弾圧事件と晩年とは? わかりやすく解説

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弾圧事件と晩年

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 08:39 UTC 版)

嶋田青峰」の記事における「弾圧事件と晩年」の解説

1940年昭和15年)は紀元二千六百年記念の年であった。その陰で日中戦争意義を問うた衆議院議員斎藤隆夫除名処分遭ったり、古代史研究権威津田左右吉東京帝国大学講師就任右翼団体圧力取りやめになるなど各界穏やかなら動きがあった。その動き俳句界にも忍び寄り2月15日(『特高月報上で2月14日)に京都府警察部『京大俳句』幹部8人を一斉に逮捕した。これが、新興俳句弾圧事件第一次逮捕である「京大俳句事件」である。 当時この事件新聞報道されず、俳句雑誌にも掲載されなかったため、情報正確に伝わらず、俳句界を噂話駆け巡った関西での事件であったが、東京にも波及するではないかという不安や、東京大丈夫だろうという楽観視在京俳人の間で広がったこの頃青峰は『土上』にて「東亜新秩序建設新体制即応する俳句報国」という当世時流乗った文章発表し伊東月草が「日本俳句作家協会」の結成呼び掛けると、『俳句研究誌上賛同の意を表明したそうした立場転換ともいえる行動出た背景には、身に迫る危険を感じ早稲田大学講師国文学者として立場地位守りたい、という気持ちあったからだとされる。しかし時すでに遅く1941年昭和16年2月5日第四次検挙により、弟子東京三古家夫を含む12とともに逮捕された。「『土上』に進歩的思想あり」とされ、治安維持法検挙されのである警視庁特別高等警察早稲田警察署牛込警察署前身)の刑事3人が逮捕のため牛込区若松町現在の新宿区若松町)の自宅にやってきた時、青峰風邪寝込んでいた。病気かつ老いた身の青峰刑事容赦なく連行し、それが病をこじらせることとなった留置場生活から約半月肺結核再発午前四時喀血するも何らの手当はなく、昼過ぎになってようやく東京女子医学専門学校現在の東京女子医科大学)から医師呼ばれ、「相当の重患」と診断を受け、夕方寝台車帰宅許された。この時、這うことさえできないほどの体となっていた。 この検挙事件虚子門弟らは「秋桜子警告無視し新興俳句派の若造たちにおだてあげられいい気になっていた天罰だ」と囁いたという。そして主宰者青峰主要作家検挙により、『土上』は廃刊追い込まれた。 青峰逮捕背後には、息子洋一編集担当し当時150部を発行する日本最大雑誌『家の光』俳句選者の座を小野蕪子青峰から奪うために暗躍した、という見解がある。洋一は父の逮捕後、秋桜子富安風生選者要請する断られ風生推薦した子が選者となった釈放後、自宅での療養に入るも、戦時中十分な医薬品栄養燃料得られかったばかりでなく、門下生からは連座恐れて絶縁申し入れられ、見舞いの客もほとんどないという不遇の生活が続いた結局病状好転することなく釈放から3年経過した1944年昭和19年5月31日62歳で亡くなった亡くなるまで一度も立つことができなかった。「青峰忌」は夏の季語となった青峰死去の報を受け、弟子東京三秋元不死男)は葬儀馳せ参じたが、その席に俳句関係者はほとんどなく、近所の住民除けば加藤武雄本間久雄日高只一らが焼香した程度弔問者も少なく葬儀閑散としていた。 師であった虚子葬儀参列しなかったが、お悔やみ状と香典送った遺族の中からは、『ホトトギス同人から青峰の名が削除されたことを根に持ち受け取り拒否すべきだという意見もあったという。

※この「弾圧事件と晩年」の解説は、「嶋田青峰」の解説の一部です。
「弾圧事件と晩年」を含む「嶋田青峰」の記事については、「嶋田青峰」の概要を参照ください。

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