北朝鮮の核武装以後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 15:29 UTC 版)
「日本の核武装論」の記事における「北朝鮮の核武装以後」の解説
2005年(平成17年)2月10日、北朝鮮が核武装を公式に宣言した。同年2月25日、大前研一は韓国マスコミの「北朝鮮の核保有が最終確認された場合、日本も核武装に動くのか」という質問に対して次のように答えた。「その可能性は大きい。日本はその気になれば90日以内に核爆弾を製造し、ミサイルに搭載できる技術的能力を持っている。われわれはすでに大陸間弾道弾(ICBM)水準のミサイル(ロケット)を保有しており、50トン以上のプルトニウムを備蓄している。核爆弾2,000基を製造できる分量だ。日本はすでに30 - 40年前、原爆製造に必要なあらゆる実験を終えた。日本が核武装をしないのは国民情緒のためだ。9割の日本人が核兵器の開発に反対している。広島と長崎の悪夢のためだ。しかしわれわれが北朝鮮核兵器の実質的脅威を受ける状況になれば、世論は急変するはずだ」。 同年、民社党の後身である民社協会系の新憲法組織「創憲会議」の「「創憲」を考えるための提言書」(玉置一弥サイト「「創憲」を考えるための提言書を掲載しました」参照)が明らかにされた。公式に核武装を視野に入れ、核兵器に加え、生物・化学兵器の所持をも選択肢に入れるよう提言した。国会議員を擁する政党・政治団体で、核武装の検討を公式見解にしている党派はここだけである。ただし、同年10月28日に発表された創憲会議の新憲法草案では、核武装検討の明言はされていない。 2006年(平成18年)には北朝鮮が初の核実験を実施。10月10日、安倍晋三内閣総理大臣は衆議院予算委員会で次のように述べた。「我が国の核保有という選択肢は全く持たない。非核三原則は一切変更がないということをはっきり申し上げたい」。 同月15日、中川昭一自民党政務調査会長はテレビ朝日「サンデープロジェクト」で次のように述べた。「欧米の核保有と違って、どうみても頭の回路が理解できない国が持ったと発表したことに対し、どうしても撲滅しないといけないのだから、その選択肢として核という……」 同月18・19日、麻生太郎外務大臣は衆議院テロ対策特別委員会にて次のように述べた。「隣の国が持つとなった時に、一つの考え方としていろいろな議論をしておくことは大事だ」「非核三原則を政府として堅持する立場に変わりはないが、日本は言論統制された国ではない。言論の自由を封殺するということに与しない(=核武装の論議容認)という以上に明確な答えはない。」 同月20日、中川昭一は自民党静岡県連合会の集会で次のように述べた。「攻められそうになった時にどう防ぐか。万が一のことが起きた時にどうなるかを考えるのは、政治家として当然のことだ」。この発言は日本のみならず、海外にまで議論が及ぶこととなり、与野党からこの核武装とも取れかねない発言の撤回を求める意見が多数出ることとなり、この発言の後に安倍晋三総理大臣や塩崎恭久官房長官が非核三原則は厳守すると念を押す発言をし、ジョージ・W・ブッシュアメリカ大統領もこの発言に対し「中国が懸念する」と述べた。 これら中川昭一らの発言を受けて安倍晋三は次のように述べた。「政府や党の機関としては議論しない。それ以外の議論は自由だから言論封鎖することはできない。」 同年12月24日、「日本が小型核弾頭を試作するまでには少なくとも3 - 5年かかる」とする政府の内部文書が明らかになった。 2022年2月27日、安倍晋三は「日曜報道 THE PRIME」において2022年ロシアのウクライナ侵攻を受け、自国の防衛能力の見直しや核共有の議論の必要を訴え、同年2月28日には日本維新の会代表の松井一郎や藤田文武幹事長も核共有の議論に言及した。なお、内閣総理大臣の岸田文雄は同年3月2日に行われた参議院予算委員会において、「非核三原則を堅持している立場や、原子力の平和利用を規定している原子力基本法を基本とする法体系から認めるのは難しい」と答弁している。
※この「北朝鮮の核武装以後」の解説は、「日本の核武装論」の解説の一部です。
「北朝鮮の核武装以後」を含む「日本の核武装論」の記事については、「日本の核武装論」の概要を参照ください。
- 北朝鮮の核武装以後のページへのリンク