作用時間による製剤の分類とは? わかりやすく解説

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作用時間による製剤の分類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 21:08 UTC 版)

インスリン製剤」の記事における「作用時間による製剤の分類」の解説

インスリン製剤作用発現時間作用持続時間によって超速効型、速効型、中間型混合型、持効型溶解分類される持続型 (ultralente, U)も存在したが、2000年代半ばまでで使われなくなったインスリン製剤使い捨てペン型製剤カートリッジ製剤バイアル製剤がある。本項ではインスリンアナログ併せて記載する超速効型インスリン製剤 一般名発現時間(min)最大作用時間(hr)持続時間(hr)インスリン アスパルト 1020 13 3〜5 インスリン リスプロ15 0.51.5 3〜5 インスリン グルリジン15 0.51.5 3〜5 これらは皮下注射単量体のままであり血中に入るまでの時間短く皮下注射後の作用発現15分以内と非常に早く最大作用時間が2時間と短いのが特徴である。インスリン追加分泌補充極めて適している。速効型インスリンでは食前30分に皮下注射する必要があったが、30分後に食事確実に取るというのは日常生活の中では難しかった超速効型インスリン製剤食事を取る直前インスリン製剤打てば良いという点で非常に扱い易くなりコンプライアンス治療実施される確実さ)が上昇すると言われており、実際にレギュラーインスリンと比べて血糖コントロール向上するという確かな研究結果エビデンス)が報告されている。推奨され使用法ではないが、体調悪くて分食事を取れそうにない時、食事後に通常量の半量摂取できたと思えばインスリン半量食後投与する、といった方法も可能である。 作用時間が短い為、各食前1日3回投与では食前高血糖となる可能性があり、中間型インスリンを朝と夕に投与したり、持効型溶解を朝または就寝前に投与する事が多い。 速効型インスリンは六量体形となって凝集する傾向があり、六量体から単量体への分離吸収過程律速段階となっていた。超速効型インスリンは、新し遺伝子組換え技術利用してアミノ酸配列変更し、六量体形成を起こし難くしたインスリンアナログである。 インスリン リスプロInsulin Lispro)、インスリン アスパルトInsulin Aspart)、インスリン グルリジンInsulin Glulisine)がよく知られている。臨床的特徴としては、三者には殆ど差がない。 リスプロとアスパルトについてはプロタミンとの混合型製剤一部中間型化)も上市されている。 また、リスプロとアスパルトについては効き始める迄の時間をより短縮した製剤開発され市販されている。 速効型インスリン製剤 発現時間(hr)最大作用時間(hr)持続時間(hr)N社 0.5 1〜3 8 L社 0.51 13 5〜7 速効性インスリン投与30分~1時間効き始め、1~3時間で作用最大となり、5~8時間効果持続する構造的に内因性インスリン同一であるが、安定性為に亜鉛イオン付加されている。六量体形傾向により内因性インスリン比べ作用発現遅くなっている。皮下注射のほかに筋肉注射静脈内注射が可能である。 食前30分の投与によって、食事による血糖値の上昇を抑える混合型インスリン製剤 発現時間(hr)最大作用時間(hr)持続時間(hr)N社 0.5 2〜8 24 L社 0.51 212 1824 上記速効型と下記中間型10%から50%割合混ぜた混合型インスリン製剤である。比較立ち上がり早く持続時間長いとされる中間型インスリン製剤 発現時間(hr)最大作用時間(hr)持続時間(hr)N社 1.5 4〜12 24 L社 1〜3 810 1824 NPHインスリン白濁しており、投与徐々に溶解して30分~3時間で作用発現するピークは2~12時間で、持続時間1824時間程度と、製剤により異なる。作用時間中程度で、通常のインスリン速効型)よりも長く持効型インスリンよりも短い。 インスリン基礎分泌補充としては以前主流であったが、思わぬ時間帯効果ピーク出現し低血糖起こす頻度多く基礎インスリンとしての役割は持効型製剤譲り渡された。 持効型溶解インスリン製剤 インスリン デグルデク(degludec):ノボ ノルディスク社により開発され製剤で、2012年9月7日付で承認された。商品名はトレシーバ。ヒトインスリンのB鎖30位のスレオニン残基削除し、B鎖29位のリジン残基にγ-グルタミン酸を介してヘキサデカン二酸結合させた構造有している。本注射後速やかに可溶性マルチヘキサマーを形成し、そこから持続的かつ緩徐血中吸収されるとされている。下記のグラルギンに比べ夜間低血糖および重症低血糖発現率が低いといわれている。また、作用持続時間42時間超える2015年8月時点で、持効型インスリンとして唯一小児用法・用量承認されている。 インスリン グラルギン(glargine):旧ヘキスト社(現サノフィ)が開発し日本でも2003年商品名ランタスとして薬価収載されている。インスリンA鎖21位のアスパラギンをグリシン置換し、B鎖C末端に2個のアルギニンを追加してある。酸性pH4では水溶性であるが、注射中性に近い体内では微結晶になり、ゆっくりと溶解して血中移行していく。その為5時間後から安定した血中濃度となり、以後24時間以上一定濃度維持する注入器(オプチペンプロ1)の破損による過量投与問題から、旧タイプ注入器の回収新タイプ(オプチクリック)への切り替えが行われた。2006年5月ランタスの新規導入厚生労働省通達により停止した2008年現在は処方されている。またその後使い捨て容器のランタスソロスターも上市された。 インスリン デテミル(detemir):ノボ ノルディスク社製の製剤日本では2007年10月19日承認厚生労働省より取得した商品名レベミル。B鎖30位のスレオニン削除し、B鎖29位のリシンに脂肪酸ミリスチン酸付加している。作用持続時間はグラルギンより短く18時間程度とする見方もある。

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