槍殻都市グレンダン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 03:20 UTC 版)
「鋼殻のレギオス」の記事における「槍殻都市グレンダン」の解説
サヤを核とし、リグザリオによって作られた世界で最初の自立型移動都市。レイフォンの故郷。移動半径内に大量の汚染獣が生息しており、本来汚染獣を回避して移動する自律型移動都市としては異常なほど汚染獣との遭遇率が高い。そのような危険地帯にいるため放浪バスはほとんどやって来ず、戦争期もグレンダンと戦おうとする都市はほとんどない。他の都市からは「狂った都市」と呼ばれることもあるが、その環境のために武芸が発達しており、武芸の本場としても名高い。武芸の流派は数多あり、武芸者同士の試合も頻繁に行われている。また、「天剣授受者」と呼ばれる超絶的な実力を持った武芸者が最大で12人存在し、グレンダンの住人にとっては「グレンダンほど安全な都市はない」と言うのが共通認識となっている。ただし、汚染獣との戦闘を頻繁に繰り返しているため、都市の経済状況にあまり余裕は無い。 グレンダンが戦いを絶やさぬ理由は、いずれ来るイグナシスとの戦いに備え強力な武芸者を集めるためである。その武芸者たちの婚姻をコントロールすることでアイレインの因子を収束させ、彼のコピーを作り上げることが最終目的。王制の都市で、王は代々、三王家と呼ばれる3つの王家から選ばれる。三王家とは初代グレンダン王の血を引くアルモニス家、ユートノール家、ロンスマイア家の3つで、現王を擁する家は戴冠家と呼ばれる。強大な武芸者であった初代王の血筋を絶やさないように王家の婚姻はコントロールされ、王の結婚相手は三王家のいずれかか、そうでなければ天剣授受者の中から選ばれる。 前述のとおり目的はアイレインのコピーを作り上げることであり、アルシェイラ・アルモニスという能力面での完成形が誕生したことにより完成は近いと思われていたが、ヘルダー・ユートノールが一般人の女性と子供を作ったため、「茨の目」は武芸者ではないリーリンに受け継がれてしまった。王家の者はその血筋ゆえ生まれながらにしてオーロラ・フィールドへの感覚が鋭いため、狼面衆による「向う側」の戦いにも関わることができる。グレンダンは狼面衆から危険視されており、隙あらば王家の者や天剣授受者を暗殺しようと狙われている。 天剣授受者 王家に実力を認められ「天剣」を授けられた武芸者。天剣とは、グレンダン王家に秘蔵されている、アイレインの肋骨を基に汚染獣と戦うためだけに造られたあらゆる点において最高の性能を誇る白金錬金鋼のこと。全ての錬金鋼の特徴を兼ね備えており、使用者の望む形に変化することが可能。天剣授受者となった武芸者には、天剣とその称号を示すミドルネーム、様々な特権が与えられる。同時にグレンダンを汚染獣から守る義務を課され、他の武芸者では対処が難しい状況(主に老性体の襲撃)において出動し汚染獣を撃退する。 天剣授受者は基本的に単独での出動を命じられ、その上で汚染獣を撃退する。天剣授受者はそれほどの絶対的強者であり、ゆえに都市戦では1人しか出られない(誰が出るかはくじ引きで決められる)、それほどの実力を持つことが何よりも優先して要求される。そのため、天剣授受者は基本的に己の力を高めることに終始し、他者を教導する者はほとんどおらず、武芸者として品行方正な者は少ない。クララによると天剣授受者になる最低限の条件として「通常の錬金鋼では受け止めきれない剄量を持っている事」が必要であるらしく、その証拠に劇中でも元天険授受者のレイフォンが通常の錬金鋼を何度も自壊させたり、剄のコントロールに悪戦苦闘している場面が多々ある。 天剣の数が12個であることから、天剣授受者は最大で12人と定められている。12人揃うことに何か意味があるようで、王家は常に強力な武芸者を迎えようとしているが、天剣に見合う実力者は滅多に現れず、12人揃うことは稀である。本編開始当初、12人目であったレイフォンが追放された為、11人しかおらず、1つ空席となっていた。 14巻でデルボネとティグリスが死んだ為、9人になってしまった。デルボネの跡はエルスマウ(フェルマウス)が略式で引き継いだ後、正式に授受された。18巻で、ハイアがヴォルフシュテインを、クラリーベルがノイエランを継いだことで12人全てが揃った。 「天剣」の正体は「サヤを護る」というアイレインの意思が具現化した物で、人体の骨格の中でも最も鋭いとされる肋骨を模している。天剣が12個しか存在しないのもそのためである。 またアルシェイラによると、天険授受者と呼ばれる武芸者達はアイレインの因子の大基であるオーロラ粒子が体内で結晶化し、オーロラ粒子が無くとも通常通りに戦える武芸者を選出している模様。実際グレンダンの王宮の戦いでレヴァンティンと対峙した際、サヤの能力でオーロラ粒子を遮断した戦場を作り出しその中でアルシェイラ、リンテンス、レイフォンが戦いを繰り広げた。 サリンバン教導傭兵団 グレンダンで組織された傭兵団。自前の放浪バスで都市を渡り歩き、都市の防衛や武芸者の教導を請け負う。相当の実力者揃いで、多くの都市でその名を知られている。各都市のコミュニケーションが希薄な中でグレンダンが武芸の本場として名高いのは、サリンバン教導傭兵団の活躍によるところが大きく、天剣授受者の知名度はほかの都市では低い。元々はグレンダン出身の武芸者を中心に構成されていたが、長年グレンダンには帰っておらず、現在は放浪中に生まれた二世や立ち寄った都市で入団した武芸者が半分以上を占める。 本来の目的は廃貴族を見つけて捕らえ、グレンダンに持ち帰ること。傭兵団としての活動は普段生計を立てるための手段に過ぎず、廃貴族を手に入れるためならほかの都市を敵に回すような手段もとり得る。グレンダンが廃貴族を求める理由は、グレンダンが汚染獣が多発する地域に居続けていることと関係があるらしい。
※この「槍殻都市グレンダン」の解説は、「鋼殻のレギオス」の解説の一部です。
「槍殻都市グレンダン」を含む「鋼殻のレギオス」の記事については、「鋼殻のレギオス」の概要を参照ください。
- 槍殻都市グレンダンのページへのリンク