常識学派の受容とは? わかりやすく解説

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常識学派の受容

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/03 14:25 UTC 版)

スコットランド常識学派」の記事における「常識学派の受容」の解説

その後アダム・スミス後任としてグラスゴー大学転任したリードはそこを常識学派第二拠点とし、『人間知的能力について』(1785)と『人間精神能動的能力について』(1788)という著作相次いで発表した。これらの著作においてリード近代哲学懐疑主義傾向とりわけバークリーヒューム認識論を「哲学破壊し真理可能性そのものを奪うこと」であると批判したリードは、デカルトに始まる近代哲学懐疑的傾向持った原因を、彼らが「観念」を媒介にすることでしか「知識」を獲得できない主張した点に見出した。そして彼は認識源泉観念ではなく精神の「能力」とその「作用」として、それ以上分析することができない自明の「コモン・センス常識)の原理」を根拠とする認識論構築し精神解剖学樹立することを目指した。 リードの提唱した「常識原理」から出発し、それを主に宗教領域適用したのがジェームズ・オズワルドであり、美学領域適用したのがジェームズ・ビーティーである。オズワルドビーティー活動により、「常識学派」の知名度名声は高まるものの、リード本来の「疑い得ないコモン・センス立脚した認識論構築」という意図から外れ、「懐疑論」への批判と「宗教および既存道徳」の擁護という側面強調され一般的に受容されることとなったともあれオズワルドビーティーによる「常識学派拡大」は、この時期スコットランド思想界を特徴付ける重要な継起となる。 『宗教擁護のための常識への訴え』(1766-72)の著者であるジェームズ・オズワルドは、リードビーティーとは異なりスコットランド教会有力な聖職者であった。彼は議論推論による「神の存在証明」を求め当時支配的な立場だった「穏健派宗教に対して疑問呈し神の存在は「コモン・センスよばれる人間に独自な知覚判断能力」によって直感的に把握できる主張した。 『真理性質不変性――詭弁懐疑論への反駁』(1770)の著者であり、アバディーン協会会員でもあったジェームズ・ビーティーは、リード主張基本的に同調しながらも、「現代人思弁的形而上学ほど唾棄すべきものはない」と述べ近代哲学伝統的形而上学批難した。彼は「コモン・センス」を「漸進的な論証によってではなく瞬発的で直感的な衝動によって、教育習慣ではなく自然に由来する衝動によって、真理知覚し信念呼び起こす精神能力」と定義した彼によればこの能力は我々の意志無関係に全ての人に「共通(コモン)」の「感覚センス)」である。 一般的にリードオズワルドビーティー三人以ってスコットランド常識学派代表者とされることが多いのは、哲学者科学者として著名であったイングランドジョゼフ・プリーストリーによって、彼ら三人への反論、『リード博士の『研究』、ビーティー博士の『論文』、およびオズワルド博士の『訴え』の検討』(1774)が、常識哲学への反論として広く受け入れられたことが大きいだろう唯物論者でもあったプリーストリーは、ヒューム懐疑論対抗したいという思い常識学派と共にしていたものの、存在仮定された「第六感覚(すなわち常識)」にその基盤を置くことを容認できなかったのであるプリーストリー批判書ドイツ語フランス語にも翻訳されカントもそれを読んだとされている。

※この「常識学派の受容」の解説は、「スコットランド常識学派」の解説の一部です。
「常識学派の受容」を含む「スコットランド常識学派」の記事については、「スコットランド常識学派」の概要を参照ください。

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