NRDCによればアメリカ合衆国の消費者は水道水と比べて単位容積重量あたり240倍から10,000倍のコストがかかっているという。基本的にボトルウォーターのコストの90%以上はボトリング、パッケージング、出荷、マーケティング、販売、そして利益であり、水自体にコストはほとんどかかっていない。 一部地域では、水道水にフッ化物を加える事が認められ、虫歯や空洞を防いでいる。アメリカ合衆国にあるいくつかのボトルウォーター会社は自社製品にフッ化物を添加しているか最初からフッ化物が入っている水をボトリングしている上、食品医薬品局の規定ではボトルウォーターのラベルにフッ化物を添加している旨を記載する必要はない。しかし、自治体が飲料水として水道水に添加するフッ化物の量が連邦政府の規制によって決められていないのとは異なり、FDAはボトルウォーターに添加するフッ化物の最大容量を規定している。水道水のフッ化物添加について議論が続く国のうち添加が強制されている国は、アメリカ合衆国、イギリス、アイルランド、カナダ、オーストラリア、その他一部の国(英語版)である。 ボトルウォーターは、配管システムや住宅によって異なるものの水道水のように金属腐食にさらされる配管パイプを通らないため銅、鉛、その他金属汚染物質が少ないとされる。 研究による57製品のボトルウォーターのサンプルと水道水のサンプルの比較では、全水道水サンプルは3 CFUs/mL(コロニー形成単位)以下の細菌含有量でボトルウォーターのサンプルでは0.01から4900 CFUs/mLの細菌含有量だった。ほとんどのボトルウォーターのサンプルは1 CFU/mL以下だったものの、15種類のボトルウォーターサンプルでは6から4900 CFUs/mLだった。別の研究で25種類のボトルウォーターを比較した結果、ほとんどのサンプルで水銀、タリウム、トリウムが環境保護庁の定める汚染物質レベルを超えていた。 多くの先進国における塩素は消毒目的で水に添加される。有機物が含まれている水の場合、総トリハロメタンやハロ酢酸(英語版)といった他の副生成物が生成されてしまい、味や匂いが傷んでしまう。1リットルあたり0.0002 gの残留塩素では直接的な健康問題は起こさないが、世界保健機関が推奨する塩素濃度は0.0005から0.0002 g/Lの間である。 NRDC、シエラクラブ、WWFはボトルウォーターの消費を少なくするように支持者に働きかけている。反ボトルウォーター運動やコーポレート・アカウンタビリティ・インターナショナル(英語版)のような団体はボトルウォーターは水道水と比べて有害無益と主張し、使い捨てペットボトルが環境に悪影響を与えていると警鐘を鳴らしている。 2003年、ショウタイムのペン&テラー: ブルシット!(英語版)で仕掛けのあるレストランで食事をする客がボトルウォーターの水とレストランの裏にある庭園のホースの水を区別することができなかったエピソードが放送された。 キリスト連合教会、カナダ連合教会、キリスト教会全国協議会(英語版)、全米修道女連合(英語版)、Presbyterians for Restoring Creationといった宗教団体が水道民営化が倫理的かどうか問題提起し、基盤的な資源を買い取り、はるかに高い価格でリパッケージする業界は非倫理的だと主張した。 ボトルウォーターに対する別の頻繁な批判として、限りある水資源をプライベート企業が管理していることで、地元住民が地元にある水資源を利用できなくなり、ボトルウォーター世界最大手企業であるネスレなど少数の企業が資源を世界的に近い形で独占する結果になっていることがある。 Tapped(英語版)というドキュメンタリーではボトルウォーター業界への主張として、水道水は健康であり、環境的に持続可能で、ボトルウォーターよりも生態学的に安全だと述べている。また、アメリカ合衆国のボトルウォーター産業を特集しており、肯定的な評価を多く得て、Beyond the Bottleといった大学のキャンパスグループが結成されるきっかけになった。しかし、多くの人々は一般的にボトルウォーターの健康への有害性や、環境への影響を理解しておらず、環境心理学に基づきボトルウォーターの消費を減らす方法の研究が始まっている。
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