指定訪問看護の事業の運営に関する基準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/16 06:35 UTC 版)
「訪問看護療養費」の記事における「指定訪問看護の事業の運営に関する基準」の解説
指定訪問看護の事業の運営に関する基準は、厚生労働大臣が定める、とされ(第92条2項)、現在、「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」(平成12年厚生省令第80号)が告示されている。厚生労働大臣は、この基準(指定訪問看護の取扱いに関する部分に限る。)を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする(第92条3項)。指定訪問看護の事業は、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、その療養生活を支援し、心身の機能の維持回復を目指すものでなければならない(基準第1条)。 この基準は、指定訪問看護の事業がその目的を達成するために必要な最低限度の基準を定めたものであり、指定訪問看護事業者は、常にその事業の運営の向上に努めなければならない。基準を満たさない場合には、指定訪問看護事業者の指定は受けられず、また、運営開始後、基準を下回るに至った場合、地方厚生(支)局の指導等の対象となり、この指導等に従わない場合には、当該指定を取り消すことができる(平成12年3月31日保発70号、老発397号)。 事業所ごとに置くべき人員配置 指定訪問看護ステーションの職員には、それぞれの職務を遂行する熱意と能力を有するものを充てることが、利用者の療養生活の質の向上を図る観点から極めて重要である(平成12年3月31日保発70号、老発397号)。 保健師、助産師、看護師又は准看護師 - 指定訪問看護ステーションの看護職員の勤務延時間数を当該指定訪問看護ステーションにおいて常勤の看護職員が勤務すべき時間数で除して得た数が2.5以上となる員数。うち一名は、常勤でなければならない(基準第2条1項1号)。 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士 - 指定訪問看護ステーションの実情に応じた適当数(基準第2条1項2号)。 管理者 - 指定訪問看護ステーションごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。管理者は、保健師、助産師又は看護師でなければならない。管理者は、適切な指定訪問看護を行うために必要な知識及び技能を有する者でなければならない(基準第3条)。管理者は、医療機関における看護、訪問看護又は保健指導の業務に従事した経験のある者であること。さらに、管理者としての資質を確保するために関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましい(平成28年3月4日保発0304第14号・老発0304第1号)。やむを得ない理由がある場合により保健師、助産師又は看護師以外の者を管理者とする場合(基準第3条2項但書)には、本来の管理者の長期間の傷病又は出張等のやむを得ない理由があり、かつ、指定訪問看護ステーションの管理をする者が、利用者の療養生活の質の向上に関し相当の知識、経験及び熱意を有し、過去の経歴等を勘案して指定訪問看護ステーションの管理者としてふさわしいと認められる者であるものとして地方厚生(支)局長の承認を受けた場合に限られるものであること。ただし、この場合においても、可能な限り速やかに常勤の保健師、助産師又は看護師の管理者が確保されるように努めなければならない(平成12年3月31日保発70号、老発397号)。 運営 指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供の開始に際し、あらかじめ、当該指定訪問看護を受けるために申込みを行う者又はその家族に対し、運営規程の概要、看護師等の勤務の体制その他の利用申込者の指定訪問看護の選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について利用申込者の同意を得なければならない(基準第5条)。当該同意については、利用者及び指定訪問看護事業者双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましい(平成12年3月31日保発70号、老発397号)。 指定訪問看護事業者は、正当な理由なく指定訪問看護の提供を拒んではならない(基準第6条)。特に、必要とする療養上の世話の程度が重いことをもって利用を拒否することを禁止するものである(平成12年3月31日保発70号、老発397号)。指定訪問看護事業者は、利用申込者の病状、当該指定訪問看護ステーションの通常の事業の実施地域等を勘案し、自ら適切な指定訪問看護を提供することが困難であると認めた場合は、主治の医師への連絡を行い、適当な他の指定訪問看護事業者等を紹介する等の必要な措置を速やかに講じなければならない(基準第7条)。 指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供を求められた場合は、その者の提示する被保険者証によって、指定訪問看護を受ける資格があることを確かめなければならない(基準第8条)。 指定訪問看護事業者は、看護師等に身分を証する書類を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならない(基準第11条)。この証書等には、当該指定訪問看護ステーションの名称、当該看護師等の氏名を記載するものとし、当該看護師等の写真の貼付や職能の記載を行うことが望ましい(平成12年3月31日保発70号、老発397号)。 指定訪問看護は、利用者の心身の特性を踏まえて、利用者の療養上妥当適切に行い、日常生活の充実に資するようにするとともに、漫然かつ画一的なものとならないよう、療養上の目標を設定し、計画的に行われなければならない(基準第14条)。指定訪問看護の提供に当たっては、医学の進歩に対応した適切な看護の技術をもって行うことができるよう、新しい技術の習得等、研鑽を積むことを定めたものであり、医学の立場を堅持し、広く一般に認められていない看護等については行ってはならない(平成12年3月31日保発70号、老発397号)。 管理者は、主治の医師の指示に基づき適切な指定訪問看護が行われるよう必要な管理をしなければならない。指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供の開始に際し、主治の医師による指示を文書で受けなければならない。指定訪問看護事業者は、利用者の病状及び心身の状態について、定期に主治の医師に指定訪問看護の提供の継続の要否を相談しなければならない。指定訪問看護事業者は、主治の医師に訪問看護計画書及び訪問看護報告書を提出し、指定訪問看護の提供に当たって主治の医師との密接な連携を図らなければならない。(基準第16条)。ここでいう「主治の医師」とは、利用申込者の選定により加療している保険医療機関の保険医をいい、主治医以外の複数の医師から指示書の交付を受けることはできない。訪問看護の実施に当たっては、特に保険医療機関内の場合と異なり、看護師が単独で行うことに十分留意するとともに慎重な状況判断等が要求されることを踏まえ、主治医との密接かつ適切な連携を図ること(平成12年3月31日保発70号、老発397号)。 指定訪問看護事業者は、指定訪問看護ステーションごとに、次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する規程(運営規程)を定めておかなければならない(基準第21条)。事業の目的及び運営の方針 従業者の職種、員数及び職務の内容 営業日及び営業時間 指定訪問看護の内容及び利用料その他の費用の額 通常の事業の実施地域 緊急時等における対応方法 その他運営に関する重要事項 指定訪問看護事業者は、指定訪問看護ステーションの見やすい場所に、運営規程の概要、看護師等の勤務の体制その他の利用申込者の指定訪問看護の選択に資すると認められる重要事項を掲示しなければならない(基準第24条)。
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