新型コロナウイルス治療薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 03:21 UTC 版)
「日本における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」の記事における「新型コロナウイルス治療薬」の解説
いずれも2020年の出来事である。 4月15日、富士フイルムは新型インフルエンザ治療薬「アビガン」の増産を開始したと発表した。現在の月4万人分から約10万人分に増やし、秋頃に月約30万人分に増やす見込み。日本政府は備蓄を200万人分まで拡大する方針である。 4月17日、デンカは日本政府の要請を受け、新型コロナウイルス感染拡大にむけ、治療効果が期待される治療薬・「アビガン」の原料である有機化合物「マロン酸ジエチル」の生産を開始する。 4月28日、日本政府はアメリカのギリアド・サイエンシズ社がエボラ出血熱治療用に開発の未承認の抗ウイルス薬「レムデシビル」を新型コロナウイルスの重症者向け治療薬として、医薬品医療機器法の「特例承認」制度を適用し5月上旬に承認する。レムデシビルは、アメリカ国立衛生研究所や日本の国立国際医療研究センターが、新型コロナウイルスの治験を行ってきた。ドイツやアメリカで承認の見通しで、厚生労働省の審議会での意見聴取を踏まえ承認される見通しである。一方で、政府は、新型インフルエンザ治療薬「アビガン」を軽症者向け治療薬として治験と観察研究を行っている。安倍晋三首相が衆院本会議で、「すでに2000例以上投与され症状改善の効果があったと報告もある。早期の薬事承認を目指す」と述べた。 4月29日、茂木敏充外務大臣は「アビガン」について70か国以上の提供要請を受け、フィリピンやマレーシア、オランダなど38か国に無償供与を明らかにした。政府の緊急無償資金協力の総額100万ドル(約1億1,000万円)で実施する。国連機関が輸送を担い、手続き完了順に発送する。対象国にはデータの提供を求め、日本の知見に活用する。厚生労働省はアビガンの承認に向けた手引をまとめ医療機関に通知、臨床データを集め分析を加速させる。すでに約1100の医療機関が参加し2000人以上に投与されている。アビガン使用には、医療機関の倫理審査委員会の事前承認、患者の同意、厚労省研究班へのデータ提供、が条件となる。 5月3日、日本政府はアメリカの製薬会社が開発した「レムデシビル」について、医薬品医療機器法の「特例承認」制度に基づき7日に承認する。米食品医薬品局は1日、重症患者への緊急使用を認めると発表した。政府は、レムデシビルを特例承認の対象とするよう政令改正を決定した。国内で承認申請されれば、厚生労働省の審議会から意見を聴取し特例承認する。レムデシビルは人工呼吸器が必要な重症の入院患者に静脈注射で投与する。副作用は、肝臓の炎症や低血圧、吐き気、震えなどの可能性がある。 5月4日、安倍首相は「アビガン」について、新型コロナウイルス治療薬として5月中の薬事承認を目指すと表明した。軽症者への投与を想定し、現在「3000例投与され、臨床試験が進んでいる。有効性が判明されれば、医師の処方で使えるよう薬事承認めざしたい」と述べた。 5月7日、西村経済再生相は熱帯病の特効薬である抗寄生虫薬「イベルメクチン」の研究支援を表明した。イベルメクチンはノーベル生理学・医学賞を受賞した大村北里大特別栄誉教授が開発に貢献した。海外で新型コロナウイルス患者に投与し、死亡率が下がった報告があり、北里大学が治験を始める。 5月7日、日本政府はフィリピンやマレーシア、ベルギーなど44か国への「アビガン」の無償供与を開始した。国連を通じて100万ドル(約1億1,000万円)の緊急無償資金協力として提供、最終的に80か国以上となる。1か国20人分、最大100人分とし、症状改善データの提供を求め、新型コロナウイルスの治療法に役立てる。 5月7日、厚生労働省は抗ウイルス薬「レムデシビル」を新型コロナウイルス感染症の治療薬として、国内初めて特例承認したと発表した。 5月8日、東京大学病院は急性膵炎の治療薬「フサン」とインフルエンザ治療薬「アビガン」の併用療法による臨床研究を開始したと発表した。東大病院など6病院の入院患者に、フサンとアビガンを投与する患者と、アビガンを投与する患者を比較し検証する。フサンは細胞に侵入するのを防ぐ効果、アビガンはウイルスの増殖を防ぐ作用がある。 5月20日、藤田医科大学はアビガンの学外専門家による評価委員会の中間解析結果について、研究責任医師の土井教授は「安全性に問題はない、研究を続ける」と発表した。有効性について、「中間解析は有効性を評価するものではない」と、現段階では判断できないと説明した。中間解析の結果、有効性を示せなかったとの報道に反論、「中間解析は効果を判定するものではない」と話した。
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