警備体制
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成田空港においては1978年の開港から2015年3月に至るまで、日本の空港としては唯一、世界の首都空港としても稀な「検問制度」があった。従業員や外国人を含む空港施設への入場者全員に「セキュリティチェック」と称して、検問所での身分証明書の提示が課せられていた。また、専門の警察機動隊である「千葉県警察成田国際空港警備隊」(千葉県警察の部内呼称は「空警隊」)が検問所とターミナル内に常駐、巡回しており、世界的に見ても異例の厳重警備が敷かれた。その後、各国のテロ事件 の発生により、おもな目的は不特定多数が集まるターミナル施設でのテロリズム警戒に変化している。 入場に際しては、NAAの警備員がパスポートなど身分証明書を確認、旅客の場合は航空券の提示を求められる場合もあった。空港内店舗の従業員については社員証が必要(関係者専用の検問レーンがある)。近隣住民が通勤、通学などで駅を常時利用する場合、NAAから「入場証」が発行されていた。情勢によっては抜き打ちでカバンなど手荷物を開梱して、荷物検査をされる場合があった。 なお過去には、反対派による集会が空港周辺で行われることが予想される場合、従業員と旅客以外(送迎・空港見学・店舗利用など)の空港施設への立ち入りが原則として禁止されていた。その場合は、対象者以外は検問所で引き返す形式だった(旅客が外国人であったり、介添えを要するなど特段の事情があったりする場合の送迎入場は許可された)。日程が判明し次第、検問所への黄色い立て看板の設置と公式ウェブサイトの「トップページ」上、新聞の「政府広報」広告、首都圏のJRおよび京成電鉄の各駅券売所で告知がなされた。 2000年代以降は、反対派勢力が少数派となっているため年数回に留まっていたが、反対派敷地をNAAへ明け渡しを求める絡みの裁判(審議・判決)が行われた直後に行われる傾向があった。2010年(平成22年)を最後に入場規制は行われていない(実際には、その後の2015年(平成27年)3月30日正午まで入場規制が行われず、2015年(平成27年)3月30日正午をもって身分証の確認による入場規制が廃止となり、顔認証機能を持つカメラなどを配備した新しい警備システムの運用が始まった)。 検問所は、鉄道駅(成田空港駅、空港第2ビル駅、東成田駅)の出口改札(駅を出た時点で空港敷地内にいることになるため)と、空港施設に入るすべての道路上(新空港インターチェンジ出口に隣接する「第1ゲート」、国道295号沿いの「第2ゲート」、千葉県道106号八日市場佐倉線千代田交差点の「第6(南)ゲート」ほか)に設置されていた。路線バスやリムジンバスと一部のホテル送迎バス・スカイライナーなどでは車内放送で空港到着前に「身分証の提示をお願いします」あるいは「空港での検問があります」とアナウンスされていた。 鉄道駅では、旅客機搭乗時の保安検査場と同様のレーン(列)式のものであり、荷物検査が伴わなければ、身分証明書提示のみの短時間で完了した。空港従業員と、それ以外の一般にレーンが区別されていた。自動車では、空港の制限区域入口の道路上に、有料道路の料金所と同等の施設があった。すべての車(マイカー・タクシー・ホテルや私設駐車場の送迎車・リムジンバスを含む路線バス・貸切バス・貨物トラックなどの事業用車)が、一時停車しなければならなかった。運転者は警備員に運転免許証やパスポート・職員証などを提示し、ほかに同行者や乗客がいる場合は、一人ずつ警備員が身分証明書を目視で確認した。 バスの場合は、警備員が車内に乗り込んで確認。自家用車やタクシー、トラックの場合は、一台ずつ鏡で車体の底面を検査されたり、トランクや荷室を開けるよう要求されたりする場合があった。このため、敷地への乗り入れが多く混雑している際や、バスでの全員の確認には3 - 10分程度の停車時間を要した。 また、芝山鉄道の芝山鉄道線では、常に空港警備隊所属の制服警察官複数人が往復乗車し、鉄道車両内の警戒にあたっている(当該項目参照)。警備情勢によっては、京成成田空港線のアクセス特急などの空港連絡鉄道にも、千葉県警察の制服警察官が空港駅と途中駅の間を往復乗車し、同様の警戒にあたることがあった。
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