地鉄・刃文
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 15:06 UTC 版)
地鉄(鍛え肌の模様)は板目に杢目まじり、よくつまる。地沸つき、乱れ映り立つ。 刃文は上半分は大丁子乱れ、重花丁子華やかに蛙子、飛焼交じり、匂い深く締まりごころとなり、下半分は小沸を交えて、足・葉よく入り匂い口冴え、変化に富み、頗る華やかな出来である。表裏に大きく腰刃を焼いている。 帽子(切先の刃文)は先小丸、乱れ込んで浅く返る。 刀剣用語 解説文中の刀剣専門用語につき補足する。 「板目」とは、地鉄(刀身の焼きの入っていない部分)の折り返し鍛錬(日本刀#質の高い鋼の作成)により現れた鍛え肌と呼ばれる肌合いや模様の分類の一種で、木材の板目のように見える模様のこと。 「杢目(もくめ)」とは、地鉄に現れた年輪のような模様のこと。 「映り」とは、地鉄と焼き入れの技術によって現れるもので、光を反射させて地を観察した時に見える白い影のようなもの。「乱れ映り」はその白い陰の形が一定でないことをいう。 「丁子」とは、小さい互の目の焼頭が連続するなどして、チョウジの実を模様化した丁子文のような形を表すこと。 「重花丁子」(じゅうかちょうじ)とは、互の目に互の目が重なるように、丁子が複数焼かれた刃文。備前一文字派の特徴のひとつ。 「飛焼」とは、焼刃が刃縁から離れ、地中に変則的な形で現れたもの。それが棟に施されたものは「棟焼」と呼ばれる。 「匂い」「沸(にえ)」とは、刃文と地鉄の境目にある鋼の粒子のこと。「沸(にえ)」は粒子が肉眼で捉えられる大きさのものであり、「匂い」は粒子が肉眼では確認できない霞のような小ささのもの。「沸」と「匂い」の違いは見え方だけである。 「足」とは、互の目の谷の沸や匂が、刃縁から刃先に向かって垂直に伸びる模様。 「葉」(よう)とは、匂いや沸えが刃縁から離れ、刃中に飛び地のように浮かんで表れているもの。 「匂い口」とは、刃縁の状態、もしくは刃縁や刃文そのもの。 「腰刃」とは、直刀基調だが茎近くの焼刃が始まる場所のあたりを特に大模様に焼いたもの。 「乱れ込み」とは、帽子部分へ横手から刃文が乱刃のまま進入すること。 「小丸帽子」とは、切っ先の先端近くで小さく丸みを描くように焼刃が棟側へ向かっていく形の切っ先の刃文。
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地鉄・刃文
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/11 08:40 UTC 版)
地鉄は小板目肌よくつみ、地沸つき、乱れ映り立つ。 刃文は袋丁子に重花丁子に山形の互の目を交え、足・葉しきりに入り、匂い深く、小沸つく。 帽子(切先部分の刃文)は大きく乱れこみ、表は小丸こころ・裏は尖りごころでわずかに返る。 刀剣用語の補足説明 本文で使用されている刀剣用語について補足する。 「板目」とは、地鉄(刀身の焼きの入っていない部分)の折り返し鍛錬(日本刀#質の高い鋼の作成)により現れた鍛え肌と呼ばれる肌合いや模様の分類の一種で、木材の板目のように見える模様のこと。小板目はその模様が細かく入り組んでいる。 「地沸」(じにえ)とは、焼き入れによって地鉄に生まれる、銀砂子を蒔いたように光る微粒子のこと。 「映り」とは、地鉄と焼き入れの技術によって現れるもので、光を反射させて地を観察した時に見える白い影のようなもの。「乱れ映り」はその白い陰の形が一定でないことをいう。 「丁子」とは、小さい互の目の焼頭が連続するなどして、チョウジの実を模様化した丁子文のような形を表すこと。 「互の目」(ぐのめ)とは乱刃の一種で、丸みを帯びた焼山が連続して上下に振幅するもの。山と谷が交互にくることが名の由来で、谷には刃先へ向かって足が入ることが多い。 「重花丁子」(じゅうかちょうじ)とは、互の目に互の目が重なるように、丁子が複数焼かれた刃文。備前一文字派の特徴のひとつ。 「匂(におい)」「沸(にえ)」とは、刃文と地鉄の境目にある鋼の粒子のこと。「沸」は粒子が肉眼で捉えられる大きさであり、「匂」は粒子が肉眼では確認できない霞のような小ささ。「沸」と「匂」の違いは見え方だけである(化学的組成の差ではない)。 「足」とは、互の目の谷の沸や匂が、刃縁から刃先に向かって垂直に伸びる模様。 「葉」(よう)とは、匂や沸えが刃縁から離れ、刃中に飛び地のように浮かんで表れているもの。 「乱れ込み」とは、帽子部分へ横手から刃文が乱刃のまま進入すること。 「鑢目」(やすりめ)とは、柄から茎が脱落しないように施されたやすり。 「勝手下り」とは、やや右下がりにかけられたもの。 「磨上(すりあげ)」とは、刀身の全長を茎側から削って短くする行為。 「栗尻」とは、丸みを持った形状の茎尻。
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地鉄・刃文
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 00:18 UTC 版)
地鉄は小板目肌よくつみ、地沸細かにつき、青く澄んだ鉄色に備前物らしい乱れ映りが淡く立っている。 刃文の焼出しは直焼出し、小沸出来の刃文の基調は小湾れに小丁子や小互の目交じり、小足入る。匂い口しまりごごろに小沸つき、匂い口冴える。 力強く印象的な帽子(切先部分の刃文)は湾れ刃が大きく乱れこんで、尖りごころに返る。 解説:地鉄(刀身の焼きの入っていないグレーの部分に現れる模様)は木材の板目のように見える細かく詰んだ模様(小板目)で、銀箔の粉を蒔いたかのようにキラキラ光り、青く澄んだ鉄色に備前刀の特徴である形が定まらない白い影が淡く見える。 刃文と地鉄の境目にある粒子は目で捉えられる大きさである沸(にえ)が目立っている。刃文の始まり方は直刃だが、基調はゆるやかな曲線を描く湾れであり、小さめの丁子や互の目など山型の刃文が混在していて、刃縁から粒子が短い線のようになって垂直に刃先へ向かっている。刃縁の霞のような小ささの粒子(匂い)が狭く凝縮された中に小さめの目で捉えられる大きさの粒子(沸)があり、刃縁の状態は明るく冴えて美しい。 力強く印象的な切先部分の刃文は、ゆるやかな曲線が横手筋を越えると大きく乱れ、尖り気味のカーブを描いて棟側へ向かっていく。
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地鉄・刃文
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 05:15 UTC 版)
地鉄は小板目に杢交り地沸つき、腰方に澄肌があらわれ、乱れ映りが立っている。地肌のところどころに地景が浮かび上がり、地中の働きは活発。 刃文の焼出しは刃区焼込み。やや幅広の美しい中直刃に小乱れ・小丁子を交えた沸出来の刃文である。。帽子は焼詰。 「板目」とは、地鉄(刀身の焼きの入っていない部分)の折り返し鍛錬(日本刀#質の高い鋼の作成)により現れた鍛え肌と呼ばれる肌合いや模様の分類の一種で、木材の板目のように見える模様のこと。小板目はその模様が細かく入り組んでいる。。 「地沸」(じにえ)とは焼き入れによって地鉄に生まれる、銀砂子を蒔いたように光る微粒子のこと。 「澄肌」とは、備中青江派の刀剣の地鉄に特徴的なもので、全体としては青っぽい地鉄の中に、ところどころ黒漆のように黒く光って見えるものをいう。「墨肌」「鯰肌」「縮緬肌」などともいう。 「映り」とは、地鉄と焼き入れの技術によって現れるもので、光を反射させて地を観察した時に見える白い影のようなもの。 「地景」とは、地鉄に現れる、鋼の粒子が線状に連なって黒く光る模様。 「地中の働き」とは、後述の匂や沸により地鉄に様々な模様があること。 「直刃」(すぐは)とは、直線的な刃文で、中直刃は焼幅が広直刃と細直刃の中間のもの。完全な直刃は少なく、わずかに湾(のた)れる(ゆったりと寄せる波のような形になる)場合が多い。 「沸」(にえ)とは、刃文と地鉄の境目にある鋼の粒子が肉眼で捉えられる程度の大きさであること(これに対し、粒子が肉眼で捉えられない程度に細かいものを「匂」と称する)。 「焼詰」とは、帽子(切先部分の刃文)が丸くカーブせず、刃先のラインに沿って直線的に棟へ至るもの。
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地鉄・刃文
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 14:12 UTC 版)
地鉄(鍛え肌の模様)は板目、杢交じり総体に流れごころに肌立ち、ザングリとして地景交じり、地沸よくつき、飛焼入り、棟焼頻りにかかる。刃文は、のたれ調に箱がかり、互の目交じり大乱れとなり、足・葉繁く、匂口締りごころに沸つき、砂流しかかる。帽子(切先部分の刃文)は乱れ込み、表裏とも飛焼かかり、先掃きかけて返り、沸つく。 用語解説 「板目」とは、地鉄(刀身の焼きの入っていない部分)の折り返し鍛錬(日本刀#質の高い鋼の作成)により現れた鍛え肌と呼ばれる肌合いや模様の分類の一種で、木材の板目のように見える模様のこと。 「杢(もく)」とは、年輪のような模様のこと。 「ざんぐり」とは、主に国広などの堀川派の地鉄のことを表す表現。板目肌に杢目や柾目が交じってよく練れ、地沸や地景などが盛んに入り、鍛えが粗雑でないのにざらついて模様がよく見えるもの。まとまりを持ち、柔らかみがある。 「地景」とは、地鉄に現れる線状に黒く光る模様。 「飛焼」とは、焼刃が刃縁から離れ、地中に変則的な形で現れたもの。それが棟に施されたものは「棟焼」と呼ばれる。 「湾れ(のたれ)」とは、ゆったりと寄せる波のようにゆるやかな曲線を描く刃文。 「互の目」(ぐのめ)とは乱刃の一種で、丸みを帯びた焼山が連続して上下に振幅するもの。山と谷が交互にくることが名の由来で、谷には刃先へ向かって足が入ることが多い。 「足」とは、互の目の谷の沸や匂が、刃縁から刃先に向かって垂直に伸びる模様。 「葉」(よう)とは、匂いや沸えが刃縁から離れ、刃中に飛び地のように浮かんで表れているもの。 「匂い口」とは、刃縁の状態、もしくは刃縁や刃文そのもの。「匂い口締まる」は匂・沸の幅が狭く凝縮されている状態。 「匂い」「沸(にえ)」とは、刃文と地鉄の境目にある粒子のこと。「沸(にえ)」は肉眼で捉えられる大きさであり、「匂い」は刃文と地鉄の境目にある粒子が肉眼では確認できない霞のような小ささ。「沸」と「匂い」の違いは見え方だけである。 「砂流し」(すながし)とは、刃中の沸が線状に連なっていること。 「掃掛(帽子)」とは、砂流しなどの沸筋が切っ先の先端へ箒で掃いたように見える形で向かい、焼刃に沿って棟先へ流れていく。
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