握手会の再開
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 05:24 UTC 版)
「AKB48握手会傷害事件」の記事における「握手会の再開」の解説
AKB48の握手会を主催するキングレコードは、事件発生以降、6月に予定されていた握手会や写真会をすべて延期とし、事件の再発防止のため、警備会社であるJSSの監修のもとで握手会会場における厳重な警備体制について検証を重ねた。そして、安全に開催する準備が整ったため、握手会の再開が決まった。6月30日、同社のホームページ上で握手会の再開が発表された。事件後初の握手会は、7月5日に東京ビッグサイトで開催されたシングル「前しか向かねえ」の個別握手会であった。 握手会の開催に先立ち、AKB48グループカスタマーセンター長の戸賀崎智信は、AKB48グループのすべてのメンバーおよび握手会関係者に対し、今後の握手会における変更点を説明し、今後どのようにすべきか話し合った。話し合いの結果、事件の影響で未だ悩んでいるメンバーがいることが明確になった。そうしたメンバーのことを考慮し、7月5日の握手会について、これに参加するかどうかをメンバー個人個人に一任する「選択制」をとることにした。この「選択制」について、ファンからは賛否両論が寄せられた。 7月5日、事件から41日が経ち握手会が再開された。この日の握手会は選択制の結果、AKB48グループのメンバー250人が参加した。事件で負傷した川栄と入山をはじめとするメンバー10人については事前に欠席することが発表されていたが、AKB48の運営側によると、精神上の理由で欠席を申し出たメンバーはいなかったという。会場への入場は当初の予定より30分早い午前8時からとなり、握手会は午前9時から開催された。 入場が早められた理由は、ファンに対して行う検査に時間が掛かることを想定したためである。入場者に対しては手荷物検査が行われた。まず、持ち込み可能な荷物はひとつで、その大きさについても縦、横、高さの合計が90cm以内のものと条件がつけられた。そして、かばんの中にある袋類も確認がなされ、傘についても開閉によるチェックが行われたほか、飲み物についても警備員の前での試飲による検査がされた。また、握手会には50台の金属探知機が導入され、これによるボディチェックも行われた。金属探知機による検査はファンだけでなくスタッフや報道陣にも及んだ。握手会に関わるスタッフも増員された。警備スタッフは従来50人であったが、この握手会ではその7倍となる350人となり、会場整理スタッフは700人が動員された。警視庁の腕章を巻いた私服警官も警備に加わった。 実際にファンとメンバーが握手を行うレーンにも変更が及び、握手も厳重な警備と安全対策のもとで行われた。従来の握手会では各レーンがカーテンでおおわれていたのに対し、レーン間の仕切りがパーティションのみとなり、見通しの良い状態に変更された。各レーンに待機するメンバー1人に対し、従来の2倍となる4人のスタッフが配置された。レーンのスタッフのうち1人はメンバーを警備する警備員であり、ほかの3人は手荷物の管理、参加券の確認、握手時間の管理をそれぞれ担当した。メンバーの後ろにはおよそ8mの退避スペースが設けられ、このスペースも警備員が巡回した。握手にあたり、ファンは手荷物をすべて預け、スタッフに手のひらの確認を受けた。この際、結婚指輪以外の指輪を外すよう求められた。ファンとメンバーの間には、従来は長机が配置されているのみであったが、高さ1m10cmのプラスチック製の柵が設けられ、握手はこの柵越しに行われた。握手をする時のファンの行動にも制限が加えられた。身を乗り出しての握手は禁止され、両手での握手も原則として禁じられた。メンバー側の行動にも一部影響が出ており、SKE48の古畑奈和が行っていたファンを迎えるときに飛び跳ねる「古畑ジャンプ」とよばれるパフォーマンスは、レーンの構造上の理由で不可能になった。握手を終えたファンが通るルートも変更になり、従来はレーンをそのまま通過することになっていたのに対し、通過せずにUターンをして戻るという形になった。 厳戒態勢で行われた握手会であったが、会場においては物々しさを解消しようとする工夫がみられていた。メンバーとファンの間に設けられた柵は、グループのロゴが入った薄緑色の幕で隠された。この幕は、握手会直前の2日間で関係者が用意したものであり、参加したメンバー全員分が揃えられた。レーンの間のパーティションには、オフショットを含むメンバーの写真が貼られた。 この握手会における警備費について、イベント関係者は「これほどの規模なら1000万円以上掛かってるのでは」と語っている。経済学者の田中秀臣は、警備体制について「従来の売り出し方と安全面を判断し、警備態勢についてはかなり高いハードルを設定したといえるのでは」と分析し、「そこまでして再開したのは、握手会がAKB人気の核心であり、そこが崩れるとファンが大きく減ってしまうから」「中核メンバーが卒業していく中、一番の特色を失いたくなかったのだろう」とコメントしている。また、この握手会でなされた柵の設置などの安全対策は、AKB48の公式ライバルグループである乃木坂46が事件後初めて行った握手会でのそれと同様のものになっており、この握手会の開催前にはAKB48と乃木坂46による意見交換が行われていた。 個別握手会に続いて、事件が発生した全国握手会も再開された。全国握手会は、AKB48のものより先に姉妹グループのNMB48のものが開催されることとなった。個別握手会が再開された翌日の7月6日、NMB48は大阪府大阪市のインテックス大阪でシングル「高嶺の林檎」の全国握手会を行った。この握手会でも、金属探知機による検査や柵越しでの握手が行われ、従来の7倍の警備員が動員されるといった厳戒態勢が敷かれた。握手会の前に行われていたミニライブは、事件の再発防止対策に万全を期するため中止となった。この1週間後となる7月13日、AKB48の全国握手会が再開された。AKB48にとって事件後初となる全国握手会は、事件が発生した握手会と同じくシングル「ハート・エレキ」および「前しか向かねえ」のリリースに伴うものであり、北海道札幌市の真駒内セキスイハイムアイスアリーナで開催された。この握手会でもステージでのイベントは行われない予定であったが、メンバー側からライブを開催したいという希望があり、それを受けてミニライブが開催された。
※この「握手会の再開」の解説は、「AKB48握手会傷害事件」の解説の一部です。
「握手会の再開」を含む「AKB48握手会傷害事件」の記事については、「AKB48握手会傷害事件」の概要を参照ください。
- 握手会の再開のページへのリンク