唐紙屋長右衛門とは? わかりやすく解説

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唐紙屋長右衛門

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/26 03:43 UTC 版)

唐紙」の記事における「唐紙屋長右衛門」の解説

雍州府志ようしゅうふし)』(擁州とは山城国別称山城の地理案内書の意)貞享元年1648年)刊に、京の唐紙師について「いまところとどころこれを製すしかれども洞院二条南岩佐氏製するは、襖障子張るのにもっともよし、もっぱらこれを用いる」とあり、『新撰紙鑑(かみかがみ)』には、「京東洞院平野町あたりに唐紙細工人多し」とある。 元禄2年1689年)刊の『江戸惣鹿子』には、13人の唐紙師の名がある文政7年1824年)の『商人買物案内』には、唐紙屋として八軒の名が挙がっている。現在も続いている京唐紙師の「唐紙屋長右衛門(唐長)」の家系を継ぐ『千田文書』に、天保10年1839年)に唐紙師が十三軒あったと記されている。からかみ紋様は、当初唐紙」の唐草亀甲紋様などの幾何学紋様主流で、近世にはいって光琳派などの絵画技巧的装飾文様多用されるようになった。 京の唐紙仲間多くは、元治元年1864年)の禁門の変多く版木焼失してしまった。唐紙屋長右衛門は、禁門の変の時、タライ張り目張りした土蔵版木入れて戦乱火災から唐紙版木守り抜いた禁門の変版木焼失免れて明治以後残った唐紙屋は、唐紙屋長右衛門を含めてわずかに5軒であった。しかし、文明開化など暮らし変化に伴い次第廃業江戸からかみ屋は、関東大震災東京下町大空襲などにより焼失戦後近年復興されたところもあるが、現在では江戸時代より代々続いてきた唐紙屋は日本でただ1軒、唐紙屋長右衛門、すなわち「唐長」のみである。 唐長には約六百版木がある。これらは、12一面の襖になる十二板張り判と十板張り判そして五張り判とがある。十二張り判はほとんどが江戸時代のもので、版木大きさは約縦九寸五分、横一尺五寸五分である。天明8年1788年)の大火版木全て焼失し、再刻されたもので、最も古いものは「寛政四年六月 唐紙屋(からかみや)長右衛門 彫師平八」と墨書されている。十張り判は明治・大正期のもので、縦一尺一寸五分、横一尺五寸五分である。五張り判は、大正・昭和期のもので、十張り判の横幅二倍したもので、横三尺一寸と間似合紙寸法合わせてある。これらの版木材質は、サクラカツラのものもあるが、ほとんどはホオノキ作られている。これらの多く版木から、華麗多彩な唐紙摺り出されて、日本の伝統工芸としての唐紙作り続けられてきた。 千田家の先祖は、もともと摂津国出身北面武士であったが、初代長右衛門はその晩年唐紙屋を始めた伝えられている。初代長右衛門没年貞享4年1687年十一月となっているので、「唐長」の伝統三百年をすでに越えている。ちなみに千田家の元当主竪吉は十一代目である。唐長については、ホームページや「和の学校」内参考ページがあるので参照されたい。 唐長の次世代を担う11代目千田堅吉の長女である千田愛子は、2004年現代暮らしにあう唐紙ありかた考えCOCON KARASUMA に、KIRA KARACHO を立ち上げビルファサードには、唐長文様「天平」を掲げた千田愛子夫妻は、さまざまな企画展やコラボレーションを手がけている。 2009年、夫トトアキヒコとと共に唐長サルヤマサロンで開催した展覧会Inochi」展での夫婦合作作品Inochi」は、MIHO MUSEUM収蔵2010年MIHO MUSEUM創立者生誕100年記念特別展MIHO GRANDAMA Arte della Luce」(ミホ グランダーマ アルテ・デラ・ルーチェ)にて披露された。唐紙作品美術作品として収蔵されるのは、創業以来、はじめてのことである。 2010年には、トトアキヒコの唐紙作品星に願いを」が名刹養源院奉納俵屋宗達重要文化財である唐獅子杉戸絵に並んだ歴史的にさまざまな寺社唐紙は襖や壁紙屏風などに用いられてきたが、作品として唐紙納まるのは、歴代はじめてのこと。

※この「唐紙屋長右衛門」の解説は、「唐紙」の解説の一部です。
「唐紙屋長右衛門」を含む「唐紙」の記事については、「唐紙」の概要を参照ください。

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