公的な官職
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 14:57 UTC 版)
家業という考え方は、特殊な分野における学問や技術が特定の氏族や家系に帰属してそこの専業と認識される状況下によって発生した。律令制の全盛期であった8世紀から9世紀にかけて既にその萌芽が見られ、礼家(れいけ、礼制・家族法)、薬家(やくけ、医薬)、法家(ほっけ、刑事法)などと呼ばれる家柄が出現している。 11世紀から12世紀の日本では律令制下の官制が事実上形骸化に向かいつつあり、残された官司間の統属(上下)関係も事実上崩壊していく。そのような中で機会の平等とも呼べるものは失われ本来公的なものであったはずの官職が私物化され、特定の氏族に委ねられるようになっていき(家職)、また特定の氏族に委ねられた官司による独立した業務運営が可能な態勢が構築されていった。このような、王朝国家における特定の氏族による官職の家職化及び権能の排他的継承を「官司請負制」と呼ばれている。その特定の氏族にとっては、先祖代々授けられる官職・任務は「家業」として認識されるようになったわけである。 例としては、弁官局の小槻氏、外記局における清原氏、検非違使庁における坂上氏や中原氏が挙げられる。 商工関係を司る官職を継承する家系では、自ら商業や工房を経営することをやめ、担当する業種の営業許可権を利用し、座をはじめとするその業種の関係者の活動を支配することで、関係者から金品を得ることを以って業とするようになった。 現代では官民の有力な家系同士が複雑に結びついて閨閥を形成し、営業許可権に限らない利権を持つ。
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