公的な図柄の解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 02:53 UTC 版)
太極旗は、白地の旗、旗の中央にある赤と青からなる太極円(太極文様)、及び旗の四隅にある乾()・坤()・坎()・離()の四種類の卦(四掛)によって構成されている(大韓民国国旗法第7条第1項、及び第2項)。 韓国政府(行政自治部)は、太極旗の各部に込められた意味合いについて公的な解釈を示しており、自国民に対しては行政自治部が下記の通りに説明している。また、国外に対しては文化体育観光部傘下の海外文化弘報院(朝鮮語版)が、日本語、英語、中国語 を含む9言語で同じ内容を紹介している。 ...太極旗の白地は、明るさと純粋さ、そして伝統的に平和を愛する私々(朝鮮民族)の民族性を示している。真ん中の太極文様は陰(青色部分)と陽(赤色部分)の調和を象徴するもので、宇宙の万物が陰陽の相互作用によって生成し発展するという大自然の真理を形象化したものである。四隅の四掛は、陰と陽が互いに変化し発展する姿を爻(陰:- -(真ん中が途切れた2つの短い横棒)、陽:─(長い横棒))の組み合わせを介して、具体的に示したものである。卦の中で、「乾」は宇宙万物の中で天を、「坤」は地を、「坎卦」は水を、離は火を(それぞれ)象徴しており、これら四掛が太極を中心として統一された調和を成している。 このように、昔から私々の先祖が生活の中で楽しんで使っていた太極文様を中心に作られた太極旗は、宇宙とともに長久の創造と繁栄を希求する韓民族(朝鮮民族)の理想を含んでいる。... より詳細な解釈は、教育部傘下の韓国学中央研究院が編纂した『韓国民族文化大百科事典』の項目「太極旗」に記されており、要約は下記の通りである。 白地:下地が白い色彩になっているのは、純一で無雜な朝鮮民族の同質性と潔白性を象徴したものであり、平和を愛好する精神が私たちの民族の気質と理想であることを明らかにしている。 一円相の太極と陰陽:儒教哲学で宇宙万象の根源である太極は、人間の生命の源泉としての真理である人道を表現している。金長生は「人極(=人道)の主体は、人を害せずに自己の完成と他人の(自己の)完成を同時に可能とする共同主体である。これによって各個人の人格が尊重され、自由と平等の道理が成立し、国家社会の安寧と秩序が維持される」とする。朝鮮民族は歴史的に天地人の三才の中で天地の要素を人間に集約して人道主義の精神を鼓吹してきた。また、太極は陰陽も表しており、紅色の陽と青色の陰が上下に相対和合されている図象は、天(陽)は上に地(陰)は下にあることを示している。陰と陽は本来なら性質が異なり別に分かれているが、互いに離れられず相互に依存して作成・発展し、陰陽の循環と調和の中で万物が成長し、繁栄する。そして天と地(陰陽)の間に人間があるからこそ、社会と国民国家が形成されるのである。 四卦:乾・坤・坎・離の四卦は、中国の太極図と違って(卦の)図形が右から左へ回転しており、太極図形の陰陽文様と切り離せない関係で配列され、陰陽が生成、発展する様相を示している。乾は天道として至善・至公の正義を意味し、坤は地道として厚徳と豊饒の共利を象徴し、坎は水性として知恵と活力を示し、離は火性として光明と情熱を意味する。これは産業と道義(道徳的義理)をバランスよく発展させ、情熱と知性を兼ね備えた正しい人間と社会を成し遂げるという理想を含むものである。つまり産業と道義、情熱と知性が円満に調和することにより、社会の安定と秩序を維持し、一人一人の人権が尊重され、自由が保障されている福祉社会を構築する基盤となる事を示している。 文化の創造と人類の平和を象徴する太極旗は、大韓民国が希求する座標であると同時に弘益人間(朝鮮語版)の国是(国の標語)を表現している。
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