大砲パークへの攻撃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 15:37 UTC 版)
「アポマトックス駅の戦い」の記事における「大砲パークへの攻撃」の解説
リンチバーグ駅馬車道は鉄道駅の北約2マイル (3.2 km) にあり、アポマトックス・コートハウスとリンチバーグを繋ぐ主要道なので、リー軍には都合が良かった。アポマトックス駅の近く、リンチバーグ道路沿いに、南軍は病院車、大集団の荷車、および約100両の大砲を駐機していた。大半は武装した砲兵である小さな歩兵部隊と、マーティン・ゲイリー准将の指揮する500名の騎兵分遣隊がこの荷車パークを護衛していた。 午後4時ごろ、アポマトックス駅が攻撃されている音が、ウォーカーに北軍騎兵隊の接近してくる警鐘となり、マーティン・ゲイリーの下馬した騎兵をその側面に、武装した砲兵を狙撃兵としてその正面に配置し、駅に向かった高台の上に約2ダースの大砲を円弧上に並べた。南軍の大砲がある場所は、北軍騎兵隊が活動しなければならない地域であり、荷車道路が中を通り、木や下藪に覆われていた。砲兵にとっても騎兵にとっても、特に暗くなってからは、戦うに向いていない場所だった。南軍の砲兵隊は守るために焦って自隊に砲弾を撃ち込んで、数人を殺しあるいは傷つけてから誤りに気付いた。北軍が南軍の位置から射程範囲に入ってくると、間に合わせの散兵が発砲した。それでも北軍兵は前進して、約400名の兵士によるあまり統率の取れていない攻撃を南軍砲兵陣地に対して行い、撃退された。 カスター配下でペニントン大佐の第1旅団全軍が、大集団の散兵の背後を進み、その前衛連隊がやはり統率の取れていない攻撃を始めた。この部隊も南軍散兵と砲兵によって追い返された。カスターはこの失敗にもめげずに、南軍砲兵隊を捕まえ、リンチバーグ道路の陣地を確保する決心をした。ヘンリー・ケイプハートの第3旅団がペニントン隊に続いて戦場に進んだ後、カスターは自隊全軍を南軍の陣地に向けて送った。南軍砲兵隊の使ったキャニスター弾によって、50名近い北軍兵が倒された。ウィリアム・ウェルズ大佐(名誉准将)の第2旅団が到着したとき、カスターは、暗闇が訪れていて、深い森が南軍陣地を遮蔽していても攻撃を継続した。ウェルズの旅団を加えても、北軍の攻撃は失敗した。歴史家のウィリアム・マーベルは、ウォーカー隊が強力に長時間陣地を保持したのは、ウォーカー隊が弾薬を多く保持していたことに加え、ゲイリーの部隊とT・M・R・タルコットの武装した工兵の支援があったことが要因になったとしている。 カスターは続いて自ら全軍で攻撃を率いたが、突破は果たせなかった。午後9時ごろ、満月の明るさの下で、カスターの全師団が再度攻撃し、遂に南軍の前線を破った。南軍は後退を始め、使っていた大砲、弾薬箱、荷車の多くを放棄したので、カスター隊の兵士がそれらを確保した。ウォーカーの大砲や兵士が次第に数を減らし、グレイ隊やタルコット隊が後退したことで、ウォーカーの防衛線が弱り、カスター隊の最後の突撃で崩壊点に達した。 この場所で南軍がリンチバーグ駅馬車道から後退したことで、北軍騎兵隊は道の一部を占領し、南軍がリンチバーグに逃げるルートを塞いだ。アポマトックス川はこの付近で渡ることができず、そのために南軍は北に逃げられなかった。できたとしてもあまり利点の無い選択肢ではあった。北軍の部隊が北バージニア軍の他の方向への動きを塞いだ。 歴史家のクリス・カルキンスに拠れば、カスター隊の損失は戦死5名、負傷40名、不明3名だったが、負傷者の大半は重傷だった。トレメインが報告するところでは、「騎兵隊にいた多くの経験を積んだ外科医が、これほど短い戦闘で異常に多いけが人を治療した経験が無かった。負傷者は主に大砲によるものであり、重傷だった。多くはめちゃくちゃになっていたと言っていた」としている。ジェイン・ブレアは、カスター隊の損失を戦死32名、負傷86名、合計118名としている。 南軍はその防衛線が破られたときにリンチバーグに至る道路を逃亡した者もあれば、またアポマトックス・コートハウスに至る道路を撤退した者もいた。後退する砲兵が立ち止まって、北軍の騎兵隊に対して両方向から砲撃したとき、カスター隊の騎兵集団がこのような南軍の抵抗を打ち破った。 カスター隊はアポマトックス・コートハウスまで前進を続け、その過程で歩兵部隊と遭遇した。その後カスターは、敵の輜重隊から捕獲した大砲や貴重品を鉄道駅の南に送っておくように命じ、一方、自隊の残りの兵士には部隊が停止した所で道を塞ぐ前線を構築するよう命じた。捕獲した物資の中には、24ないし30門の大砲、150ないし200両の荷車があり、その大半には手荷物が積まれていた。カスター隊はおおよそ1,000名を捕虜にしており、その中には病気になって病院車に乗っていたヤング・マーシャル・ムーディ准将も入っていた。一方で、ウォーカー隊はこの戦闘と撤退の間に75門の大砲を救った。 デビン師団がカスター隊の支援のために戦場に来たが、深くは関わらなかった。デビン隊はカスター隊の道路沿いにいた兵士を解放し、代わってアポマトックス・コートハウスとリンチバーグに面した防衛線を構築した。カスター隊はその夜の残り時間に睡眠を取る前に戦場を整理する任務に向かった。
※この「大砲パークへの攻撃」の解説は、「アポマトックス駅の戦い」の解説の一部です。
「大砲パークへの攻撃」を含む「アポマトックス駅の戦い」の記事については、「アポマトックス駅の戦い」の概要を参照ください。
- 大砲パークへの攻撃のページへのリンク