平成の大改編 (17中期防、23中期防)
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「護衛艦隊」の記事における「平成の大改編 (17中期防、23中期防)」の解説
DDG「あたご」 DDH「いずも」 DD「あきづき」 「中期防衛力整備計画 (2005)」および「中期防衛力整備計画 (2011)」も参照 2004年(平成16年)12月10日に閣議決定された「平成17年度以降に係る防衛計画の大綱」(16大綱)で、2007年度末までに部隊削減を含む護衛艦隊の大規模な改編を行うことになった。この大綱では新たにフォースユーザー(事態対処責任者)とフォースプロバイダー(錬度管理責任者)の概念が導入され、護衛艦の定数が50隻から47隻に削減され、地域配備の護衛隊も6個隊から5個隊に削減された。また、護衛隊群隷下の護衛隊も再編されることとなり、従来の直轄艦と3個護衛隊からなる編成から、ヘリコプター護衛艦1隻とミサイル護衛艦1隻と汎用護衛艦2隻からなるDDH中心の1個護衛隊(DDHグループ)と、ミサイル護衛艦1隻と汎用護衛艦3隻からなるDDG中心の1個護衛隊(DDGグループ)の2個護衛隊により1個護衛隊群を編成するように再編されることとなった。 これに基づき2008年(平成20年)3月26日に部隊再編が行われ、前述のとおり12個護衛隊から8個護衛隊(DDHグループ4個とDDGグループ4個)に再編され、地方隊隷下の6個護衛隊はすべて護衛艦隊隷下に直轄の護衛隊として編入された。さらに、第1海上訓練支援隊が新編された。 この改編により、護衛艦隊司令官が全護衛艦の練成などを担当するフォースプロバイダー(練度管理責任者、部隊兵力提供者)となり、艦艇の運用はフォースユーザー(事態対処責任者、部隊運用者)である自衛艦隊司令官および各地方総監が行う。これに伴い、改編前は各護衛隊の所属艦の定係港は一つにまとめられていたが、改編後は所属艦の定係港は各地に分散された(2桁番号の護衛隊は除く)。また、同年4月1日には護衛艦隊司令部は海上部隊ではなくなった。 なお、その後の部隊改編により、現在各護衛隊の所属艦の定係港は護衛隊司令部所在地にまとめられている。なお、第3護衛隊群は大湊に大型艦艇を配備できないため、他群のようにDDHグループとDDGグループに別れていない。 改編後には、広大な全通甲板を持つヘリコプター護衛艦のひゅうが型(16DDH)や、ミサイル護衛艦としては初めて航空機運用能力を付与したあたご型(14DDG)の就役により、1個護衛隊群当たりのヘリコプターの運用機数は8機から増えることになった。汎用護衛艦としては、2012年から2014年にかけてあきづき型4隻が就役し、各護衛隊群に1隻ずつ配備された。あきづき型は僚艦防空が可能な対空戦闘システムを有しているが、これはイージス艦が弾道ミサイル防衛に専念する際の補完を想定したものである。 また、2006年(平成18年)4月には、自衛隊海外派遣任務の増加に伴い、補給艦の機動的運用の必要性が高まったことを受けて補給艦5隻による第1海上補給隊(横須賀)が編成された。また、それまで自衛艦隊直轄であった第1輸送隊が護衛艦隊直轄に編成替えされた。 中期防は5年ごとに改定されることとなっていたが、自民党から民主党への政権交代の影響のため、22中期防は設定されず、2010年度は単年度予算となった。この2010年予算で、いずも型DDHの建造が認められた。民主党政権下の23中期防においても2012年度予算で同型艦1隻の建造が承認された。これら2隻が完成するとDDHは全て全通甲板型となり、ヘリコプター運用能力が大幅に向上する。汎用護衛艦は2013年度、2014年度予算であさひ型(25DD)2隻の建造が認められている。25DDは対潜能力を重視した設計となる予定である。なお、2010年(平成22年)12月17日に閣議決定された「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱(22大綱)」に基づいて、2桁番号の護衛隊は6個護衛隊から5個護衛隊に再編され、また護衛艦の定数は47隻から48隻に増加されることとなったが、自民党が政権に復帰すると新たに「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱(25大綱)」が成立し、22大綱に基づく改編は実施されなかった。 2016年(平成28年)7月1日、掃海隊群が水陸両用作戦の支援任務を担当することとなり、第1輸送隊が掃海隊群隷下に編成替え。 2020年(令和2年)10月1日、護衛艦隊司令部が船越地区に完成した自衛艦隊司令部の新庁舎「海上作戦センター」に移転。海上訓練指導隊群隷下の誘導武器教育訓練隊を廃止し、「水上戦術開発指導隊」を新編。 編成(2021年(令和3年)4月7日) 機動運用部隊第1護衛隊群(司令部:横須賀)第1護衛隊(横須賀)DDH-183 いずも, DDG-179 まや, DD-101 むらさめ, DD-107 いかづち 第5護衛隊(佐世保)DDG-173 こんごう, DD-108 あけぼの, DD-109 ありあけ, DD-115 あきづき 第2護衛隊群(司令部:佐世保)第2護衛隊(佐世保)DDH-182 いせ, DDG-178 あしがら, DD-102 はるさめ, DD-119あさひ 第6護衛隊(横須賀)DDG-174 きりしま, DD-110 たかなみ, DD-111 おおなみ, DD-116 てるづき 第3護衛隊群(司令部:舞鶴)第3護衛隊(舞鶴)DDH-181 ひゅうが, DDG-175 みょうこう, DDG-177 あたご, DD-118 ふゆづき 第7護衛隊(大湊)DD-103 ゆうだち, DD-112 まきなみ, DD-114 すずなみ, DD-120 しらぬい 第4護衛隊群(司令部:呉)第4護衛隊(呉)DDH-184 かが, DD-105 いなづま, DD-106 さみだれ, DD-113 さざなみ 第8護衛隊(佐世保)DDG-176 ちょうかい, DDG-180 はぐろ, DD-104 きりさめ, DD-117 すずつき 地域配備部隊第11護衛隊(横須賀)DD-152 やまぎり, DD-153 ゆうぎり, DD-154 あまぎり 第12護衛隊(呉)DD-158 うみぎり, DE-229 あぶくま, DE-234 とね 第13護衛隊(佐世保)DD-157 さわぎり, DE-230 じんつう 第14護衛隊(舞鶴)DD-151 あさぎり, DD-156 せとぎり, DE-232 せんだい 第15護衛隊(大湊)DD-155 はまぎり, DE-231 おおよど, DE-233 ちくま 護衛艦隊直轄部隊海上訓練指導隊群(司令部:横須賀)横須賀・呉・佐世保・舞鶴・大湊各海上訓練指導隊、水上戦術開発指導隊 第1海上補給隊(隊:横須賀)AOE-422 とわだ(呉), AOE-423 ときわ(横須賀), AOE-424 はまな(佐世保), AOE-425 ましゅう(舞鶴), AOE-426 おうみ(佐世保) 第1海上訓練支援隊(呉)ATS-4202 くろべ, ATS-4203 てんりゅう
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