新井敏弘とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 工学 > 大車林 > 新井敏弘の意味・解説 

新井敏弘

※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

新井敏弘

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/18 10:08 UTC 版)

新井敏弘
2020年撮影
基本情報
国籍 日本
生年月日 (1966-12-25) 1966年12月25日(58歳)
WRCでの経歴
活動時期 1997 - 2010
コ・ドライバー
  • ロジャー・フリーマン
  • トニー・サーカム
  • グレン・マクニール
所属チーム スバル
出走回数 86
チャンピオン回数 0
優勝回数 0
表彰台回数 0
ステージ勝利数 0
通算獲得ポイント 11
初戦 1997 ラリー・オーストラリア
最終戦 2010 ラリーGB
テンプレートを表示

新井 敏弘 あらい としひろ1966年12月25日[1][2][3] - )は、日本のラリードライバー。群馬県出身[1][2][3]。AB型[2][3]群馬大学工学部(現・理工学部)卒業[1][2][3]。ニックネームは「トシ」[2]

スバル・インプレッサWRX STiを長らくドライブし、全日本ラリー選手権 (JRC) や世界ラリー選手権 (WRC) などで活躍する、日本を代表するラリーストの一人。2005年、2007年のプロダクションカー世界ラリー選手権 (PWRC)シリーズチャンピオン。これは日本人初となるFIA世界選手権チャンピオンであった。

ラリー参戦、車両・パーツ開発、プロモーション活動などを国内外で行うアライモータースポーツ株式会社の代表も務める。

長男の新井大輝(ひろき)も現在アライモータースポーツで活動しており、親子二代のラリーストである。

「プライベートでは4WD以外に乗りたい」と語り、ポルシェ・911(977型・GT3)やトヨタ・MR-Sなどを所有する[4]

経歴

国内での活躍

学生時代からラリーをはじめ[2]1990年のBC地区選手権で年間総合優勝している[3]

1991年AE101トヨタ・カローラセダン全日本ラリー選手権初優勝を飾る。1992年キャロッセから全日本ラリーに本格参戦し、いすゞ・ジェミニで全日本ラリー選手権Bクラスチャンピオンを獲得。

1993年からはインプレッサでCクラスに参戦開始し、1996年にCクラス初優勝を飾る。1997年キャロッセに移籍し、全日本ラリー選手権Cクラスチャンピオンを獲得。また同年、チームいすゞよりパリダカールラリーにも参戦し、総合32位で完走。

世界挑戦とPCWRC制覇

新井敏弘のインプレッサ(2005年バージョン)
2006年WRCラリージャパン

1997年から[要検証]はWRCに活躍の場を移す。2000年ヨーロッパラリー選手権 (ERC)「ツール・ド・ルクセンブルク」で優勝[3]。ERCで日本人が優勝したのは初めて。WRCにも7戦出場し、FIAチームズカップを手に入れた。

2001年、スバルとワークス契約を交わし10戦に出場。キプロスでは自己最高位の4位入賞。2002年プロダクションカー世界ラリー選手権 (PCWRC) に本格参戦。スバルからはアクロポリスドイツの2戦に出場した。

2003年のPCWRCでは6戦に出場し3勝を挙げる[1]も、ランキング2位に終わる[3]2004年のPCWRCでは最終戦オーストラリアの優勝のみだったが、2年連続でランキング2位となった[3]

2005年11月、オーストラリアにて優勝を飾り、日本人としては初となるPCWRCのチャンピオンを獲得[5]。同時に、国際自動車連盟 (FIA) が公認する世界選手権クラスの自動車競技では、日本人初のワールドチャンピオンということにもなった[1]

2006年は連覇を狙ったPCWRCで総合6位に終わった。ターマックでのスキルアップを狙い、スーパー耐久に「TOSHI ARAI」の名で数戦参戦。また、ラリージャパンにはWRカーのインプレッサWRC2006で参戦した[6]

2007年は2度目のPCWRCの年間総合優勝を果した[3]

2008年は新型インプレッサで引き続きPCWRCに参戦し、開幕戦スウェーデンでは総合6位に入るも、その後はトラブルが続き4戦連続リタイアとなった。ラリージャパンでは総合3位に入賞したが、年間では総合10位に終わった[3]

2009年もPCWRCに参戦[3]アルゼンチンでは総合3位、ラリーGBでは総合2位に入るも年間では総合5位に終わった[3]2010年も引き続きPCWRCに参戦[3]メキシコは総合2位、フランスでは総合3位に入った[3]。この年も年間は前年と同じく総合5位に終わった[3]

2011年 WTCC Race Of Japan
2013年ERCチェコ・ラリー

2011年にはグループR4のWRX STI R4でインターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ (IRC) に参戦[7]。序盤は苦戦を強いられるも、終盤のスコットランド、キプロスとプロダクションカップ優勝を果たし、初年度にも関わらずプロダクションカップのチャンピオンに輝いた。また同年10月には鈴鹿サーキットで行われた世界ツーリングカー選手権 (WTCC) 日本ラウンドにスポット参戦するなど、サーキットレースへの参戦も増加している。

2012年も引き続きIRCに参戦[3]。プロダクションカップ2連覇を狙うもランキング2位に終わった[3]。しかし最終戦キプロスではS2000勢に割って入り総合3位入賞を果たした。2013年はIRCを統合したヨーロッパラリー選手権 (ERC) に参戦[3]

国内復帰

2019年ラリーモントレー

2014年に日本に復帰し、アライモータースポーツよりJRC(全日本ラリー選手権)のJN-1(2018年までJN-6と呼ばれたが、クラス変更及び参戦車種規定変更によりJN-1となる[8])クラスに参戦している。ナビは2014年のみ竹下紀子で、2015年から2022年現在まで田中直哉が務める。

2015年はVAB型WRX STIを投入し、1997年以来18年ぶり、自身2度目のJRC総合チャンピオンに輝いた[9]

また2018・2019年にもVAB型WRX STIにて3・4度目のJRC総合チャンピオンとなった[10][11]

2022年のラリージャパンには国際格式でエントリーするため、シトロエン・C3 ラリー2をマシンに選択。SUBARU以外でのラリー参戦は1992年全日本のいすゞ・ジェミニ以来となる。しかしSS1(鞍ヶ池)のスタート500m地点で、コースを塞ぎ赤旗終了となるクラッシュを喫し、デイリタイアとなった[12]。この時最大16Gもの衝撃を受けたとされ、複数箇所の骨折を負う重症であったが、ナビ共々命に別状はなかった[13]

2023年はSUBARUのワークスチームとして新JP4規定で改造されたWRX S4で参戦するはずだったが、開発中の事故によりSUBARUとしての活動が休止となり、チーム・アライによるプライベーター体制での参戦となった。全日本ラリーでは年間ランキング5位だった。ラリージャパンでは国内格式で参戦し、2日目まで首位に立つが、3日目で電気系トラブルによりデイリタイア、再出走後もメカニカルトラブルによりリタイアした[14]

ラリー戦績

世界ラリー選手権(WRC)

チーム 使用車両 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 順位 ポイント
1997年 スバル・ラリーチーム・ジャパン スバル・インプレッサ555 MON SWE KEN POR ESP FRA ARG GRE NZL FIN IDN ITA AUS
16
GBR NC 0
1998年 スバル・インプレッサWRX MON SWE KEN POR ESP FRA ARG GRE NZL
EX
FIN ITA NC 0
Toshihiro Arai AUS
Ret
GBR
Ret
1999年 スバル・オールスター・ENDLESS SPORTS スバル・インプレッサWRC 98 MON SWE KEN POR
Ret
ESP
21
FRA
16
ARG GRE
9
NC 0
スバル・ラリーチーム・ジャパン スバル・インプレッサWRX NZL
13
FIN
STiクラブ・ラリー・チーム CHN
7
ITA
スバル・ラリーチーム・ジャパン スバル・インプレッサ555 AUS
8
GBR
2000年 スパイク・スバル・チーム スバル・インプレッサWRC 99 MON SWE KEN
6
POR ESP
16
ARG GRE
4
NZL
Ret
FIN CYP
9
FRA ITA GBR
Ret
13位 4
スバル・インプレッサ555 AUS
13
2001年 スバル・ワールドラリー・チーム スバル・インプレッサWRC 01 MON SWE POR
Ret
ESP ARG
8
CYP
4
GRE
Ret
KEN
Ret
FIN NZL
14
ITA
Ret
FRA
Ret
AUS
Ret
GBR
10
18位 3
2002年 Toshihiro Arai スバル・インプレッサ555 MON SWE
25
FRA ESP NC 0
スパイク・スバル・チーム スバル・インプレッサWRX CYP
Ret
ARG
11
KEN
Ret
FIN ITA NZL
Ret
AUS
14
GBR
555スバル・ワールドラリー・チーム スバル・インプレッサWRC 02 GRE
13
GER
Ret
2003年 スバル・プロダクション・ラリーチーム スバル・インプレッサWRX MON SWE
Ret
TUR NZL
11
ARG
9
GRE CYP
9
GER FIN AUS
Ret
ITA FRA
17
ESP GBR NC 0
2004年 スバル・チーム・アライ スバル・インプレッサWRX STi MON SWE
26
MEX
13
NZL
15
CYP GRE TUR ARG
Ret
FIN GER
18
JPN
9
GBR ITA FRA ESP AUS
8
30位 1
2005年 MON SWE
17
MEX NZL
14
ITA CYP
21
TUR
14
GRE ARG FIN GER GBR JPN
12
FRA ESP AUS
9
NC 0
2006年 MON SWE MEX
9
ESP FRA ARG
30
ITA GRE
21
GER FIN CYP
22
TUR AUS
Ret
NZL
30
GBR 25位 3
スバル・ワールドラリー・チーム スバル・インプレッサWRC 06 JPN
6
2007年 スバル・チーム・アライ スバル・インプレッサWRX STi MON SWE
23
NOR MEX
11
POR ARG
10
ITA GRE
15
FIN GER NZL
13
ESP FRA JPN
29
IRL GBR NC 0
2008年 スバル・インプレッサSTi N14 MON SWE
15
MEX ARG
Ret
JOR ITA GRE
Ret
TUR
Ret
FIN GER NZL
Ret
ESP FRA JPN
12
IRL GBR NC 0
2009年 IRL NOR
Ret
CYP
13
POR ARG
12
ITA GRE
10
POL FIN AUS
Ret
ESP GBR
13
NC 0
2010年 スバル・インプレッサSTi N15 SWE MEX
11
JOR TUR NZL
26
POR BUL FIN GER
34
JPN
Ret
FRA
23
ESP GBR
30
NC 0
2022年 Toshi Arai シトロエン・C3 Rally2 MON SWE CRO POR ITA KEN EST FIN BEL GRE NZL ESP JPN
Ret
NC 0

プロダクションカー世界ラリー選手権(PWRC)

チーム 使用車両 1 2 3 4 5 6 7 8 9 順位 ポイント
2002年 Toshihiro Arai スバル・インプレッサ555 SWE
2
FRA 4位 22
スパイク・スバル・チーム スバル・インプレッサWRX CYP
Ret
ARG
2
KEN
Ret
FIN NZL
Ret
AUS
1
2003年 スバル・プロダクション・ラリーチーム SWE
Ret
NZL
1
ARG
1
CYP
1
GER AUS
Ret
FRA
2
2位 38
2004年 スバル・チーム・アライ スバル・インプレッサSTi SWE
6
MEX
2
NZL
5
ARG
Ret
GER
4
FRA AUS
2
2位 30
2005年 SWE
1
NZL
2
CYP
7
TUR
1
ARG GBR JPN
1
AUS
1
1位 50
2006年 MON MEX
1
ARG
8
GRE
5
JPN CYP
6
AUS
Ret
NZL
9
6位 18
2007年 SWE
6
MEX
2
ARG
2
GRE
1
NZL
1
JPN
10
IRL GBR 1位 39
2008年 スバル・インプレッサSTi N14 SWE
6
ARG
Ret
GRE
Ret
TUR
Ret
FIN NZL
Ret
JPN
3
GBR 12位 9
2009年 NOR
Ret
CYP
4
POR ARG
3
ITA GRE
3
AUS
Ret
GBR
2
5位 25
2010年 スバル・インプレッサSTi N15 SWE MEX
2
JOR NZL
4
FIN GER
6
JPN
Ret
FRA
3
GBR
9
5位 55

インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ(IRC)

チーム 使用車両 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 順位 ポイント
2010年 スバル・チーム・アライ スバル・インプレッサ N15 MON BRA ARG CAN ITA BEL
Ret
AZO MAD CZE SAN SCO CYP NC 0
2011年 スバル・インプレッサSTi R4 MON CAN COR
13
UKR BEL AZO
Ret
CZE MEC
18
SAN SCO
9
CYP
7
17位 15
2012年 AZO CAN IRL COR
14
ITA BEL SMR
Ret
ROM CZE
11
UKR SLI SAN CYP
3
15位 30

IRC・プロダクションカップ

チーム 使用車両 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 順位 ポイント
2011年 スバル・チーム・アライ スバル・インプレッサSTi R4 MON CAN COR
2
UKR BEL AZO
Ret
CZE MEC
7
SAN SCO
1
CYP
1
1位 111.5
2012年 AZO CAN IRL COR
2
ITA BEL SMR
Ret
ROM CZE
2
UKR SLI SAN CYP
1
2位 86

ヨーロッパ・ラリー選手権

チーム 使用車両 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 順位 ポイント
2013年 スバル・チーム・アライ スバル・インプレッサSTi R4 JÄN LIE CAN AZO COR YPR ROM
3
CZE
Ret
POL
13
CRO SAN
19
VAL 21位 23

レース戦績

スーパー耐久

チーム コ.ドライバー 使用車両 クラス 1 2 3 4 5 6 7 順位 ポイント
2006年 ENDLESS SPORTS 木下みつひろ
峰尾恭輔
スバル・インプレッサ 2 SEN SUZ
Ret
TOK
7
FSW
4
OKA SUG
6
TRM 6位 42
2011年 BOMEX w/TEAM ARAI 山下潤一郎
朝倉宏志
2 SUG
5
FSW
4
OKA SUZ SSW
1
SSW
2
TRM
5
5位 40

世界ツーリングカー選手権(WTCC)

チーム 使用車両 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 順位 ポイント
2011年 シボレー シボレー・クルーズ1.6T BRA
1
BRA
2
BEL
1
BEL
2
ITA
1
ITA
2
HUN
1
HUN
2
CZE
1
CZE
2
POR
1
POR
2
GBR
1
GBR
2
GER
1
GER
2
ESP
1
ESP
2
SUZ
1

13
SUZ
2

15
CHN
1
CHN
2
MAC
1
MAC
2
NC 0

出演

脚注

  1. ^ a b c d e 古賀, 啓介「PCWRCチャンピオン獲得記念インタビュー 日本人初のFIA四輪世界タイトル」『WRC Plus Yearbook 2005』、ニューズ出版、2005年、100-103頁。 
  2. ^ a b c d e f 「100の質問 第3回 新井敏弘」『WRC Plus』第17巻第36号、ニューズ出版、2006年10月、52-53頁。 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r プロフィール”. 2021年4月18日閲覧。
  4. ^ 『カーセンサー 2023年1月号』P36-37
  5. ^ 廣本, 泉「PCWRC 2005 REVIEW」『WRC Plus Yearbook 2005』、ニューズ出版、2005年、90-91頁。 
  6. ^ 古賀, 啓介「新井敏弘×SUBARU 2006ラリージャパン密着ドキュメント」『Rally & Classics』第3巻、三栄書房、2011年、66-71頁、ISBN 978-4-7796-1140-7 
  7. ^ 廣本, 泉「トシ新井が教えるR4の秘密」『WRC Plus』、三栄書房、2011年6月、88-91頁。 
  8. ^ 2019年のクラス区分はどう変わった?”. 2019年5月2日閲覧。
  9. ^ “JRC第7戦:新井敏弘が18年ぶりチャンピオン獲得”. AUTOSPORT.web. (2015年9月24日). https://www.as-web.jp/past/jrc第7戦:新井敏弘が18年ぶりチャンピオン獲得 2021年4月18日閲覧。 
  10. ^ 2018年全日本ラリー選手権第9戦 – スバルWRX STIの新井敏弘が優勝、JN6クラスチャンピオンに”. JRCA. 2019年5月2日閲覧。
  11. ^ ラリー&イベントレポート2019”. 新井敏弘オフィシャルサイト. 2021年11月22日閲覧。
  12. ^ ラリージャパン初日に大クラッシュの新井敏弘。30年ぶりの非スバル車&高性能のラリー2カーにテスト時から手を焼いていた?
  13. ^ 新井敏弘、WRCラリージャパンSS1で大クラッシュもコ・ドライバー共に無事。最大16Gを記録
  14. ^ WRCラリージャパン、新井敏弘は一時クラス首位に立つも最終日にリタイア SUBARU公式サイト 2023年12月2日閲覧

関連項目

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「新井敏弘」の関連用語

新井敏弘のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



新井敏弘のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
三栄書房三栄書房
Copyright c San-eishobo Publishing Co.,Ltd.All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの新井敏弘 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS